昨日、高加水生地の話題を出してしまいましたので、今回は良く知られている市販製品の内で高価水生地のパンを解説しようと思います。
【 目次 】
パスコのイングリッシュマフィン
従来のパン製品で高加水生地と聞きますと私がまず思い浮かびますのは、イングリッシュマフィンとフォカッチャ、チャバタといった製品です。
この内のイングリッシュマフィンとフォカッチャの二つの製品ですが、実はどちらもパスコから発売されています。
え~っ、だったら高加水生地の食パンも発売間近?、・・・と思われるかもしれませんが、実は食パンは各製パンメーカーにとって稼ぎ頭で、生産ラインの中でも特に設備投資をして利益が出せるように力を入れています、つまり省人化、省力化ですね。
(それはそうですよね、なんといっても日本でパン用に使用されます総小麦量の半分は、食パンに使われているのですから!)
高加水生地はベタついて取扱いが大変ですので、おそらく食パンラインの分割機~丸目機~中間発酵機~成形機のすべての装置がまず通りません。(こうして考えてみますと、人の手作業というのは対応性といった意味では最高です!)
と、なりますと、次に考えられますのは食型をマフィンやフォカッチャのラインへ運ぶ方法ですが、当然、コンベアで自動で運ぶことができません、つまり結論は大変だ、ということで。
改めてパスコのイングリッシュマフィン
近所のスーパーへ出掛けてみますと、最近ではまずどこのお店でもイングリッシュマフィンのコーナーを見掛けます。
種類もいろいろ出ていますね、全粒粉にレーズンにライ麦、プレーン等々、(ちなみに、私はナッツが好きです。)
ちなみに棚のイングリッシュマフィンは、すべてパスコの商品です。(一時期は、他社の参入もあったのですが、結局パスコの独壇場になっていますね~!)
超熟イングリッシュマフィン
超熟シリーズでは比較的後発だったような記憶があります。(と言っても、超熟自体が発売20年を超えていますので、もう十分な期間が売られていて、既に馴染んでいますけど・・・)
マフィン自体の食感に湯種製法を加える発想へ、当時の私には及びもしなかったのですが、現状を見てみますとその判断は正解だったようです。
包装
青いPascoのマークですが、元々パスコは敷島製パンが東京進出(1969年)の際に設けたブランド(Pan Shikishima Company の頭文字)で、名古屋&関西が赤色のShikishimaブランドに対して、青色文字で差別化を図った経緯があります。
この4個入りの包装形態も、当時のままで、変わっていません。
形状とサイズ
イングリッシュマフィンのサイズ・形状は、画像のサイズの太鼓型の形状が唯一です。
コーングリッツ
そして、製品の表面をよく見てみますと、細かいツブツブが・・・。
この表面に付けられているのは、コーングリッツです。
以前は、こういうものなのかなぁ程度にしか思っていませんでしたが、今となってはコーングリッツあってのイングリッシュマフィンみたいな感覚さえ覚えます。
内相
製品を横カットして、内相を見てみます。
通常、食べる際には横方向のカットがされていて、手で離してもきれいに分けることができるのですが、今回はあえてパンナイフを使ってカットしました。
粗い丸目の内相ですが、高加水生地のパンは一般的にこのような内相になり易いですね。
縦目にする方法とかあるのでしょうか、・・・いろいろ考えてみてもおもしろそうですので、ミキシングのテストでも行う時期になりましたら、試してみようかと。
オーブン
以前に参加しました製パン製菓機械の展示会(モバックショウ:次回は、来年2月に大阪で開催予定)で収集しました、フジサワ・マルゼンという製パン機械メーカーの総合カタログに画像のようなマフィンオーブンが掲載されていました。
この連続式の大型オーブンで製造した場合、イングリッシュマフィンの形状は必然的に決まってきてしまいそうですね。