食パンラインのラウンダー
所定の重量に分割されたパン生地は丸目を行います。
ただ、生地のサイズで使用する機械設備も変わってきますので、今回は食パン等の大玉生地を対象とした機種について解説します。
パン生地を丸める装置をラウンダーと呼びますが、これは単に形状を丸くすることが目的でないことは以前にも記載しました。
パン生地の表皮を張って生地に弾性を持たせ、発生する炭酸ガス等を内包して風味の付与や先の工程でのオーブンキックに効果を及ぼします。
結果的に、パン生地の形状が丸くなる訳です。
ところで、私が会社に入社した1984年頃は、まだ上図のドラム型のラウンダーは開発されておらず、ほとんどの食パンラインでは傘型のラウンダーが採用されていました。
ここでラウンダー運転時のポイントについて、解説します。
まずは、生地の表皮を張った状態で丸めることができるか、生地カスが出ないか、そして中央の回転体に生地がべた付いてトラブらないか、です。
傘型ラウンダーですが、中央の回転体が円錐形ですので、パン生地が通るガイドレールの形状はいささか複雑になります。
パン生地は円錐形の外側に沿って高さ方向には上がっていくわけですから、ガイドレールの形状も単純ではありません。
装置の加工が困難になるということは精度の低下と密接に関係します。
当然、回転体とガイドレールとのクリアランスに適正な調整ができていない場合、生地カスが多めに出たり、さらにひどい場合には生地がべた付いてトラブルになったりします。
改めましてドラム式のラウンダーについて解説します。
私が初めてドラム式の機種を見ましたのは、海外社製(B社)のものでした。
一目で丸目品質の高さが予測できました。
回転体の形状が円筒ですので、ガイドレールの形状は高さ方向に同様の形状で設計することができます。
事実、運転中の生地カスは傘型の機種と比較して、大幅に激減したことを今でも鮮明に記憶しています。
また、ガイドレールも1本の連続した螺旋形状でつながっている訳ではなく、一定間隔で区切るような設計になっています、…まるで手で丸める動作を再現するかのように。
現在では、国内の複数の機械設備メーカーも手掛けるようになり、さらには逆円錐型やガイドレールが容器形状になったような仕様の機種まで出てきました。
手粉付け
ラウンダーの出口には、パン生地を次工程の中間発酵に移すために手粉を付ける高地が組み入れられています。
パン学校の授業でも比較的力を入れて説明しているのですが、この手粉付けは非常に地味なものの、とても重要な意味を持っています。
手作業の時には、何気なくパン生地全体に均等に手粉を付けられていても、いざ機械設備でそれを再現しようとすると非常に難しいことが分かります。
どうして、そんなに大事なのか、少し先にはなりそうですが、中間発酵のところで改めて解説します。