黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

焼成 (② 連続式オーブン)

搬送と収容量

 大型生産ラインが入っている工場では、ラインの生産能力をオーブンの能力を基準として設計するのが、一般的のようです。

 それだけ、設置スペースと生産能力の双方に関与する機械設備といった位置付けなのでしょうか、もしくは能力の増強が困難との理由からでしょうか。

 型詰めもしくは天板に載せられたパン生地を加熱して、時として湿度も関係して…、となりますと、先に解説しましたファイナルプルファー(以下、FP)と仕様面で類似している点も多いようですが、加工条件から確認していきたいと思います。

 まず、機種の選定において加熱ムラを避けたいということであれば、FPと同様にスパイラル式が最も適しています。

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 FPと同様にスパイラル式のオーブンでは、すべての製品が同じ経路を通過しますので、炉内が安定していれば加熱ムラの心配は非常に低くなります。

 異なる点としましては、FPのように炉内を一様に加熱することはなく、数回周回する各段に点火バーナーが設置されているところです。

 食パン、菓子パン共に、焼成の進行に伴って温度条件を変えていく方が特長的な製品が焼けますので、時間の経過と共に焼成温度を変える機能は必要な仕様です。

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 ところで、先にFPではスパイラルタイプの機種について、スペース効率があまり高くない旨の記載をしました。

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 オーブンでも同様なのですが、理由の一つに流す天板もしくは食型は一定の間隔を開けて並べなければならないことにあります。

 この間隔はスペーサーとかスペースカウンター等々で呼ばれます機能で確保するのですが、この間隔が狭いとカーブ部分で天板同士が接触してしまい、最悪のケースではコンベアから脱落してしまうトラブルを起こしてしまうからです。

 このようにスパイラル式のオーブンもFP同様に決してスペース効率は高くないのですが、少々事情が異なる点は他のタイプのオーブンと比較した相対的なスペース効率がそれほど低くないことにあります。

 端的に言えば、他のタイプのオーブンもあまりスペース効率は高くないということです。

 オーブンでは、FPのようなラック式といった仕様の設備を見たことがありません(誤解されないように、手押しラックで焼成するラック式オーブンは実在します。あくまで、連続可動方式のラックタイプを見たことがないということです)。

 また、トレー式といったオーブンもありますが、これもターン数は1回(1往復)のみの設備が、主流です。

  主流となっていますトンネル式オーブンは、各天板等を詰めて並べることができるのですが、オーブン本体を積み重ねて設置することはほとんどありませんので、空間といった考え方ではやはり効率が下がってしまいます。

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 搬送の内容を記載してきましたので、次回はこれと関連してオーブンの入口と出口の構造がパンの焼成条件にどのように関わってくるかを解説してみようと思っています。