黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

石窯オーブンの上火の効果 ~ Papi Pain(ぱぴ・ぱん)後編

 前回の記事に引き続き、今回もBoulangerie Papi-Pain(ぱぴ・ぱん)をリポートします、後編です。

 

 そして、石窯オーブンの上火の効果についても解説していきます。

 

【 目次 】

 

石窯オーブンの上火の効果

 製パンには、ポイントとなる温度がいくつかあります。

 

 生地の発酵や焼成、装置の設定温度や熱源の温度等です。

 

石窯オーブン

 

 特に焼成工程では、炭酸ガスの溶出やアルコールの蒸発で生地膨張を生じてパンのボリュームが得られ、デンプンが糊化して食べられるようになり、そして水分の蒸発と焼色の着色でクラストが形成されます。

 

 これらの現象が同時多発的に異なる部位で発生します。

 

 そして装置を考えますと、一般的なデッキ式オーブンの上火は、熱源にガスバーナーや電気ヒーターを用いたりするのですが、直火をそのまま使用しますと焼きムラの原因になってしまいますので、緩衝(バッフル)板として黒色塗装を施した金属プレートを生地との間に配して安定した熱エネルギーの供給を図っています。

 

石窯オーブン

 

 上図では、緩衝板が比較的薄い金属ですので、オーブンの扉を開けて生地を投入するような時には低温の空気が炉内に入ってくることで炉内の温度が一旦下がります。

 

石窯オーブン

 

 一方、石窯オーブンは熱容量の大きい石の緩衝板が入っていますので、同様に扉を開けても炉内に入ってきた低温の空気を短時間で暖めることができます。

 

 オーブンの上火は、遠赤外線等による輻射熱として緩衝板から照射されることから、温度が安定していれば焼き方も安定します。(ちなみに、同じ温度であれば輻射熱自体は金属板でも石板と同様の加熱を得ることができます)

 

 さて、ここでよくオーブンの良し悪しを論ずる際、炉内温度が大きく変動しないことを指摘される方がいらっしゃいます。

 

  石は比熱が高く、熱容量を大きく取れますから、温度変動は小さくて済みますが、それは違う言い方をしますと温度制御がし難いことの裏返しです。

 

 結論を言いますと、短時間で復旧し温度制御さえできていれば、表示温度が一旦下がっても全く問題はありません(見た目とイメージの問題だけです)。

 

 お客様であるユーザーがイメージ優先のオーブンを求めますと、装置メーカーでは買ってほしいが為に、あたかも安定しているかのような表示をするオーブンを作ってしまいます。

 

 使う側が本質を見抜く目を養わないと、将来の技術の進歩が損なわれますことが憂慮されます。

 

改めて、ぱぴ・ぱん

 店内に入りますと、広過ぎることもなく、狭すぎることもなく、それでいて多くの種類の商品がショーケースに並んでいます。

 

Papi Pain

 

 スタッフの方は、皆さん元気いっぱいで、もしかしますと今現在修業で来られている方もいるのでは、と思ってしまいます。

 

Papi Pain

 

 今回は、前回の記事で紹介しきれませんでした、〇印を付けました残りの五つの商品をリポートとします。

 

洋梨とカシスのデニッシュ(280円 税込)

 秋限定の新作デニッシュです。

 

Papi Pain

 

 秋限定の商品にも関わらず、洋梨の品種は時期によって変えているみたいです。(もうしばらくしますと、ラ・フランスが入荷するとのアナウンスあり)

 

Papi Pain

 

 型を使ったおもしろい成形で、層の出具合は anopan のデニッシュを思い出させてくれます。

 

 食べてみますと、サクサクの生地とジューシーな洋梨のマッチングが絶妙です。

 

ミニフランスパン☆ぱぴ・ぱん(40円 税込)

 このお店の名前がついた小さなフランスパンです。

 

Papi Pain

 

 ひとつ40円でも丁寧にクープが入っています。

 

Papi Pain

 

 裏面を見れば、直焼きであることは分かるのですが、このサイズの生地をどうやって炉床の上に置いているのでしょうか。(正直、見てみたいです)

 

 普通にスリップピール(直焼きのパン生地をオーブン内へ投入する時に使用する器具)を使っては、コロコロと転がってしまいそうです。

 

Papi Pain

 

 内相はフランスパンっぽくないですね、けっこう気泡が揃っています。

 

めろめろレモンパン(220円 税込)

 創業当時からあるぱぴ・ぱん名物の菓子パンだそうです。

 

Papi Pain

 

 パッと見、メロンパンの形ですが、レモン果汁を使ったレモンパンです。

 

大人のレモンタルト(290円 税込)

 今夏の新商品のようです。

 

Papi Pain

 

 どちらも国産の瀬戸内レモンとマイヤーレモンを使用しています。

 

 レモンフィリング、アーモンドクリームとタルト生地の3層構造の商品で、夏限定のはずですが、まだ売ってました。

 

ピタパン(100円 税込)

 通称ポケットパンとも呼ばれますフランスの食事パンのひとつピタパン。

 

Papi Pain

 

 いろいろな食材に合わせ易いよう塩味だけの素朴なパンで、半分にカットしてポケットに好きな具材をはさんでサンドイッチ、といったところが定番でしょうか。

 

Papi Pain

 

ある日の朝食

 朝食にピタパンを食べたいとのリクエストに、家族がいろいろと食材を揃えてくれました。(お皿には、洋梨とカシスのデニッシュも少し写っていますが・・・)

 

Papi Pain

 

 通称:ポケットパンとも呼ばれますピタパンをどのようにして食べるか、・・・適当に詰め込んだ私のセンスのなさがどんよりと光る一品となっています。(^^ゞ