今回は、流動性の高いバッター生地のミキシングについて解説します。
粘弾性のパン生地との違いとは・・・、いったい。
【 目次 】
対象となる商品群
バッター生地で製造する商品群としては、ショートケーキ等に使用しますスポンジケーキを筆頭に、ワッフル、パンケーキ、どら焼きといったふんわりした食感の生地から、クレープのようなパリパリもちもちの生地まで多岐に渡ります。
ミキシングの目的
バッター生地とは、小麦粉重量に対して、吸水量がおよそ100~200%の生地のことを指し、流動性が高く、少しの傾斜で流れる特性を持ちます。
当然、生地の強度は低いため、パンの発酵のように空隙を作るために長時間を要する製法は採用されません。
もちろん、生地配合にパン酵母は含まれません。
では、どのようなメカニズムであの気泡は作られていくのでしょうか。
気泡の核となる部分は、ミキシング時に抱き込む空気が主で、それが故、ミキシングの終点は生地の見掛け密度によって決められます。
一方、気泡の核を膨張させる推進力には、焼成時における温度上昇に伴った含気の膨張、生地中に溶存している気体の溶出、デンプンの糊化温度までの水分の蒸発、が挙げられます。
ミキサー
生地を均一に混合すると共に、生地中に空気を含ませることを目的とする装置がミキサーである。
一般的なミキサーであれば、ビーターやホイッパーを使用して生地を撹拌します。
一方、加圧下で高速混合することにより、空気を生地の中に多量に含ませ、ボリュームのある製品に仕上げる装置がプレッシャーミキサーです。
気体の溶存量
そのプレッシャーミキサーの効果を裏付けているのが、ヘンリーの法則です。
気体は、わずかでありますが水に溶けています。
溶解している気体の量(溶存量)をいい表すには、 1 cm3 の水に溶け込んでいる気体を、仮に取り出すことができるとして、その気体が 1 気圧のもとで何 cm3 の体積を占めるか、といった数値を使用します。
上のグラフの縦軸が、その気体の溶存量を示すものです。(実は、このグラフを作成している際に、ふと、冷凍生地製パン法に応用できるじゃん!、とほくそ笑んでいるところです。)
ヘンリーの法則(英: Henry's law)は気体に関する法則であり、1803年にウィリアム・ヘンリーにより発表されました。
「気体の溶解度は圧力に比例する」というもので、つまり液体の自由表面に接している気体の圧力を倍にすれば、気体の溶解度も倍になる、というものです。
膨張剤
ケーキや焼き菓子、蒸し菓子、まんじゅうなどの生地をふっくらと膨らませるために生地配合中に使用する食品添加物に膨張剤があります。
ベーキングパウダーやふくらし粉とも呼ばれ、こちらのほうがなじみのある人も多いかもしれませんね。
膨張剤には、低温で大量のガスを発生する即効性のもの、高温になってからガスを発生する遅効性のもの、長時間の加熱に耐えられる持続性のものがあり、膨張剤から炭酸ガスやアンモニアガスを発生させ、食品を膨らませる仕組みです。
主な膨張剤に、重曹として知られている炭酸水素ナトリウムやミョウバンとして知られている硫酸アルミニウムカリウムがあります。
硫酸アルミニウムカリウムは、ガス発生を持続させる目的で炭酸水素ナトリウムと一緒に使われます。
ツイッター、始めました。補足等をつぶやいています。