愛知県の渥美(あつみ)半島はメロン産地として、県内ではとても有名です。
ブロガーのerixeriさんは関西を中心においしいもの情報を発信されている方で、フルーツ、その中でもとりわけメロンに愛着があるご様子。
そのブクマコメントの中で、渥美メロンのことに触れたのですが、そこにはスーパーのパンコーナーにセッティングされていました、そのメロンシリーズのパンコーナーの存在があって。
このシリーズ3商品は、パン2種、菓子1種で加熱方法もそれぞれ異なるものばかり。
今回は、これら渥美メロンシリーズのご紹介と菓子パン焼成での上火の掛け方について解説しようと思っています。
そして、この記事を書いている最中にerixeriさんが上げられた最新記事、こちらもメロン情報でした。
【 目次 】
菓子パンの焼成方法の違い(上火)
天板を使用して菓子パンを焼成する場合、アイテムの特徴から上火の掛け方は大きく2通りに分類されます。
ちなみに、下火の掛け方は多くの製品において概ね同様で、初期で急激に温度を上昇させた後、その温度を保持して継続させるイメージとなります。
上火の掛け方は、サックリした食感を与えるか、もしくはしっとりソフトな食感を与えるかで異なってきます。
上図は、焼成中の生地上部の温度変化をイメージしたモデル図ですが、しっとり焼くパンはゆっくりと温度を上げていくのに対して、メロンパンやデニッシュのような製品は下火程ではないにしろ、初期に十分温度を上げ、焼き終わるまであまり温度を上げ過ぎないことが求められます。
製パン工場に設置されているような大型のトンネル式オーブンでは、各焼成ゾーンの設定温度を調整しますが、店舗や家庭用のオーブンではタイプによって使い分けができます。
つまり、デッキ式であればしっとり系が得意で、コンベクション式であればサックリ系が得意といった具合です。(某ベーカリーで、ミニクロワッサンがコンベクションオーブンで焼成されているところは、よく目にされるかと思います。)
なお、誤解のなきよう、デッキ式であれコンベクション式であれ、得意なジャンルがあるというだけで、けっしてそれ以外のパンが焼けないということではありません。
渥美メロンパン(100円税込)
名古屋に本社を構えるパスコが、地元愛知の渥美メロンに注目して上市しました商品です。
まずはオーソドックスなメロンパンから。
外観
サイズは通常のメロンパンより一回り小さく感じます。
そのせいでしょうか、相対的にビス生地の網目の感覚が大きいように見えてしまいます。
購入して翌日に撮影しましたが、ビス生地の上面付近と下の方の部分で色が異なっていることが分かりますでしょうか。
この商品は、ビス生地への水分移行が進行していて、既にべた付き始めています。(業界用語では、『泣きが出ている』と言われます。)
実際に食べてみましても、明らかに上面のビス生地にサックリとした食感は残っておらず、少々残念な結果に。
もしかしますと、サイズを小さくしたことで焼成時間が短くなったか、もしくはゾーンの上火温度が十分調整しきれていなかったのかもしれません。
生地底面を見てみますと、フラットな形状をしていますので、プレス天板ではなく、平天板を使用しているようです。
菓子パン類は業界用語で『腰を立たせる』と言って、一般的に高さが求められるのですが、この商品はサイズを抑えたことで相対的に高さが出ますので、あえて平天板を使用したか、あるいは高さを出すとより一層小さく見えるといった理由でプレス天板の使用を見送ったのかもしれません。
断面では、ビス生地がきれいに張られていることが見て取れます。
食感・食味・風味
ビス生地からは、甘いメロンの香りが漂ってきます。
パン生地はしっとりとソフトですが、それでもサックリとしたビス生地と一緒に食べたかったですね。
渥美メロン牛乳パン(100円税込)
仕込みに牛乳を使用して生地を作り、後充填でホイップクリームを注入したパンです。
外観
上から見ますときれいな円形で、良好な成形が想像できますが、少々の火膨れが気になります。
アンパンのゴマ付けや艶出しコートの様な跡もありませんので、最終発酵時の湿度調整に不備があったかもしれません。
側面にはきれいにホワイトラインが出ており、トンネル式オーブンで良好に焼成されていることが窺(うかが)われます。
後充填でホイップクリームを入れた跡も確認できます。
興味深いのは生地底面の焼き色で、中心の偏ったところに着色の部分があって、この部分はプレス天板が炉床に接触していた箇所、そしてその周囲の白い部分は傾斜で少し浮いていた個所と推測されます。
つまり、天板のプレスされた形状と最終発酵後の生地サイズがほぼ等しく、そのため段差が付いたような形状になっていないではないでしょうか。(下図右側の製品をご参照)
よくあるパターンとしましては、上図左の製品のように膨張した生地が天板に被さって、この場合はホワイトラインがやや上方にきますので、プレスの跡が生地底面にくっきりと残ります。
この商品の場合にはホイップクリームは空洞に充填される(例:アンパンの上部にできた空洞にホイップクリームが充填されているようなケース)わけではありませんので、注入のノズルは比較的奥まで差し込みませんと製品全体にクリームが満たされません。
食感・食味・風味
パンを持った時点でソフトさが伝わってきます。
そのソフトな食感にホイップクリームの柔らかさが加わります。
もちろん、クリームにはメロンの甘さが十分に感じられます。
渥美メロンパンケーキ(100円税込)
もちっと食感のパンケーキです。
名称は『洋生菓子』になっています、焼き色を付けていない故なのでしょうか。
私は基本的に添加物自体は開発者が消費者のことを思って商品化されていると思っていますが、それでもその添加物を使用する製品に関してはパン菓子開発担当者の思惑が入ってきます。
この原材料表示を見てしまいますと、はたしてこれだけの添加物を使用して消費者が喜んでくれるとパン菓子開発担当者は考えているのだろうか、と思ってしまいます。
外観
パンケーキと称しながら、イメージとしましては焼き色が付いていないどら焼きで、フィリングを挟んで周辺部で閉じています。
2枚がセットになっています。
生菓子だからでしょうか、一般的なパンケーキと比較しますと膨らみはおとなしい気がします。
食感・食味・風味
まずモチモチした食感が最初に伝わってきます。
それは食べた時も同様で、そして後からホイップクリームの食感と食味が伝わってくるのですが、あくまで個人的にはちょっと歯応えのあるものが入っていれば、と要望を出したくなります。
あとがき
その後このタイミングで、なぜか我が家に渥美メロンが。
そろそろ食べ頃のようです。
すみません、メロンのリポートは経験がなくて・・・、おいしく頂くことにします。