イトーヨーカドーが今年100周年を迎えたそうです。
1920年に現・セブン&アイホールディングス名誉会長・伊藤雅俊氏の叔父が浅草に『洋華堂』を開業したのが、始まりとか。
これを機に限定の商品が多くのメーカーから出ていますが、その中でも、今回は神戸屋から発売されました山型デニッシュブレッドについてご紹介致します。
加えまして、シート生地の連続製造ラインでの成形工程に関しまして解説を。
【 目次 】
イトーヨーカドー100周年
今回紹介の商品も購入しましてから、ずいぶん日にちが開いてしまいました。
念のため、昨日、近所のイトーヨーカドーで100周年イベント実施と、神戸屋のHPで山型デニッシュブレッドの商品の掲載を確認しましたので、販売されている店舗はまだあるような気がしています。
ちなみに、神戸屋のHPを眺めていました折、同社も3年前の2018年に100周年を迎えていたそうです。
そういえば、昨年もあるベーカリーの100周年を記事で紹介させて頂きましたような・・・。
この頃は、日本での企業の創設期だったのでしょうか。
山型デニッシュブレッド(429円 税込)
改めまして、商品の紹介を。
細長い形状はタカキベーカリーの小型食パンシリーズを連想させられますが、全体的には二回りほど大きめのイメージです。
包装形態はピローバッガーと呼ばれます装置が使用されていて、ロール状の包装紙がパンを包むように送られ、ひとつひとつ底部と両端部をシールしていく方法が採られています。
包装紙には、イトーヨーカドー100周年のデザインがプリントされています。
包装紙には『発酵バターが香る』と記載されていますので、発酵バターは含まれているようですが、原材料としましては発酵バター入りのマーガリンです。
重量は596g(包装紙とクロージャーの重量は引いてあります)ですので、1斤:340gとしますと、1.75斤となります。
そう考えますと、一般的にデニッシュ食パンは高めの価格設定をされていますので、この商品の429円はそれほど高額でもないような気がしています。
外観
外観形状は、オープントップの山型です。
デニッシュ食パンでは、一般的に編み込み成形で層を見せる方法が採られることが多いのですが、あえて層を出さない設計になっています。
また、一つ置きに山の出方が偏っていて、この時点ではそのような設計のパンと理解していました。
側面を見てみましても、こちらの側面では2番目と4番目の生地が大きく見えています。
そして逆の側面では中央の生地が。(両端の生地は、ほぼ等しくカット面が出ています。)
成形時の生地の詰め方の偏りは、製品の底面を見てみますと、よりはっきりと確認することができます。
意識的に交互に偏らせて、型詰めしているように見えます。
なお、焼色は全体的に濃過ぎず、それでいてしっかりと時間を掛けて色付けした感じが伝わってきます。
内相
クラムの色は黄色掛かった、やや大きめの気泡でデニッシュブレッドぽさが出ています。
カット前は、あまり気になりませんでしたが、中央当たりの側面は食型の上部に出た部分で凹みが見られます。
デニッシュ食パンは、クラストが圧縮され難く、十分な硬さが出ませんので、どうしても折れ易くはなりますが、その代わりに噛んだ時の歯切れの良さが特長となってきます。
風味、食感、食味
包装紙のキャッチ通り、バターの香りがとても感じられます。
クラストはサクサクとまではいきませんものの、十分に心地良い歯切れが、先のバターの香りやほんのりとした甘みと相まって、良好なレベルに仕上がっています。
はい、素直においしいパンでした。
連続製造ライン
デニッシュのようなシート生地から成形するパンは、コンベア上を流れてくる生地の端からぐるぐると巻いていき、その後に一定重量となるように分割していきます。
この際、装置的には一定間隔でカットする装置が多いと思いますので、製造中はこまめに作業者が分割した生地重量をチェックして、カットするタイミングを調整することになります。
ところで、今回の商品の外観を見ました際、私は上図のような成形方法を連想したのですが、神戸屋のHPに載っていました成形方法は少々異なるものでした。
神戸屋のHPによりますと、山型デニッシュブレッドの成形方法は上図のようであり、最終製品の山も均等な山が五つ幌のように並んでいる状態が本来の姿のようです。
シート生地版の俵成形?
いやいや、できた商品の外観にHPの画像とはずいぶん違いがあるようなのですが。
最後に推測ですが、おそらくシート生地をロールする工程で十分に細く巻くことができず、重量基準でカットしました際に規定の長さを出すことができなかったのではないか、と推測します。
ホールセールの商品は、設計通りに作ることが基本ですが、広い気持ちで手作り感を感じられてよかったと思うようにしています。