黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

直焼きパンのメカニズム ~ ロイヤルホスト・オニオングラタンスープのハード系のパン

 直焼きパンは、その名の通り、パン生地を直にオーブンの炉床に置いて焼成します。

 

 天板焼きのパンとの焼き方は、どのように違ってきて、どのような特徴のパンに仕上がっていくのでしょうか。

 

 先日の東京出張の際、宿泊しましたホテルの朝食を1Fのロイヤルホストで頂きました折、出てきましたオニオングラタンスープに浸されてましたハード系のパンを見て、ふと思ったことを綴っていきたいと思います。

 

【 目次 】

 

直焼きによる焼成方法

 歴史を紐解いていきますと、パンの焼成方法は直焼きから始まっています。

 

直焼きのパン

 

 蓄熱性の高い材料で炉床と空間を作り、炉内で可燃物を燃やして炉内温度を上げた後、発酵を取ったパン生地を投入して焼成する。

 

 考えてみれば、トラディショナルなパンはこの原理に基づいて焼成されているはずです。

  

天板焼きのパン

 

 そして、近年では製パンが産業化されて生産性が求められるようになり、製品搬送の目的もあってパン生地を載せるための天板を使用するようになりました。(ちなみに説明の写真を探していましたところ、ちょうどいい感じの写真がありませんでした。計測用の温度センサーが写っている、少々見難い写真となってしまいましたが、ご容赦ください。)

 

加熱のメカニズム

 それで、直焼きと天板焼きではパンの焼成条件にどのような違いが出てくるのでしょうか、考えてみます。

 

直焼きのパン

 

 パンを直焼きする場合、パン生地は高温となっている炉床にそのまま置かれるわけですから、当然、この時点で一気に熱が生地へ流れていきます。

 

 そして、デッキ式オーブンの炉床に使用されます石もしくは石質材は比熱が高く、熱伝導率が低いといった特性を持っていますので、パン生地が置かれていない箇所は高温をキープしており、パン生地の周囲は急速に高温の空気が纏(まと)わることになります。

 

 一方、天板を使用した場合も炉床の熱は一気に流れていきますが、まずは接している天板に伝わり、その天板の温度が上がって、それからパン生地へ熱が伝わります。

 

 圧倒的に焼成初期の熱の伝わりは直焼きの方が早いことが理解できます。

 

 そして、パン生地周りの空間ですが、当然、天板の温度が上がらないと空間の温度も上がってきません。

 

 ソフトな菓子パン類を焼成するのであれば、天板を使用した方が側面にホワイトラインもでき易く、適正な条件となるのですが、直焼きの場合とは明らかに焼成する対象のパンの品種は変わってきます。

 

ロイヤルホストのモーニング

 過日に仕事で東京を訪れました折、予約しましたホテルの1Fがロイヤルホストになっていて、朝食はここで食べることになっていました。

 

ロイヤルホスト オニオングラタンスープ

 

 メインのプレートに先立ってスープが出てきました。

 

 オニオングラタンスープです。

 

ロイヤルホスト オニオングラタンスープ

 

 そして、そのスープをかき回してみますと、中から出てきましたのは、縦切りされましたハード系のロールパンです。

 

 スープに浸されているとはいえ、溶けたチーズが絡んでフォークで切るのも結構大変です。

 

 このハード系のパンはスープにすぐに溶けてしまうことがなく、スプーンですくった際には十分なスープを含んでいて、それでいてスープの味を邪魔しない。

  

 パンの用途というのは随分裾野が広くて、料理の食材としての品質についても内相、食感等に検討が求められているのでしょうね。

 

メインのプレートにビックリ

 ドリンクバーで野菜ジュースとアイスカフェオレをグラスに注いで、テーブルで待っていますとメインのプレートが運ばれてきました。

 

ロイヤルホスト モーニング

 

 えっ・・・、このサラダの量がハンパな量ではなくて、載せられているお皿の深さもありましたからけっこうなボリュームです。

 

 しかも野菜には、シュリンプ、アボカド、ベーコンまで添えられていて。

 

 まあ、今年は天候の関係で野菜の価格も高騰していますし、たくさん食べられて文句を言うところでもないのでしょうけど、それにしても朝からあまりに量が多すぎる気がして、少し引いてしまいました。

 

ロイヤルホストのHPから

 仕事が終わって帰宅後、ロイヤルホストのHPでモーニングのメニューを調べてみたのですが、似たようなセットが掲載されていたものの、明らかに野菜の量が違います。

 

ロイヤルホスト モーニング

 

 何度も言いますが、メニューよりも野菜の量が多すぎて文句を言っているのではなく、驚いたといった感想を述べているだけです。

 

 この写真でが、そもそもお皿のサイズからして全く異なっています。(実際に出てきたプレートの方が、二回りほど大きなサイズのお皿です)

 

ロイヤルホスト モーニング

 

 こちらは使用されています食材が同様で、スープが付いていないワンプレートのブランチのセットですが、やはりサラダの量の違いは歴然です。

 

 この提供の方法は、ロイヤルホストの戦略?

 

あとがき

 一昨日(4日)が締切りでした学会の論文投稿ですが、翌日のAM9時頃にやっと出来上がって、申込みサイトから申請しましたところ、なんとか受理して頂けました。(ありがたい限りです)

 

 今週に入ってから、ほとんど仕事場に缶詰め状態でしたから、昨日の投稿後は一気に脱力感と疲れが押し寄せて、しばらくの間はまさに死んだように横たわっていました。

 

日本熱物性シンポジウム

 

 今年は、コロナ禍の関係でいつも参加していますもうひとつの学会は大会が中止となってしまいましたので、年内の研究発表はこの1件のみとなりそうです。

 

 もっとも、こちらの学会も開催方法はオンラインとなることが通達されていますので、発表当日は自宅から不慣れなリモートで参加することになります。

 

食パン焼成装置

 

 研究の対象は、もちろんパンです。

 

 実験装置である通称:木箱オーブンで3斤サイズの角形食パンを焼成して、その間の温度、熱流束、パンの重量を連続測定して、データ処理するわけです。

 

 ちなみにパンを焼成している過程で連続的に重量を測定できる装置は、日本でもこのお手製の木箱オーブンしかないと勝手に自負しています。

 

 内容は、10月28日以降になりませんと詳しくご説明できないのですが、簡単に解説しますと『温度を測るとパン生地から蒸発する水分量が計算できる』といったものです。

 

 多くのパン屋さんでは、焼成工程でどれだけの水分が蒸発したかを、焼きあがったパンの重量を測定して求めていますが、温度から計算できれば、焼き方による水分蒸発の傾向を捉えることができたり、オーブンの性能が評価できたりするのでは、と期待しているところです。

 

焼成後冷凍のパン ~ ベーグル・山崎製パン

 近年、新たなパン製品の流通形態として、焼成した後に冷凍する、いわゆる焼成後冷凍が脚光を浴びつつあるようです。

 

 その意味では、常温の流通ながら、以前にリポートしました北海道チーズ蒸しケーキを冷凍する操作も似たような工程になるのでしょうか。

 

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 そういえば、先日、近所のスーパーへ行きましたところ、ミニサイズの北海道チーズ蒸しケーキ4個入りが棚に並んでいました。

 

山崎製パン 北海道チーズ蒸しケーキ

 

 購入して、やっぱり凍らせてみましたところ、サイズはミニでも同様のおいしさでしたね。

 

【 目次 】

 

イオンの冷凍食品コーナー

 少し時を戻してしまいますが、7月25日にふと近所のイオンで冷凍食品コーナーを眺めていましたところ、焼成後冷凍のパンが並んでいることに気が付きました。

 

イオン 冷凍食品 棚

 

 正直なところ、TV等のニュースでもパンスクやら業務用の冷凍パンはよく報道されていましたから、存在自体は知らない訳でもなかったのですが、こんな身近にあるとは、ちょっとした衝撃でした。

 

焼成後冷凍パンについて

 ご家庭でも、買ってきて食べきれない分のパンについては個包装(と言いますか、個々にラップ等)して、冷凍される方がいらっしゃると思います。

 

 操作自体は、至って有効です。

 

 すみません、立場上、記載できることも限定されてしまうのですが、すぐには食べられないと判断された分は冷凍庫の余裕がある限り冷凍して、都度解凍されることをお奨めします。

 

 ただし、注意点もあります。

 

1.家庭用の冷凍庫では、少なくとも冷媒としての冷気が循環できるだけの余裕のスペースを空けておいてください。(ストッカーのような壁面冷却の冷凍庫であれば、あまり問題にはなりませんが)

 扉がやっと閉まるかどうか、といったレベルまで食品を詰め込んでしまいますと、冷気が循環できず、冷却能力が極端に低下し、最悪の場合、冷凍できないといったことも起こり得ます。

 

2.扉の開閉は、できるだけ控えて下さい。

 扉の開閉で、庫内温度は当然上昇します。

 温度が上昇するという事は、冷凍されている食品中の水分が再結晶化することを意味しますので、食品内部の構造的な破壊を促進してしまいます。

 

別の日の買い物で

 前回に焼成後冷凍パンを見掛けてからしばらく日にちが経ち、8月12日にイトーヨーカ堂へ行きました時の事、ここでも・・・ありました、焼成後冷凍のパンが。

 

イトーヨーカドー 冷凍食品 棚

 

 思い出したように、その足でイオンへ向かいます。

 

 実は、近所にはイオン、イトーヨーカ堂アピタ、バロー等といろいろなスーパーが点在しているのですが、こと冷凍食品に関してはイオンが群を抜いて充実しています。(全国的に、この限りではありません。あくまで、近所のスーパーの評です)

 

イオン 冷凍食品 棚

 

 なにか商品が変わっていることを期待しましたが、半月程度ではまったく同じ商品が並んでいました。(考え方としましては、商品の改廃が少なければ、メーカーにとってお有効な商品ですね)

 

ベーグル

 購入しましたのは、プレーンのベーグルです。

 

焼成後冷凍パン

 

 山崎製パンが近年力を入れていますルヴァン発酵種を使用した商品です。

 

 188円(税別)ですが、今回は私的な食料品の買い物と一緒に購入しました(レシートが一緒になってしまいました)ので、個人事業の経費(調査研究費)に入れられません(どうでもいいお話ですね)。

 

焼成後冷凍パン

 

 形状は、ロール成形で中央部が膨らみを持ったまま、リング状に成形されています。

 

 ベーグル成形機は使用せず、手作業で成形しているのでしょうか。

 

 表面の光沢はしっかりと出ていますので、焼成初期での蒸気加熱⇒乾燥⇒焼成は良好にできているようです。

 

 使用しているオーブンがバッチ式のラックオーブンであれば、操作は比較的容易なのですが、もしトンネルオーブンのような連続式のオーブンであった場合、一定時間の蒸気加熱を行うのは結構大変です。

 

 蒸気を単に噴きつけるだけでは、一瞬の加熱に留まってしまい、希望する蒸気加熱ができません。

 

 さて、私はベーグルを横割りにスライスしてトーストするのが常ですので、いつも通りに切ろうとしましたところ・・・。

 

焼成後冷凍パン

 

 恥ずかしながら、凍ったままでは上手く切れませんでした。(パスコのイングリッシュマフィンのように、側面の切れ込みを入れてくれると、とても助かるのですが)

 

 でも、おいしく頂けましたよ、常温流通のベーグルに負けず劣らずでした。

 

他社の焼成後冷凍パン

パスコ(敷島製パン) L’Oven(ル・オーブン)

 ネット通販を主体としており、一般のご家庭でも購入できます。

 

 ハード系製品を中心に専用ラインで焼成後、急速冷凍して、直送しています。

 

進々堂

 業務用で、ホテルやレストラン、結婚式場等への供給が主となります。

 

 同社は直営ベーカリーも有していて、ここで扱ってきましたアルチザンブレッド等を焼成後冷凍パンとして届けています。

 

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パンフォーユー

 近年、注目を集めているパンのサブスク(定額で、商品を提供する業務形態)を展開しています。

 

 地域ごとに点在する個人店のベーカリーの商品を冷凍して、主にオフィス向けに福利厚生として供給し、離れたパン屋さんの味を日本のどこにいても楽しめるコンセプトとしています。

 

あとがき

  前回の投稿からずいぶん日にちが経ってしまいました。

 

 仕事量のバラツキが主な理由なのですが、ただこれはこれでありがたいことに、依頼講演の打診を講師として受けていましたところ、受講者が集まったとの連絡が開催元から昨日入って開講が決まったりとか、私のとある研究テーマに研究費を出してくれる旨の申し出が企業からあったり、とバタバタしておりました。

 

 今は、10月の学会の論文締切り(あと4日)にも追われています。

 

 ブログのネタばかりが溜まっていってしまい、投稿した時には情報が古くなっていることが心配ですので、できるだけ頑張って上げていこうと思っていますが、若くもありませんので、身体と相談しながらペースを守って綴っていこうと思っています。

 

(追記) 個人事業も昨日で丸6年が過ぎ、今日から7年目に突入しました。また、気持ちも新たに頑張っていく所存です。(^O^)/

 

街のパン屋さん ~ ブーランジェリー スドウ

 前々回の記事で、 ラトリエ ドゥ プレジール(祖師ケ谷大蔵)をリポートしましたが、実はそのお店に行く途中で、食べログ・東京 パン 人気ランキング第4位のブーランジェリー スドウへ立ち寄ってきていました。

 

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 このお店はクロワッサンが人気のようで、人気ランキングでもペーストリーのカテゴリーであれば最上位のランクとなります。

 

【 目次 】

 

東京で人気のパン屋さん 

 突然ですが、東京の人気(あくまで食べログのランキングですが)のパン屋さんが世田谷近辺に集中していることに、ふと気が付きました。

 

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 今回は、シニフィアン シニフィエ(第3位)があります三軒茶屋から東急世田谷線松陰神社前へ移動した訳なのですが、そこから祖師ケ谷大蔵(ラトリエ ドゥ プレジール 第1位)へ向かいましたし、思えば国産小麦のパンを扱っていますブーランジェリー LA TERRE(ラ・テール)も池尻大橋と比較的近くにあります。

 

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 私は東京都区民ではありませんので、事情もなにも分からないのですが、たまたまなのでしょうか。(と、思っていましたら、『パンの街 世田谷』とか、毎年行われる『世田谷パン祭り』といった記事が飛び込んできました)

 

ブーランジェリー スドウ

 さて、目的のブーランジェリー スドウへ行くには、東急世田谷線の2両編成の電車を松陰神社前で降ります。

 

 清算は電車内で行いますので、駅に改札口はありません。

 

ブーランジェリースドウ

 

 駅の先に出口があったのですが、それを知らず電車の進行方向手前の出口から出てしまい、大回りをしてしまいました。

 

ブーランジェリースドウ

 

 駅の先の出口を出ますと、すぐ左手にブーランジェリー スドウが見えます。

 

ブーランジェリースドウ

 

 この日は小雨が降る中、既に結構な人数が行列を作っています。

 

 コロナ禍で、店内に入れますのは3名までの制約が設けられています。

 

ブーランジェリースドウ

 

 やっと、私の順番が回ってきましたが、残念ながら店内は感染防止の観点から撮影はもちろん、携帯の使用も禁止となっていましたので、このお店での撮影はここまでとなります。(ただ、店員さんはすごく優しく『コロナ禍が落ち着きましたら、その時は撮影していって下さい』とお声掛けを頂きました)

 

 店外からの写真でもお分かりの通り、並べられていますパンは華やかといった表現がピッタリくる商品ばかりです。

 

購入のパン

 ブーランジェリー スドウの人気商品はクロワッサンのようなのですが、10時の開店に対して10時30分頃の到着だったにも関わらず、既に品切れとなっていました。

 

 追加はあると思うのですが、さすがにそのタイミングを待っていられる時間の余裕もありませんでしたので、今回はペーストリー製品を含めて4品のパンを購入しました。

 

ブーランジェリースドウ

 

 この後、仕事のアポイントメントもありますし、もう1軒のパン屋さんへも行く予定でしたので、たくさんのパンは買ってこられません。

 

 食べログのコメントでは、ブーランジェリー スドウのパンは既に料理の域に達している等、熱狂的なファンもいるようですが、たしかに1品1品がいずれも手が加えられている高価なパンを演出しています。

 

ショコラフランボワーズ(450円 税別)

 すみません、持って帰ってくる過程でトッピングの部分が崩れてしまいました。

 

ブーランジェリースドウ

 

 家族はベリー系が好きですので(フランボワーズ = ラズベリー)のペーストリーをチョイスしました。

 

ブーランジェリースドウ

 

 この商品、華やかな見た目にも非常に映えるパンなのですが、加えて生地の層がとてもきれいに出ていることに目が留まりました。

 

 一口食べてみましたところ、サックリとした1層1層の生地がとても心地良い食感を醸し出します。

 

 連続生産ラインで対応が難しいと考えていますパンのひとつが、このようなきれいな層の製品で、また別の機会に解説できればと思っています。

 

クイニーアマン(350円 税別)

 同じくシート生地から作りますクイニーアマンを購入しました。

 

ブーランジェリースドウ

 

 上面(焼成している時は底面)のカラメルが独特の歯応えの食感となります。

 

ブーランジェリースドウ

 

 裏面(焼成している時の上面)は、少し生地がはみ出てしまったみたいですね(御愛嬌ということで・・・)

 

大納言(230円 税別)

 せっかくですので、ハード系のパンも購入しました。

 

ブーランジェリースドウ

 

 大納言小豆を包んでロール成形し、馬蹄形に成形した商品です。

 

ブーランジェリースドウ

 

 裏面を見てみますと、手粉が残っていますし、ハースブレッド(直焼きパン)の表情ですね。

 

 ゆっくりと製造現場も眺めていられませんでしたので、オーブンの機種も分からず終いですが、一番気になるところです。

 

ブーランジェリースドウ

 

 断面ですが、大納言小豆のかの子豆がぎっしりと詰まっていることが分かります。

 

 外観形状も立っていますし、吸水は一般的な68~70%程度でしょうか。

 

あん発酵バター(340円 税別)

 我が家の定番、あんバターがありましたので、こちらも購入。

 

ブーランジェリースドウ

 

 生地はソフト系のロール生地です。

 

 名前の通り、発酵バター粒あんがぎっしりと充填された商品です。

 

 おいしゅう頂きました。(コメント、これだけかい!)

 

あるコンビニの総菜パン ~ 包装紙の違い、分かりますか?

 ふと入ったコンビニ:ミニストップで、なんの気なしにパンコーナーを見ていましたところ、惣菜パンの並びで目が留まりました。

 

 あらびきウインナー

コンビニパン

 

 カツソーセージ

コンビニパン

 

 さて、このふたつの惣菜パンを見て、私は『えっ、どうして?』と思った訳なのですが、みなさん、なにか気付いたことはありますでしょうか?

 

【 目次 】

 

個包装の形態

 菓子パン類など商品をひとつずつ包装する個包装におきまして、工場の連続生産ラインでは一般的に三方シールと呼ばれます包装形態を採用しています。

 

 これは、ロール状の包装紙から両端2ヶ所と下部の重ね部分の計3ヶ所をシールする特徴から、このように呼ばれています。

 

インナーバンド

 それでは、それぞれの商品の端をハサミで切って、横方向から包装紙を見てみましょう。

 

 あらびきウインナー

コンビニパン

 

 カツソーセージ

コンビニパン

 

 お分かりになりますでしょうか。

 

 あらびきウインナーの方は外側の包装紙と惣菜パンが接触したことによって、マスタードが汚れとして外側の包装紙に付着しています。

 

 一方、カツソーセージの商品ではパンと外側の包装紙の間にもう1枚のシートが挟まれていて外側の包装紙には汚れが認識されません。

 

 カツソーセージの惣菜パンに密着している内側のシートのことをインナーバンドと呼んでいますが、私がコンビニのパンの棚であらびきウインナーの総菜パンを見た時に、つい目が留まってしまいましたのは、どうして外側の包装紙に汚れがついているのだろうといったことからでした。

 

 些細な点かもしれませんが、ちょっとずつの改善が知らず知らずの内に顕著な製品力の差となって潜在化されていく、私はそう思っています。

 

製造元

 ところで、同じコンビニの総菜パンですが、それぞれ製造しているメーカーは異なっています。

 

 あらびきウインナー

コンビニパン

 

 カツソーセージ

コンビニパン

 

 異なる製造ラインで作られていますので、このような違いも出てきたりするのでしょうね。

 

商品比較

 せっかく購入しましたパンですので、比較をしながら、特徴について列記していこうと思います。

外観

 どちらの総菜パンも舟形成形で最終発酵まで取り、焼成前に具材を載せていることが伺えます。

 

 あらびきウインナー

コンビニパン

 

 カツソーセージ

コンビニパン

 

 そして、カツソーセージの方は形状が歪ですが、表面の艶は綺麗に出ています。

 

 ところで、舟形成形と言いますのは、2本のロール成形しました生地の両端を摘まんで合わせる方法です。

 

舟形成形

 

 成形方法につきましては、商品の底面を見ても容易に推測ができます。

 

 あらびきウインナー

コンビニパン

 

 あらびきウインナーは、プレス天板を使用しているようです。(くっきりと跡が付いています)

 

 カツソーセージ

コンビニパン

 

 一方、カツソーセージの方は平天板のようですね。

 

触感・食感

 それぞれの総菜パンを包装紙から取り出す時、明らかな触感の違いが手に伝わってきました。

 

 手に持った時の柔らかさがまったく異なります。

 

 あらびきウインナーと比較して、カツソーセージの生地は確実にソフトで、ふんわりしていました。

 

 それは、食べた時の食感にも如実に表れます。

 

 あらびきウインナーの生地がぱさぱさしていて引きが強いことに比べ、カツソーセージの生地は柔らかく口溶けも良好です。

 

再び、外観

 もしやと思って、改めてそれぞれのパンの側面を見てみました。

 

 あらびきウインナー

コンビニパン

 

 カツソーセージ

コンビニパン

 

 どうですか、あらびきウインナーの方は、パンの側面もほぼ均等に焼き色が付いていますが、カツソーセージの方では顕著にホワイトラインができており、生地上面との焼き色のコントラストが形成されています。

 

推測される焼成条件

 このような焼き色の違いは焼成の熱源が異なっていることに起因していることが、まず第一に推測されます。

 

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 さらに言及するのであれば、おそらくあらびきウインナーの方は、対流加熱を主とする形式のオーブン、例えばラック式オーブンを使用して焼成しているのではないでしょうか。

 

 一方、カツソーセージは上火と下火がそれぞれコントロールできるタイプのオーブン、例えばフラットプレートの炉床のトンネル式オーブンを使用して、焼成初期(上火:弱、下火:強)⇒焼成後期(上火:強、下火:弱)と温度を設定して焼成していると推測します。(上火の熱源は、遠赤外線のような輻射熱が主体です)

 

 この日は、結局、昼食がコンビニの総菜パン2個となってしまい、中学・高校の頃でしたらペロッと食べられてしまっていたはずなのですが、今ではけっこうお腹に溜まりますね。

 

 惣菜パンって、こんなにボリューミーでしたっけ?

  

ラトリエ ドゥ プレジール ~ 食べログ 東京 パン 人気ランキング 第1位

 これまで食べログ・東京 パン 人気ランキングを参考にいくつかの店舗を訪問してきましたが、今回はそのランキング第1位(2020年7月1日更新)、2967店の人気の頂点に立つ ラトリエ ドゥ プレジール(祖師ケ谷大蔵)へ行ってきました。

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 お店にも、当然扱われています商品にも大いに興味ありありの面持ちで出掛けてきましたリポートです。

 

【 目次 】

 

ラトリエ ドゥ プレジー

 小田急小田原線の祖師ケ谷大蔵駅を降りて5分ほど歩きますと、そのお店はあります。

 

 けっして、大きな店舗でも、目立つ店構えでもなく、地元に密着していて常連のお客さんに愛されている感のある雰囲気でした。

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 月・木曜日が定休日で、開店も12時と比較的遅い時刻でしたものの、開店後10分程度遅れて到着した時には、既に5~6人の行列ができていました。

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 最近は多いのですが、新型コロナの影響で店内へ入れますのは3名までと制限が掛けられています。

 

 ソーシャルディスタンスのためには、仕方がありません。

 

 そして、店内は撮影が禁止となっておりましたので、店内の様子は文面のみでの解説となります。

 

購入した商品について

 ラトリエ ドゥ プレジールでは、曜日限定の商品がいくつかあります。

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 ここは正直に、今回が初めての来店であることを店員の方に伝え、おすすめの商品を教えて頂きました。

 

 そして今回は、パン オ フリュイ ルージュ2018、店名にもなっているプレジール、そして、日替わりバゲットの3品を購入です。(プレジールと日替わりバゲットは、曜日限定の商品です)

 

パン オ フリュイ ルージュ2018 (Pain aux fruits rouge2018)

 ラトリエ ドゥ プレジールの人気No.1商品のようです。

 

 価格は量り売りの1g・3.8円(税込)となっていて、今回は1/2本で1,071円です。(注文の仕方としては、スライスしてもらって〇〇枚といったことも可能だそうです)

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 パン オ フリュイとは、木の実やフルーツふんだんに使用したぱんのことで、お店の説明では、ピスタチオ、クルミ、ヘーゼルナッツ、ピーカンナッツマカダミアナッツ、アーモンド、カシューナッツ、イチジク、サルタナレーズン、カレンズ、クランベリー、サンマスカットレーズン、レッドレーズン、いよかんピール、オレンジピール、グリュエドカカオ、黒胡椒を入れて生地を作っているのだそうです。

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 そして、ルージュという名称は、水を一切使わず、山葡萄果汁のみを使い練り上げているところに由来しているのでしょう。

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 他の商品も外観形状の傾向は同様なのですが、ハード系の商品にしては、生地の腰が出ていない、つまり生地底面が持ち上がっていない特徴があります。

 

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 以前にランキング3位のシニフィアンシニフィエの商品についてのリポートで、高加水の生地である旨を解説しましたが、同様の傾向が見られます。

 

 もしかして、高加水のトレンドが来ているのかもしれませんね。(実は、ホールセール商品にもこのような流れが少し出ているようです)

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 生地の断面からは、まず山葡萄果汁のみを使って練り上げた生地の色が確認できます。

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 そして、スライスしますとより鮮明に見て取れるのですが、生地に混ぜ込んでいます木の実やフルーツの量がおそらく生地以上に使われていると推測します。

 

風味・食味・食感

 噛んだ際の食味は、混ぜ込まれた木の実やフルーツが前面に出てきますが、風味はそれに先立ちまして山葡萄果汁のそれが口の中に広がります。

 

 生地の食感は、クラストはカリカリしていますものの、クラム部分は非常にもっちりしています。(もっとも、全体的な感覚としては、混ぜものである木の実やフルーツのつなぎのようなイメージでしたが)

 

プレジール (PLAISIR)

 店名にもなっているほどの商品ですので、原材料のこだわりは強く、5種類のオーガニック小麦粉を使って仕上げています。

 

 今回は、小さいサイズの方を購入し、490円(税込)でした。

 

 水曜日・土曜日・日曜日限定の商品です。

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 今回購入しました、すべての商品について言えるのですが、クープの入れ方が非常に特徴的です。

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 そして、この商品も側面から見てみますと、外観が流れたような形状になっていることが分かります。

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 そして、気になっていたことなのですが、底面の手粉の量が非常に多く、焼成後にもくっきりと白く残っています。

 

 つまり、ここまで手粉を使用しなければならない理由があるのでしょう。(なんだか、半沢直樹の推理っぽくなってきてしまいましたが、高加水の生地と考えれば、つじつまが合います)

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 内相は、ハード系製品によく見られます、大小の気泡が共存している状態で、その気泡はとても光沢があります。

 

風味・食味・食感

 小麦本来の風味・食味が噛んだ際に伝わってきます。

 

 そして、生地の食感は、クラストはカリカリしていますものの、クラム部分は非常に持っちりしていて、高加水生地の特徴が出ています。

 

日替わりバゲット

 日替わりで製造しているバゲット(460円 税込)になります。

 

 甘味を引き出したバゲットは、水・土・日曜日限定の商品です。

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 クープは、小さくクロス状に入れられています。

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 そして、やはり底面は手粉がしっかりと付いています。

 

ラトリエ ドゥ プレジール

 

 内相の傾向は、プレジールと同様で、色合い的には使用されています小麦粉由来でしょうか。

 

風味・食味・食感

 甘みを引き出したバゲットでしたが、あまり意識せずに普通においしいと思って食べていました(すみません)。

 

 食感は、クラストのウェイトローラーが高い分、カリカリ感が感じられますが、やはりクラムのモチモチ感は健在です。

 

使用されているオーブンについて

 写真撮影は叶いませんでしたが、店内を見た感想としまして、非常に使い込まれた機材が並んでいた感想です。

 

 オーブンは珍しく、㈱ワールド精機製のデッキ式オーブン・FLAME(フラーム)が入っていました。

 

 さすがに機種まではわかりませんでしたがワールド精機という会社は電気式も製造していますが、どちらかと言いますとガス式オーブンで特に知られるオーブンメーカーです。

 

 もしかしまして、ラトリエ ドゥ プレジールの製品特徴がガス式オーブンによる焼成条件からも来ているとすれば、これはこれで非常におもしろい結果かと思います。

 

雑記・山下と豪徳寺の駅、他

 私のような田舎者は乗換えができるような駅は、同じではないにせよ(名古屋で言うところの、栄と栄町のように)類似した駅名と思い込んでいたのですが、東京では通用しないようです。

 

 この日は、ランキング第4位のブーランジェリー スドウ(松陰神社前)から東急世田谷線に乗って、途中小田急線に乗り換えますところ、豪徳寺の駅名を待っていてもなかなか到着せず、結果、終点まで乗り過ごしてしまいました。

 

東急 山下駅

(東急世田谷線山下駅から向こうに小田急線を臨みます)

 

 実は、東急世田谷線の駅名は山下駅で、乗換えの小田急小田原線の駅名は豪徳寺駅とまったく関連性のない駅名なのだと、その時に知りました次第です。

 

 よく調べていない自分のミスですが、思い込みはよくないと反省しきりです。

 
 近い内に、同日に訪問しましたブーランジェリー スドウについても記事をアップする予定です。

 

 最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。