黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

今日は、土用の丑の日・・・ということで、うなぎパン

 最近、少々多忙な日が続いておりまして、なかなか記事を上げることが叶いませんので、少し骨休めの記事を。

 

 改めまして、今年の土用の丑の日は今日7月28日です。

 

 という訳で、家族が近くのスーパーで買ってきてくれました、こちらのパンをご紹介です。

 

うなぎパン

 

 言うまでもなく、うなぎパンでした。

 

 解説は至って簡単に・・・、生地はデニッシュ生地、目はチップチョコレート、胸ヒレはアイシングで、尾ヒレはチョコ掛けで表現されています。

 

 長い梅雨が明けたしたら、お決まりの猛暑ですが、みなさん、くれぐれもご自愛されてお過ごしください。

 

 時間を見つけて、またパンの記事をアップしていきます。

 

 ちなみに、今日の夕食はうなぎのかば焼きを頂きました(うなぎパンではなくて)、ごちそうさまでした。

 

渥美メロンシリーズ・パスコ ~ 菓子パン焼成(上火)

 愛知県の渥美(あつみ)半島はメロン産地として、県内ではとても有名です。

 

 ブロガーのerixeriさんは関西を中心においしいもの情報を発信されている方で、フルーツ、その中でもとりわけメロンに愛着があるご様子。

 

erixeri.hatenablog.com

 

 そのブクマコメントの中で、渥美メロンのことに触れたのですが、そこにはスーパーのパンコーナーにセッティングされていました、そのメロンシリーズのパンコーナーの存在があって。

 

渥美メロンパン

 

 このシリーズ3商品は、パン2種、菓子1種で加熱方法もそれぞれ異なるものばかり。

 

 今回は、これら渥美メロンシリーズのご紹介と菓子パン焼成での上火の掛け方について解説しようと思っています。

 

erixeri.hatenablog.com

 

 そして、この記事を書いている最中にerixeriさんが上げられた最新記事、こちらもメロン情報でした。

 

【 目次 】

 

菓子パンの焼成方法の違い(上火)

 天板を使用して菓子パンを焼成する場合、アイテムの特徴から上火の掛け方は大きく2通りに分類されます。

 

 ちなみに、下火の掛け方は多くの製品において概ね同様で、初期で急激に温度を上昇させた後、その温度を保持して継続させるイメージとなります。

 

菓子パン焼成

 

 上火の掛け方は、サックリした食感を与えるか、もしくはしっとりソフトな食感を与えるかで異なってきます。

 

 上図は、焼成中の生地上部の温度変化をイメージしたモデル図ですが、しっとり焼くパンはゆっくりと温度を上げていくのに対して、メロンパンやデニッシュのような製品は下火程ではないにしろ、初期に十分温度を上げ、焼き終わるまであまり温度を上げ過ぎないことが求められます。

 

 製パン工場に設置されているような大型のトンネル式オーブンでは、各焼成ゾーンの設定温度を調整しますが、店舗や家庭用のオーブンではタイプによって使い分けができます。

 

 つまり、デッキ式であればしっとり系が得意で、コンベクション式であればサックリ系が得意といった具合です。(某ベーカリーで、ミニクロワッサンがコンベクションオーブン焼成されているところは、よく目にされるかと思います。)

 

 なお、誤解のなきよう、デッキ式であれコンベクション式であれ、得意なジャンルがあるというだけで、けっしてそれ以外のパンが焼けないということではありません。

 

渥美メロンパン(100円税込)

 名古屋に本社を構えるパスコが、地元愛知の渥美メロンに注目して上市しました商品です。

 

渥美メロンパン

 

 まずはオーソドックスなメロンパンから。

 

外観

 サイズは通常のメロンパンより一回り小さく感じます。

 

 そのせいでしょうか、相対的にビス生地の網目の感覚が大きいように見えてしまいます。

 

渥美メロンパン

 

 購入して翌日に撮影しましたが、ビス生地の上面付近と下の方の部分で色が異なっていることが分かりますでしょうか。

 

 この商品は、ビス生地への水分移行が進行していて、既にべた付き始めています。(業界用語では、『泣きが出ている』と言われます。)

 

 実際に食べてみましても、明らかに上面のビス生地にサックリとした食感は残っておらず、少々残念な結果に。

 

 もしかしますと、サイズを小さくしたことで焼成時間が短くなったか、もしくはゾーンの上火温度が十分調整しきれていなかったのかもしれません。

 

渥美メロンパン

 

 生地底面を見てみますと、フラットな形状をしていますので、プレス天板ではなく、平天板を使用しているようです。

 

 菓子パン類は業界用語で『腰を立たせる』と言って、一般的に高さが求められるのですが、この商品はサイズを抑えたことで相対的に高さが出ますので、あえて平天板を使用したか、あるいは高さを出すとより一層小さく見えるといった理由でプレス天板の使用を見送ったのかもしれません。

 

渥美メロンパン

 

 断面では、ビス生地がきれいに張られていることが見て取れます。

 

食感・食味・風味

 ビス生地からは、甘いメロンの香りが漂ってきます。

 

 パン生地はしっとりとソフトですが、それでもサックリとしたビス生地と一緒に食べたかったですね。

 

渥美メロン牛乳パン(100円税込)

 仕込みに牛乳を使用して生地を作り、後充填でホイップクリームを注入したパンです。

 

渥美メロンパン

 

外観

 上から見ますときれいな円形で、良好な成形が想像できますが、少々の火膨れが気になります。

 

 アンパンのゴマ付けや艶出しコートの様な跡もありませんので、最終発酵時の湿度調整に不備があったかもしれません。

 

渥美メロンパン

 

 側面にはきれいにホワイトラインが出ており、トンネル式オーブンで良好に焼成されていることが窺(うかが)われます。

 

 後充填でホイップクリームを入れた跡も確認できます。

 

渥美メロンパン

 

 興味深いのは生地底面の焼き色で、中心の偏ったところに着色の部分があって、この部分はプレス天板が炉床に接触していた箇所、そしてその周囲の白い部分は傾斜で少し浮いていた個所と推測されます。

 

渥美メロンパン

 

 つまり、天板のプレスされた形状と最終発酵後の生地サイズがほぼ等しく、そのため段差が付いたような形状になっていないではないでしょうか。(下図右側の製品をご参照)

 

 

菓子パン焼成

 

 よくあるパターンとしましては、上図左の製品のように膨張した生地が天板に被さって、この場合はホワイトラインがやや上方にきますので、プレスの跡が生地底面にくっきりと残ります。

 

渥美メロンパン

 

 この商品の場合にはホイップクリームは空洞に充填される(例:アンパンの上部にできた空洞にホイップクリームが充填されているようなケース)わけではありませんので、注入のノズルは比較的奥まで差し込みませんと製品全体にクリームが満たされません。

 

食感・食味・風味

 パンを持った時点でソフトさが伝わってきます。

 

 そのソフトな食感にホイップクリームの柔らかさが加わります。

 

 もちろん、クリームにはメロンの甘さが十分に感じられます。

 

渥美メロンパンケーキ(100円税込)

 もちっと食感のパンケーキです。

 

渥美メロンパン

 

 名称は『洋生菓子』になっています、焼き色を付けていない故なのでしょうか。

 

渥美メロンパン

 

 私は基本的に添加物自体は開発者が消費者のことを思って商品化されていると思っていますが、それでもその添加物を使用する製品に関してはパン菓子開発担当者の思惑が入ってきます。

 

 この原材料表示を見てしまいますと、はたしてこれだけの添加物を使用して消費者が喜んでくれるとパン菓子開発担当者は考えているのだろうか、と思ってしまいます。

 

外観

 パンケーキと称しながら、イメージとしましては焼き色が付いていないどら焼きで、フィリングを挟んで周辺部で閉じています。

 

渥美メロンパン

 

 2枚がセットになっています。

 

渥美メロンパン

 

 生菓子だからでしょうか、一般的なパンケーキと比較しますと膨らみはおとなしい気がします。

 

食感・食味・風味

 まずモチモチした食感が最初に伝わってきます。

 

 それは食べた時も同様で、そして後からホイップクリームの食感と食味が伝わってくるのですが、あくまで個人的にはちょっと歯応えのあるものが入っていれば、と要望を出したくなります。

 

あとがき

 その後このタイミングで、なぜか我が家に渥美メロンが。

 

渥美メロンパン

 

 そろそろ食べ頃のようです。

 

 すみません、メロンのリポートは経験がなくて・・・、おいしく頂くことにします。

 

 

コストコ守山倉庫店がオープン・フレンチロール&パニーニ ~ パーベイク技術について

 昨日の7月8日(木) AM5:30 、名古屋市で初となります、コストコ守山倉庫店(名古屋市守山区中志段味特定土地区画整理組合地区内70街区1-1)がオープンしました。

 

 前回の記事では、文末に事前の会員登録の様子を記載させて頂きましたが、いよいよショッピング本番です。

 

www.santa-baking.work

 

 人生初コストコは果たして・・・、そして新たなパンの発見はあるのか・・・。

 

 そして、日本ではまだなじみの薄いパーベイク技術について、少々解説を加えていきたいと思います。

 

【 目次 】

 

パーベイク技術とは

 ヨーロッパではすっかり定着している製パン技術なのですが、日本ではまだなじみが薄いようです。

 

 以前の記事では、リトアニアから輸入されていましたパーベイク製品について解説しています。

 

www.santa-baking.work

 

 パーベイク製品は、一般的に(感覚的な表現ですが)80~90%の焼成を完了させた状態で冷凍して、生地の焼色はごく薄く付く程度ですが、火通りは完了している状態のパンを指します。

 

 先述しました通り、ずいぶん以前からヨーロッパではハード系の焼き立てパンを提供するベーカリーで一般的に採用されているメジャーな製法です。(パンへのこだわりが強いヨーロッパの方々が認めた品質が、パーベイク製品でも得られていると認識されていると理解しています。)

 

 この状態では完成品ではありませんので、残りの10~20%を再焼成(リベイク)することで完成したパンとなります。(つまり、[パーベイク]⇒[冷凍]⇒[リベイク])

 

 ただし、この製法が日本のしっとり系のパンに適しているか、となりますと、そこは若干の課題が残っているようですけど(どうしても、トータルの水分蒸発量は増えますので)。

 

コストコ守山倉庫店へ参ります

 通常の開店時刻はAM10:00のようですが、オープンからしばらくの間は開店時刻を早めて営業するそうで、事前のアナウンスで初日はAM8:00となっている上、状況によっては近隣の渋滞状況から開店時刻をさらに早めることもあるとのこと。

 

 まあ、そうは言っても、と高を括って(たかをくくって)AM6時にアラームをセットして就寝していましたところ、AM4時30分に家族から『4時に100人くらいが列を作っているって』との別アラームが!

 

 急きょ支度をしてコストコへ向かい、家族のツイッター記録から検証しますと、『家を出た』時刻:4時50分から『着いた』時刻の5時10分までの20分で移動は完了して、無事にそのまま2F駐車場へ車を止めることができ、開店を待ちます。(この時間帯ですと、車の流れも至ってスムーズです。)

 

 なんと、この日はAM8:00の開店予定を2時間30分繰り上げて、5時30分の開店になりそうとのこと。

 

 結局、並びました列はコストコに着いて数十分で動き出し、そのまま店内へ。

 

いざ、ショッピング

 結局、開店時には1000人程度の人が並んだようで、私達が入店する頃には既に買い物を終えて戻ってくるお客さんも。

 

 さて、我が家の最大の目的はホノルルクッキー(パイナップルクッキー)でしたので、入店早々店員さんに売り場を聞き、直行です。

 

コストコ

 

 他のお店でも、すぐに売り切れると評判を聞いていたのですが、その情報通り、売り場に着いた時には、あと1ケースと半分程度が残っているだけ。(売り場へ到着前にすれ違ったお客さんは、ケース毎箱買いしていました。この日は、転売ヤーの人も一定数いたようですね。)

 

 早々に6袋をゲットして、あとはのんびりと店内を見学しながら、商品を物色です。

 

コストコ

 

 このピザの直径は約40㎝です。(我が家では、1回の食事で1/8~1/4に分けていますので、4~8食分ですね。1498円 税込 ⇒ 187~375円/1食、となります。)

 

 ところで、店内は撮影が禁止ということを帰宅後に知りました。

 

 という訳で、店内の様子を画像でお示しすることができません。

 

 ぬいぐるみ情報をリクエストして頂きましたブロガーのねこ (id:pinkstrawberryflavor)さん、熊の巨大ぬいぐるみ(?名物)については、そのような訳で画像をお伝えすることが叶いません、すみません。

 

 パンのコーナーでは、出典は不祥ながらコストコのおすすめ商品ランキングで、1位のディナーロールと5位のマスカルポーネロールがパン棚を所狭しと並んでいます。

 

 奥のスペースでは、ラック式オーブンが並んでいて、焼き立てのパンを冷却後包装しているのでしょう。

 

 なお、ランキング2位のロティサリーチキン(699円 税込)は、持つとずっしりとした重さが手に伝わってくる程です。

 

コストコ

 

 3位のティラミス・ドルチェと7位プルコギビーフは、(巨大)サイズも鑑みて、今回は見送りとなりました。

 

 冷凍できる商品でしたらセレクトしましても、仕事場には容量250㍑の冷凍ストッカーがありますので、ストックは余裕なのですけどね。

 

フレンチロール(6個×4パック=24個入り 598円 税込)

 パンとしましては、こちらのフレンチロール(パーベイク製品の解凍品)を購入です(1個が、約25円です)。

 

コストコ

 

 Made in France と記載されていますので、フランスで焼成・冷凍して輸送されてきたと思われます。

 

コストコ

 

 原材料は、小麦粉、発酵小麦粉(発酵種?)、麦芽小麦粉の3種類の粉と、それ以外はイースト、食塩、ビタミンCのみです。

 

外観

コストコ

 

 縦に一本のクープが入れられていて、上面の焼き色はほとんどついていません。

 

コストコ

 

 そして横から見てみますと、この高さです。

 

コストコ

 

 底面にはパンチングメッシュの跡がしっかりと付いていますので、直焼きではなく、(コストコ店内にも設置されていたような)ラックオーブンで焼成していたのでは、と推測します。

 

パンチング

 

 なお、私が知るところのパンチングメッシュの天板と比較しますと、メッシュの跡が細かく、開口度が広くなっている気がします。

 

 もしかしますと、吸水を上げる等で生地が柔らかくなっていたりしているのかもしれません。

 

コストコ

 

 スライス面を見てみますと、気泡の目は細かく揃っていて、一般的なハースブレッド(直焼きパン)のような偏りは見られません。

 

食味・食感・風味

 ハード系のパンをイメージしますと、比較的ソフトで歯切れと口溶けはとても良好なパンです。

 

 原材料がシンプルですので、シンプルに小麦のおいしさが伝わってくるような商品でした。

 

パニーニ(2個×8パック=16個入り 798円 税込)

 片側に焼き印の斜線が入ったロールパン(パーベイク製品の解凍品)です(1個が、約50円です)。

 

コストコ

 

 先述のフレンチロールもそうですが、小麦の使い方が特徴的(小麦粉、小麦胚芽、小麦麦芽粉、小麦グルテン)です。

 

コストコ

 

 そして、変わっているところでは全粉乳を使用しているところでしょうか。

 

 全粉乳とは生乳からそのまま水分を抜いたもので、日本ではバターといった油脂分を取り除いた残りから水分を抜いた脱脂粉乳を使うことが多いのですが、そこへバターやマーガリン、ショートニングといった油脂を加えるような形になります。

 

外観

 斜線の焼き印を押し付けたことで、製品の幅はやや広がっている形状となっています。

 

コストコ

 

 それは、パンを側面から見てみますとよりはっきりするのですが、本来反った形状になっているはずの底面も潰れています。

 

コストコ

 

 おそらく使用されているパンチングメッシュの天板はフレンチロールと兼用なのでしょう。

 

コストコ

 

 底面に付いていますメッシュの跡が、まったく同様です。

 

コストコ

 

 通常であれば、チーズやソーセージ等を挟むため、横方向の腹割りのカッティングをするのが一般的なのでしょうけど、今回は内相を見てみたいので、あえて縦方向の背割りで切ってみました。

 

 こちらもフレンチロールと同様に、目が細かく揃った内相となっています。

 

食味・食感・風味

 今回は、カットしたパンをそのままトーストして食べました。(食材をいろいろとサンドするのは次回以降の楽しみにしたいと思います。)

 

 糖や油脂が配合されていませんので、とてもシンプルな味わいで、その意味では挟む食材の特徴をうまく引き出してくれるのではないでしょうか。

 

退店時のプレゼント

 この日の買い物が終わって駐車場へ戻ろうとしますと、出口のところでレシートの提示を求められました。

 

コストコ

 

 レシートにチェックを入れられますと、家族分のグミのプレゼントが。

 

 ちなみに、コストコを後にしましたのが、AM7時45分頃だったと思うのですが、その時には既に来場の道路は大渋滞です。(TVニュースでも、大きく報道されていましたね。)

 

 今回は、あれよあれよと過ぎていってしまいましたので、次回はもう少し情報収集の上、訪れたいと思う次第です。

 

 

ゆめあかり食パン・本間製パン ~ 愛知県産小麦100%使用

 先日、スーパーのパンコーナーの棚で、愛知県産の国産小麦ゆめあかりを使用した食パンを目にしました。

 

ゆめあかり

 

 ゆめあかりを使用した食パンは、焼き立てパンでは(ベーカリーではないのですが)以前に紹介しましたカフェタナカから湯種生食パンが発売されていましたが、ホールセールベーカリーでは初めてかもしれません。

 

www.santa-baking.work

 

 今回は、愛知県からちょっとローカルな国産小麦の食パンの紹介です。

 

【 目次 】

 

本間製パンとゆめあかり

 東海地区では業務用食パンのシェア1位を誇っているのが、本間製パンです。

 

 たしかに全国的にもモーニングで有名な東海地区の喫茶店・カフェにあって、本間製パンの包装紙は複数の店内で時々目にします。

 

 もちろん、風味・食感・外観といった品質は折り紙付きで、その商品がスーパー等の量販店でも販売してくれているのが、実にありがたい限りです。

 

www.santa-baking.work

 

 そんな、本間製パンが愛知県産の国産小麦ゆめあかりを使用した食パンが発売されました。

 

 ゆめあかりとは、愛知県で2014年度より試験作付けしました秋播きの育成品種のことで、徐々に収量アップを目指していたものでした。

 

 ちなみに、愛知県の小麦粉生産量は全国5位で、ゆめあかりはタンパク含量が11.5±0.5%と準強力粉~強力粉に分類される品種です。

 

ゆめあかり食パン(368円 税別)

 この商品は、2種類の天然酵母(パネトーネ種&ルヴァン種)を使用して製造されているようです。

 

ゆめあかり

 

 原材料表示を見て、高級生食パンに代表されます、最近の高価格帯商品の特徴であります、油脂、乳、糖といった特徴は出していないようです。(乳製品に至っては、配合すらされていません。)

 

ゆめあかり

 

 あくまで、国産小麦と天然酵母で差別化を図っているという意味なのでしょうか。

 

外観

 成形(型詰め)はオープントップで6つ山なのですが、少々変わっていることに気付きます。

 

 こちらの側面には、縦に5本の区切りの線がきれいに入っていて、ロール成形した生地の端の部分であることが推測されます。

 

ゆめあかり

 

 一方逆の側面には区切りの線が2本しか入っていません。

 

ゆめあかり

 

 通常U字成形で型詰めしますと折った部分はもちろんつながっていますので、このような山にはなりません。

 

 以前、海外の製パン工場でロール成形後に中央で絞めるような成形をしているところを見たことがあります。

 

 連続製パンラインながら、おそらく手作業で型詰めしているでしょうから、I字成形は非常に効率が低くなってしまいますので、6つ山を出す効率的な作業方法を考えられたのではないでしょうか。

 

ゆめあかり

 

 製品底面にはガス抜き穴の跡がありませんので、穴なしの食型を使用されているようです。(本間製パンの他の商品は、穴開きの食型を使用されているようですが。)

 

 そして、少々焼き過ぎた底黒(そこぐろ)の傾向が見られます。

 

 焼き過ぎた場合の症状はいくつかパターンがありますが、焦げたような偏った着色の底黒は焼成過程で局所的に生地底面温度が上がってしまった場合に起こります。

 

 このような場合は、オーブンの設定温度を調整しても効果はあまり得られませんので、おそらく異常燃焼しています点火バーナーの燃焼調整をしなければなりません。

 

 もしくは、温度センサー近くの点火バーナーが失火した場合に、ゾーンの温度が低いという信号を出してしまっている結果、他の点火バーナーが異常燃焼している可能性もあります。

 

 使用しているオーブンの形式がトンネル式オーブンですと、運行速度が低いため、特にこのような状況には注意が必要です。

 

 その場合、オーブンの構造上、焼成後半はバーナー間隔が長くなっていることも想定されますので、さらに注意が必要です。

 

内相

 実際に底面のクラストは、やや厚くなっています。(製品中央でカットしなかったため、左右が遠近法のような図柄になってしまいました、すみません。)

 

ゆめあかり

 

 高さを抑えた製品設計のせいかもしれませんが、山形食パンの割にはあまり縦に伸びている感じがなく、内相の目が丸めになっています。

 

食味・食感・風味

 食べた感じなのですが、軽さというよりは中力粉の食パンを食べたようなパサパサ感が伝わってきました。

 

 先述のように特別な乳や油脂、糖の特徴はありませんし、もしかしましたら焼成工程での不具合がたまたまあったのかもしれません。

 

 他の商品は状態が違っていたかもしれませんが、消費者としましては一度このような商品を掴んでしまいますと二度とリピートはしたくなくなってしまいます。

 

 あくまで個人的な意見ですが、同じサイズと同じ価格であったとしても、私は以前にドラッグストアで購入しました、こちらの食パンをセレクトすると思います。

 

www.santa-baking.work

 

 なお、誤解のなきよう、今回購入の食パンが私に合わなかった以上に、このドラッグストアの食パンがよくできていた、とご理解ください。(先日も、ゲンキーへ夕刻行ってきましたが、パンの棚で他の食パンを横目に『小麦のひかり』はほぼ完売状態でした。)

 

名古屋初出店のコストコ

 来る7月8日(木)に名古屋で初となりますコストコがオープンします。(愛知県常滑市には、セントレア近くに中部空港倉庫店があります。)

 

 名古屋と言いましても、守山区という市内でも北東の端の区ですので、好都合なことに私の自宅からは非常に近いところに位置してします。

 

 そして、こちらはブロガーのチェスキー (id:aquarelax)さん、コストコ情報をしっかりと発信されていますので、ありがたく参考にさせて頂こうと思っています。

 

aquarelax.hatenablog.com

 

事前会員登録

 オープンに先駆けて、車での経路の確認を兼ね、事前の会員登録に出掛けました。

 

コストコ

 

 もう既に店内はオープンを待つばかりといった状況で、web予約の結果を持って、登録手続きに臨みます。

 

 そこで、白いカードの一般会員と黒いカードのエグゼクティブ会員との選択を問われます。

 

コストコ

 

 エグゼクティブ会員の場合、年会費は9900円(税込)と一般会員(4840円 税込)の倍近く掛かります(事前登録の為、ここから1000円割引になりました)が、

・写真のショッピングバッグを頂けること、

・ポイントが2%付くこと、

・来年2月以降に一般会員へ移行した場合は、(ポイントは受け取ったまま)差額の金額をキャッシュバックして頂けること、

等の説明を聞き、エグゼクティブ会員で登録は完了です。

 

早速のお買いもの

 と言いましても店内ではなく、隣接されていますガソリンスタンドでの給油です。

 

 近隣のガソリンスタンドがレギュラー・145円/㍑のところ、コストコ会員でしたらここでは136円/㍑で給油できました。(愛知は全国的に比較的ガソリン価格が安いと聞いていますが、さらに安くなっていました)

 

 早速、会員登録の恩恵を授かりました。

 

 さてさて、来週は渋滞覚悟で買い物に行ってきます(もちろんパンはしっかりと見てくる予定です)。

 

まるい食パン・つるやパン ~ 食型と最終発酵

 今回紹介します、木之本・つるやパン本店のまるい食パンですが、この食パン、実は家族のご友人に購入をお願いしたものです。

 

まるい食パン

 

 たしかに形状自体も比較的珍しい商品なのですが、なんといっても特筆すべきは食べた時の食感です(まさに、ふんわりといった表現がこれほどピッタリくるパンも珍しい!)。

 

 このようなせっかくのパンを記事に上げないのもいかがなものかと思い、そのご友人への感謝の気持ちと併せて記載させて頂きました。

 

 また、このまるい食パンに関連して食型の違いと最終発酵の取り方についても解説していきたいと思います。

 

【 目次 】

 

食型と最終発酵

 食パン用の型は直方体の形状がもっともオーソドックスですが、実際には実に様々な形状のものが使用されています。

 

ベーカリーチャイナ

 

 なかなか実物の画像も見つからなかったのですが、一昨年に中国・上海で開催されていました製パン関連の展示会・ベーカリーチャイナの会場にて見掛けました食型をご覧下さい。

 

ベーカリーチャイナ

 

 ここのブースでは(左から)ハート形、ネコ型、そしてまるい食パンに関連した丸(ラウンド)形の各食型が展示されていました。

 

 食型の本体と蓋という組み合わせよりは、上下のパーツといったイメージです。

 

 ところで、これらの型には共通する製造条件、より詳しくは焼成工程でのオーブンキック(窯伸び)について留意点があります。

 

 一般的な角形食パンの場合は、生地上面が適度に蓋に密着して、両サイドにはホワイトラインと呼ばれます未着色の部分が形成されます。

 

 つまり、食型全体の空間にパン生地を満たすことは通常しません。

 

まるい食パン

 

 しかしながら、先述の各食型では(パンの形状を確定させるために)生地上面が十分に食型に密着する(空間をパン生地で満たす)ことが求められますので、意識的に最終発酵を大きめに取って、焼成することになります。

 

 すると通常の角形食パンであれば、食型上端から**mm下といったタイミングで最終発酵のタイミングを計れるのですが、ラウンド型の場合には、確実に食型上端より上の位置でタイミングを取らなくてはならなくなります。

 

 型サイズを大きくしたり、柔らかい生地ではさらに難易度が上がってきますので、その場合には地道に試行を繰り返して習得することになるでしょうか。

 

まるい食パン(1本380円 税込)

 つるやパンの一代目西村秀敏氏は、敷島製パンのパン職人から製パン技術を学ばれた旨、HPに記載がありました。(この一文で、なんとなく勝手な親近感を覚えてしまいます。)

 

 改めて外観を見てみますと、食型の上下部を閉じた(中央高さ真横の)部分で若干の生地がはみ出ています。

 

まるい食パン

 

 この程度の圧力が焼成時のパン生地に掛からないと、生地全体を食型に密着させることができないのでしょう。

 

 そして、長さ方向には蛇腹(ジャバラ)のような波状の凹凸が形成されていますが、これによって半径方向への強度を付けることができ、腰折れを防ぐ目的もあるのかと推測します。

 

まるい食パン

 

 原材料で気になったところは、糖に三温糖、そして乳製品に脱脂粉乳と牛乳を併用している点でしょうか。

 

まるい食パン

 

 見た感じでは1.5斤程はあろうかと思われましたが、以外にも製品重量は365g(包装紙の重量抜き)ですので、このサイズで概ね1斤(340g以上)となります。

 

外観

 商品を上面から見てみますと、中央にくっきりと継ぎ目の線が確認できますので、ロール成形した生地を2玉型詰めしていると思われます。

 

 仮に焼減率を12%と仮定しますと、1玉の分割重量は207g(=365g/2/(1-0.12))程度と推算されます。

 

まるい食パン

 

 ところで、このパンの焼き色を見て、少々考えさせられる点がありました。

 

 一般的な伝熱工学の観点から考えますと、凹凸のある突出している(凸)部分の方が熱が集中し易いはずなのですが、よく見てみますと、逆に突出している部分の方の焼き色が薄くなっています。

 

 おそらく焼成中の内圧の関係で、凹んでいる部分の生地はより強い力で食型に押し付けられ、結果的に多くの熱量が流れたのではないのでしょうか。

 

まるい食パン

 

 側面には、食型の継ぎ目に若干のパン生地がはみ出しています。

 

 また側面のやや下側に、焼成開始時、パン生地が食型に接していた部分の跡が付いています。

 

 最終発酵のタイミングを目で測る判断指標になりますね。

 

内相

 スライスしました断面では、成形時にパン生地を巻いた跡(”の”の字になっています)を確認することができます。

 

 ロール成形と仮定しますと成形の巻き目に対して垂直にカットしていることになりますので、この仮定は間違ってもいないかと思っています。

 

 それと、巻き数が比較的少ないようですので、成形時のガス抜きの圧延では、それほど強く掛かっていないようです。

 

 もっとも圧延をし過ぎますと、ロールの長さが出過ぎて型詰めで収まりきらない懸念もあります。

 

まるい食パン

 

 ところで、上下面の焼き色を比較しますと、底面の焼き色の方が薄くなっています。(形状は円柱形で上下の違いはありませんが、焼成開始時の上面と底面では表面の表情が変わってきますので、上下が入れ替わっていることはないと思います。)

 

 となりますと、十分な窯伸びをさせるために焼成初期の下火を抑えたか、もしくは焼成後期にかけて上火の温度を上げているのかもしれません。

 

食味・食感・風味

 冒頭にも記載しましたが、手で持った時、噛んだ時のふんわり感は他に類を見ない感覚です。

 

 これは配合や型生地比容積(分割重量)の要因も大きいと思われますが、製品重量は測定していますので、体積が分かれば比容積を求めることができます。(おそらく、ずいぶん大きい(軽い)のではないでしょうか)

 

 食べた際には、ミルク由来の食味・風味が強く感じられました。

 

 とても、食味・食感・風味がまとまった完成度の高い商品と評価します。

 

今日のanopan

 我が家がリピートしていますオーブンフレッシュベーカリーの anopan が、先週6月19日から営業を再開しました。

 

 実はその1週間ほど前から店舗の改修工事に入っていて、この度、無事に工事を終了されての再開です。

 

 お店の改修工事に掛かるということは、比較的順調にお店の経営が成り立っているということでしょうか。(個人的には、ずっと続いてほしいと願うばかりです)

 

anopan

 

 お店の前には、新調された看板と店内にはなぜかアンティーク感のあるミシンが・・・なぜミシン?

 

 再開の時期は、父の日に被っていて、(おそらく)期間限定の『父の日のおつまみパン』がお目見えしていました。

 

anopan

 

 手書きの商品プレートが付けられて、ガーリックフランス(160円 税込)がショーケース内に見られます。

 

anopan

 

 ガーリックが強いので、朝に食べることはあまりお勧めされないとのことで、その日の帰宅後、早速夕食で頂きましたが、歯切れが軽くて口溶けがものすごくいい!(定番商品であれば、これは完全にリピート対象です。)

 

 そして、ガーリック感が・・・強烈でした。