黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

科学をもっと身近に! パンを焼く時の熱の流れを測ってみる

温度と熱の違い、お分かりですか?

  パンを焼く時、一般的に〇〇℃で〇〇分といった表現がされます。

 私も一昨日11日のブログには、そのような書き方をしました。

 ただ、パンを〇〇℃に加熱する、といった場合には、直接にはパンに加える熱量が求められます。

 専門的な言い方をしますと、温度は状態量で、熱はエネルギー量です。

 つまり、異なるオーブンで熱の伝わり方が違うと、同じ温度でも焼き方が変わってきてしまいますが、逆の言い方をすれば、なんらかの方法で同じ熱の伝わり方をさせられれば、異なるオーブンでも同じ焼き方ができることになります。

 面倒な説明は省きますので、下のグラフを見て下さい。

 先日に食パンを焼いた時の食型からパン生地への熱の流れ(熱流束)を示したものです。

f:id:santa-baking:20190113170608j:plain

 このデータから色々なことが分かるのですが、とりあえず分かることは、焼成の最初はたくさんの熱量が必要で、焼成が進むにつ入れて少ない熱量で足りてしまうということ、です。

 それと、食型の上面(赤):130℃、側面(緑)&端面(紫):140℃、底面(青):120℃、という設定に対して、必要な熱量の違いはそれ以上に大きな比率になっていること。

 これらの結果は、一定温度のオーブンでは、特に薄い焼色のパンが焼き難いこと、等々の結論が導き出されます(詳細は、割愛します)。

 

 

 それと、ほとんどのベーカリーで使用されている食型について一言。

 以前の記述で、本間製パンのレストラン食パンについて、生地の底面にボタンのような凹みがあることを紹介しました。

 これは底面に穴の開いている食型を使うことによるものなのですが、理由は、本当に稀に焼成初期のオーブンキックの際、底に抜けきれないガスが溜まってパンの底面に空洞を作ったり、そこからの熱が通り難くなって火通りが変わってきてしまう事がある為、と解説しました。

 

f:id:santa-baking:20180916081417j:plain

 グラフの青色のデータが正にそれで、食型底面に穴が開いていない食型を使用した場合には、底面からの熱の流れがイレギュラーに遮られている状態を示しています。(文章での解説になってしまいますが、穴を開けた食型を使用した場合には、他の面と同様に規則的な熱の流れを示します。)

 

 

 この不規則な火通りを嫌う製パンメーカーは、底面に小穴が開いた食型を使用しているのでは、と推測しています。

 食パンを焼く時の火通りが変わることを主張する方はそれなりにいると思いますが、実際に熱量を計測してみると、その現象は確かに起こっているのです。

f:id:santa-baking:20190113181944j:plain

 最後に、上のグラフから総熱量について記載します。

 各面の熱流束の値に食型の伝熱面積を掛けますと、ひとつの面からの熱量が計算できますので、6面すべてからの熱量を足しますと食パンを焼くための総熱量が求められます。

 今回は、業務用の3斤サイズの角形食パンを焼きましたが、最大の熱量で630W程度の値です。

 一般的なオーブントースターよりも少ない熱量で3斤サイズの食パンが焼けてしまいます。

 ちょっと意外ではないですか。