どうして米粉パンを作るのか
最近では、ある通販サイトのTVコマーシャルでも米粉で作ったパンが題材に使われていますが、そもそも、なぜわざわざ作り難い米粉でパンを作る必要があるのでしょうか。
シンプルに言えば『そこにニーズがあるから』なのですが、それであれば、そのニーズの内容とはいったいどのようなものなのでしょう。
すぐ頭に浮かぶのは、
1.(先述のTVコマーシャルでも謳われています)小麦アレルギーの人達においしいパンを食べてもらう。
2.日本の食糧政策から、米の消費量を上げる。
3.キャッチコピーとして、米粉使用に訴求力がある(とのベーカリーの判断)。
といったことではないでしょうか。
ところで、山形大学を始め、日本でも多くの研究機関で米粉を使ったパンの研究開発に着手されていますが、そもそも生地の骨格の役割を果たすグルテンのような物質を含まない米粉では膨らませることはできても、その形状を保持することは非常に困難です(ちなみに、生地に粘性を持たせる技術は確立されています)。
というよりも、現時点で小麦粉レベルの膨潤させたパンを作ることは、まだまだこれからの課題です。
と、なりますと、まず1.の目的は現在ではメインではなさそうです。
それでは、市場に出回っている米粉使用の商品をチェックしながら、現状を考えていきましょう。
敷島製パンの『ゆめちから小麦と米粉のロール』は、白焼きのロールパンでソフトな食感が特徴的な商品です。
包装紙に『ゆめちから小麦と…』と記載されていますので、使用しているのが米粉だけではないことがダイレクトに伝わってくるのですが、裏面の原材料表示を見てみますと、米粉に次いで小麦粉となっていますので、半分以上は米粉を使用していることが分かります。
また、使用しています小麦粉も超強力粉のゆめちからですので、国産の米と小麦を使用しているという点では、国産原材料にこだわっている消費者の方々には訴求力があると考えます。
次は、フジパンが製造しています『お米ぱん』です。
包装紙には、小麦粉を100%米粉に替えた旨の表示がされていますが、同時に小麦由来のタンパクを使用していること、そして手粉に小麦粉を使用していることが併記されています。
一見、小麦アレルギーの人でも食べられる…!、と思って、商品を手に取り、よく読んでみると…、といったシチュエーションが目に浮かびますのは、私だけでしょうか。
米粉パンを作る理由
日本人には、潜在的に米に対する愛着心があるのだと思います。
大手製パンメーカーも含めて、この難題な米粉パンへの弛まぬチャレンジが、もしかしましたら将来の画期的な製品となって市場を賑わせるかもしれません。
まだ見ぬ米粉パンの可能性が、それを作る理由なのでは、と考えます次第です。