七洋製作所
前回からの続きで会場での雰囲気を伝えたかったわりには、冒頭に撮影が叶わなかった製パン機械設備を紹介します。
七洋製作所のダブルデッカーと呼ばれます2段式のオーブンが、初お目見えしました。
キャタピラ式のトンネル式オーブンでリターン機能が付いている機種は、これが初かもしれません。
特許申請中だそうです。
会場でのデモンストレーションでは、上図にあるような感じで、正にオーブンの入口に設置されたデポジッターを通して生地を充填し、板バウムを焼成していました。
上段から投入された生地トレーは、先端の?が付いた部分で折り返し、下段から戻ってきます。
見学して分かったことは、先端の黒いプレートの部分と?の部分が共に天板1枚分の長さとほぼ等しくなっていることです。
推測しますと、おそらく黒いプレートの部分は急送の送り込みコンベア、?の部分が昇降装置ではないでしょうか。
私の経験上、パン以上に菓子類の焼成では、焼成温度の変動、特に温度低下に気を遣います。
基本的に、焼成途中におけます加熱温度の低下は生地内部での水分の戻りや体積収縮を引き起こすため、極力避けることを心掛けています。
蛇足ですが、そのような意味では、よくリテイルベーカリーで固定オーブン内の製品の焼きムラを解消するために、焼成後期に扉を開けて天板位置を変更している操作を時々目にしますものの、品質的にはあまり推奨していません。
話を元に戻しますが、焼成の中央に加熱が弱まる工程があるとすれば、それは短時間で済ませたいはずです。
ゆっくりとしたオーブンのドライブコンベアの速度で生地を移動させることは、生地温度の著しい低下を招くことが危惧されますので、この箇所は短時間で操作できる機構にされているのではないでしょうか。
イメージしますと、2段のデッキ式オーブンの前面に予備室のようなものがあって、上段オーブンから下段に素早く天板を入れ替える感じです。
フジサワ・マルゼン
そして、製パン機械設備では老舗のフジサワ・マルゼンです。
横型ミキサーですが、ミキシングボウルの部分が宙に浮いている感じがしませんか。
このミキサーでは、清掃性を高めるために粉が溜まり易い軸のジョイントカバー部分が容易に外せる設計になっている他、通常はボウル下にある動力をサイド部へ移設させることで本体下の清掃がし易くなっていて、作業者に優しく考えられています。
そして、モルダーも潤滑油が不要なベルト駆動方式が採用され、注油作業の削減と異物混入への配慮がなされています。
ところで、同社はデバイダーも手掛けているのですが、以前に掲載した生地ストレスについても担当者と協議を交わしてきました。
次の進展につながることを期待して…。
関東混合機工業
同社は、ミキサーの専門メーカーとして1918年に創業し、昨年記念すべき100周年を迎えました。
国産初のスパイラルミキサーを開発・商品化する等、イノベーションにも余念がありません。
今回の展示会は、パン・菓子だけではなく食品全般でしたので、十分な情報交換も叶わなかったのですが、最も重要な工程のひとつであるミキシングにおきまして、生地の出来具合と吸水に掛かります新たな機能を模索していく為には、今後もコンタクトを続けていこうと思っています。