中国で『生食パン』
中国の製パンメーカーHolilandが生食パンを発売しました。
他にもいくつかのメーカーが出しているようですが、事の流れは日本での生食パンブームが中国にも届いたということのようです。
以前にもご紹介しましたように、中国のみならずいくつかの国々で日本を模倣する動きが見られます。
ふーん、それで、と思われた方も多いと思います。
また、日本のブームをコピーして、と。
ところが、よくよく考えてみますと、日本では一般的に食パンをトーストして食べますから、そこへトーストしなくてもおいしく食べられる生食パンが登場した背景があります。
一方、中国では元々トーストして食べる習慣がありません。
つまり、既に生食パンの状態で食パンを食べている環境にあります。
ここで、あえて日本の生食パンのトレンドが入り込むのですから、どのようなパンなのだろうと興味が湧きませんか?
この商品はネット通販の食パンで、添付のパンフレットには日本のパン用粉と書いてあるそうです(すみません、中国語が完全に理解できていませんので、通訳してもらった内容を基に記載しています)。
また、日清製粉のパン用粉を100%使用している、とも。
ただ、この『日本の小麦粉』という記載と『日清製粉の小麦粉』という記載が混在していて、ぱっと見では日本産の小麦で作った小麦粉と読めてしまいます。
ここは想像なのですが、明確な記載がないところで、きっと中国産あるいは日本以外の外国産の小麦を日清製粉の中国の工場で挽いているのでは思ってしまいます。
中国では、生吐司と書いて生トーストと読み、意味としては生食パンを示すそうです。
つまり、焼かなくてもトースト=食パン、ということなのですね。
トーストするといった日本の慣習が、製品の名称になってしまっている訳です。
だんだん、言葉の意味が理解できなくなってきていますので、製品について解説します。
立方体に近い1斤サイズの食型で焼成した商品で、重量は420gと重めです。(日本では1斤:340g以上と定義されていますので、その10%増の375g程度が最近では一般的なトレンドです)
ここで、HolilandのHPでおもしろい記載を見つけました。
『普通の小麦粉は給水が50%であることと比較して、使用している日清製粉の粉は70~80%の給水で仕込むことができる』と、いうものです。
当然、パンを作った経験をお持ちの方なら、まさか!っとかなりの驚きを持たれることが想像に難くありません。
一般的な、食パンであれば60~68%の給水で仕込むところ、50%とか80%といった数値が出てくるのですから。
外観から、リテイルベーカリーで一般的な俵成形の二つ玉で型詰をしています。
焼色は極端に薄くはないのですが、若干薄めといったところでしょうか。
そして、気になります内相ですが、目は丸目で縦目のすだちは確認できませんでした。
生地は伸びている感じではなく、非常に膜厚です。
また、ずいぶんと粗い感じでところどころに大きな気泡が点在しています。
端的に、先述のパンフレットの記載内容とこの商品の品質から、ずいぶん給水率の高い製品では、と推測しています。
ただ、誤解されませぬよう。
けっして、この商品を否定している訳ではなく、私の感覚と異なる商品が中国の市場で認められているのであれば、そのニーズに応える商品を提供していくために製品開発を行っていかなければ、と思う次第です。
中国では、私の想定外のことが頻繫に起こっています、まさにドラマチックです!