パンの焼色は、外観品質の大きなファクター(要素)です。
一般的なきつね色と呼ばれています食パンの焼色や、最近では糖の配合量を増やした結果、着色が進んでいる商品もあるのでは、と思っています。
そこで、今回は着色についての記事としましたが、できるだけ硬い内容にならないように努めますので、目次をご覧になってスルー・・・とか、なりませんように・・・。
【 目次 】
角形食パンの焼色
従来、一般的な角形食パンの焼色は、俗に言うところのきつね色で、確かに濃い薄いといったバラツキはあったにせよ、色調との関係では高い相関性を保ってきたと感じています。
ところが、私の感覚では20年ほど前に湯種製法の食パンが発売されて以降、甘みが特徴的な食パンが台頭し始め、近年ではその傾向が徐々に高まりを見せて、随分顕著に甘さが際立った商品も出てきている気がしています。(色調の傾向も随分な変化が出ている、と)
ところで、誤解されないで頂きたいのは、甘い食パンがいけないと言っている訳ではなく、単にそのような状況をお伝えしたかっただけですので、念の為。
そして、別の視点からは耳までやわらかいソフトな食感を求めて、クラストを薄く仕上げた商品も市場に出回るようになりました。
遂には、白焼きの食パンまで。
ここまで来ますと、クラストの硬さはほとんど感じられなくなってきますね。(焼成後であっても、形を崩さないように手で持つのが非常に大変です!)
焼色の化学反応
製パンの教科書には、焼色が着色する際の化学反応として、メイラード反応とカラメル化反応のふたつの反応が紹介されています。
そして、実際に食型の温度をコントロールして角形食パンを焼成した時の焼色の変化を調べてみました。(食型温度:120℃というのは、焼成後の食パンを取り扱うことができるギリギリの温度ですね)
グラフの縦軸の明度と言いますのは、100:白、0:黒、を示す指標で、色の要素の中でも明るさを示すものです。
どうですか、見事にふたつの傾きの直線で示すことができました。(ひとりで high になってます。あまり、おもしろくないかも・・・です・・・すみません m(__)m )
焼色のシミュレーション
上のグラフは、温度の上昇によって反応速度が上がる(傾きが急になる)ことを示していますので、温度の関数として式化することができます。
その計算式を用いて、様々な条件下(オーブンのタイプ、設定温度、糖の配合量)で食パンを焼いた時の焼色をシミュレーションしてみました。(マークが実測値で、線で示されたものが計算値です)
多少の誤差もありますが、なんとかそこそこの精度でパンの焼色が推測できているのでは、と思っています。
食パンを焼く
様々な焼色のパンは消費者のニーズですから、食べたいと思われる製品は頑張って作って、供給するというのがメーカーの使命なのですが、型温度をコントロールするようなオーブンは見当たりませんよね。
ですから、今回も木箱オーブンの登場です。
今回は特に木の枠が必要な訳でもないのですが、このような実験装置ですのでご容赦下さい。
だったら、なぜ枠を付けているかっ、て? それは、当然、別の目的があるからですよ~(今は内緒です)。
さてさて、要は角形食パンの型の6面を個々に温度コントロールしているだけの話です。
食パンは、ちゃんと焼けます。
そして、測定しました温度データは、こんな感じです。
ちなみに最近焼いている食パンでは、食型底面の温度を他の面より低く(120℃)抑えています。
そうなんです、とあるアンケートによりますと、パンの耳で一番人気のないのが、底の面の耳だそうで、それであれば底の耳をソフトに焼いてみようといったデータを取っています。
現在、私は焼きましたパンを販売していません(テスト用のパンですから、そりゃそうですよね!)ので、この食パンを食べたことのあるのは、私と家族のみとなります。
最後に
きっと万人受けする記事ではなかったかと思います。
次は、もう少し楽しい記事を書こうと思います、ご勘弁下さい m(__)m