日本テレビの『メレンゲの気持ち』を何気なく見ていましたところ、進化系カレーパン特集で『NEOカレーパン3選!』の紹介がありました(1月23日放送)。
この番組で紹介されましたのは、14年間で6500ものカレーパンを食べてこられたというカレーパン協会会長がお薦めする進化系のカレーパンです。
その中に、東京都あきる野市秋川にあります『パンの家 あ・ら・もーど』が作られています『のびーるチーズのほっこりカレーパン』が入っていました。
実は、このパン屋さんへは立ち寄ったことがあって、ここはせっかくの機会ですので、厨房の製パン設備共々こちらでも紹介したいと思いました次第です。
【 目次 】
内扉式デッキオーブン
店内と厨房は、店員さんの許可を頂いて写真を撮らせて頂きました。
オーブンは2台(デッキオーブン&コンベクションオーブン)あって、手前のコンベクションオーブンはツジキカイ社製、その奥にありますデッキオーブンは外観から戸倉商事製の設備と分かります。
デッキオーブンは内扉式ですが、この戸倉商事というメーカーの内扉式デッキオーブンは独自の仕様になっていますので、その構造も解説しようと思います。
外扉式と内扉式のデッキオーブン
デッキ式オーブンは、一般的に大きく外扉式と内扉式に大別されます。
外扉式は、その名の通り、オーブンの扉を手前に下して開けるタイプのオーブンで、日本におけるパン屋さんでは主流となっている機種です。
一方、内扉式は焼成室の横にレバーがあって、扉を奥の焼成室側へ上げる仕様となります。
その内扉式のオーブンも通常は跳ね上げ式(上図 内扉式①)と言って、耐熱ガラス製の扉が軸を中心に弧を描くように動くのですが、この機種の場合、扉が移動する手前の部分にパンを置くことができません。
つまり、焼成できる炉内の有効スペースが狭くなってしまいます。
他方、戸倉商事が製造している機種(上図 内扉式②)は、扉がスライドして上方へ移動しますので、有効に炉床を焼成スペースとして使用することができます。
私が知る限りでは、この仕様の内扉式デッキオーブンは戸倉商事社製の機種しか見たことがありません。
効果の違い
続いて、外扉式と内扉式でパンの焼成条件にどのような効果の違いが出るのか、解説します。
最も大きく違いが出るのは、焼成中に蒸気を使用するケースです。
外扉式は扉をスプリング等で内側へ押さえていますが、炉内から大きな力が加わりますと扉が外に押され、開いてしまいます。
つまり、フランスパンやドイツパン、ベーグルのように、焼成する際に大量の蒸気を使用するケースでは、蒸気を出した時点に扉が開いてしまい、せっかく入れた蒸気を外に逃がすことになってしまいます。
では、内扉式ではどうでしょう。
内扉式の場合、蒸気によって扉に内側から力が加わりますと、外へ向かう方向に力が加わることは同様ですが、このオーブンでは扉が閉まる方向に力が加わることとなり、炉内へ入れた蒸気を炉内に保持してくれます。
バゲットやカンパーニュのように、ハード系のパンをウリにしているベーカリーで内扉式のデッキオーブンをよく見掛けるのは、このような理由によります。
余談ですが、内扉式①の機種は一度前面の扉の板を外さないと扉の掃除をすることができませんが、内扉式②の機種の場合は、スライドさせて表裏の両サイドを容易に掃除することが可能です(作業者に優しい設計になっています)。
パンの家 あ・ら・もーど
東京都あきる野市のJR秋川駅前に、その『パンの家 あ・ら・もーど』はあります。
番組では、A5ランクの秋川牛のキーマカレーとチーズがたっぷり入っている『のびーるチーズのほっこりカレーパン』が紹介されていたのですが、実はその放送の2か月ほど以前に、このベーカリーを訪れていました。
それは、以前にミスドのポケモンドーナツの記事を上げました際の日程で、寄っていたものです。
このベーカリーの商品は種類も多く、コロナ感染症対策の包装やケースカバーの設置にはご苦労されているものとお察しするばかりです。
時期的には、ハロウィン🎃でしたので、先日までは正直なところ、記事を上げるタイミングは逸したと断念していました。
このパン屋さんへ寄りましたきっかけは、秋川牛カレーパンののぼりと窓越しに外から見えましたカレーパングランプリのポスターです。
どうやら、昨年(2019年)のカレーパングランプリでパンの家 あ・ら・もーどの秋川牛カレーパンが最高金賞を受賞されたようで、それならば、と、そのカレーパンを含めて3品を頂いてきました。
秋川牛カレーパン
当然、お目当ては看板商品で一番人気のカレーパンなのですが、その商品は店舗の入口から入ってすぐ、最も目立つところの正面の棚に並んでいます。
生地には、天然酵母(ホシノ天然酵母)を使用し、フィリングのカレーには黒毛和A4,A5ランクの地元で育った秋川牛を秘伝の液に漬け込み熟成させて旨みを引き出しているそうです。
毎日12回以上、常に揚げたての商品が売り場に並ぶようで、確かに外側のパン粉の部分はカリカリで内側のもっちりしっとりとした食感の生地&フィリングとのバランスが良好です。
カレーパンの起源には諸説ありますが、日本のベーカリーで開発され、東京から全国へ伝わっていったようです。
だからでしょうか、カレーパンにはなにかホッとする懐かしさのような感覚を覚えます。
デニッシュペーストリー
リング状の紙製容器に生地を型詰めし、アーモンドチップがトッピングされています(すみません、もう記事にしないものと思い、レシートを片付けてしまいましたので、商品名や価格が不明です)。
生地はスイート系で、歯切れのいい食感は記憶に残っています。
クロワッサンサンド
クロワッサンにホイップ生クリームとキューブチョコレートをサンドし、チョコ掛けの上から粉糖を塗(まぶ)した商品です。
カレーパンがあれば、対比する甘系のパンも同時に欲しくなります。
この商品に至っては、外観からイメージできる通りの食感&食味で、たっぷりとクリームとチョコレートを堪能しました。
あとがき
あ・ら・もーどの店名はフランス語で『現代風、流行りの』という意味ですから、今ならTV番組で紹介された、進化系ののびーるチーズのほっこりカレーパンも食べることができるのかもしれません。
そして、心残りは内扉式のオーブンを見ていながら、ハード系のパンをセレクトしていなかったこと。
前述の進化系カレーパンと共に、次の機会があればぜひ試してみたいですね。