AI(人工知能: artificial intelligence)技術が、徐々に私たちの生活の中に浸透しつつあります。
ユーハイムが今年の令和3年3月4日に名古屋初オープンしたBAUM HAUS(バウムハウス)では、AI技術を駆使しましたバウムクーヘン用オーブンが稼働しています。
実はそのオープンの4日後、3月8日に家族がこの店舗を訪れてきてくれましたものの、記事の投稿が5ヶ月も滞ってしまいました。
当時は、パリ SWEETS界の風雲児と言われるクリストフ・ミシャラクも名古屋初出店されていたようで、華やかなオープニングを飾っていたようです。
さらには、ドンクも店内には入っていて、こちらのコーナーは現在も利用可能です。
今回は、改めまして自分で同店を訪れ、直接AIオーブンを見てきましたので、そのご報告と最近まとめていました食パン焼成のデータをほんの少しご紹介したいと思います。
【 目次 】
BAUM HOUS ・THEO'S CAFE
洋菓子の製造や販売を行うユーハイムは、昨年11月30日、AIの技術を活用しバウムクーヘンを焼くオーブン:THEO(テオ)を開発したと発表しています。
生地の焼き具合を画像から学習したAIが、焼き具合を見て調整する仕組みです。
バウムクーヘンの焼成方法は以前の記事にも紹介していますが、焼成と言いましても、そこにはバッター生地の付け方&削ぎ方、付ける側の生地の状態確保、加熱方法や層が増えていった際の調整方法を含めて、作業者は個人のセンスを基に対応していきます。
私個人としましてはAIの学習機能には期待しつつ、その出力として焼成機に対応した機能が付与されていることも必須となりますので、そこについても興味が尽きません。
この日はたまたま所用で仕事の担当者の方と栄で打ち合わせることになり、このBAUM HAUS を場所に選定させて頂きました。(オープン時は『BAUM HAUS』の看板が、この日は『THEO'S CAFE』に替わっています)
名古屋・栄のナディアパーク東隣に位置しています。
AIオーブン・THEO(テオ)
店内に入りますと、残念ながら既に作業は終了していて、きれいに清掃も済んでいる様子です。
奥には3台のテオ:バウムクーヘン専用AIオーブンがあって、その手前にはスカラロボットが見られます。(オーブン上部に付けられているテオ君の顔は、御愛嬌でしょう)
稼働していれば、ガラス越しにその動きを見ることもできたのでしょうけど、この日は17時待ち合わせで、このような結果に(後で知ったことなのですが、このコロナ禍で営業時間が18時までとなっていました)。
なお、ガラスにはテオの解説が記載されていますが、そこはやはり百聞は一見に如かず、で実際の稼働状況を見てみたかったです。
ところで、写真手前にはバウムクーヘン用の心棒を置くコンベア状の冷却スペースがあり、おそらく白いスカラロボットがオーブンと冷却スペース間の心棒の置き換えを行っているのでしょう。
ちなみに、スカラロボットというのはメジャーな産業用ロボットの一種で、水平多関節ロボットとも言われます。(スカラ(SCARA)とは、Selective Compliance Assembly Robot Armの略です)
このサイズのスカラロボットですと、法律でその動作範囲内に人は立ち入り禁止となっているはずですので、柵等を設けていないこの作業スペースは、テオの稼働中、無人の状態になっているのではないでしょうか。
スカラロボットから少し離れた場所に、バウムクーヘンの心棒が並べられていました。
直径12㎝、長さ30㎝の一本焼を焼くことができるサイズの心棒のようです(もしかしましたら、焼き上がったバウムクーヘンの陳列スペースかもしれません。スカラロボットのアームは、ここまで届かないように感じます)。
THEO'S CAFE
打ち合わせもせっかくですので、ドリンクだけではなく、バウムクーヘンセットでお願いしてしまいました(テヘッ!)。
アイスコーヒーに、バウムクーヘン2カットとホイップクリームのセットです。
この時、出されたバウムクーヘンの模様が非常に気になっていたのですが、後からどのようなカットをされていたのか、知ることができました。
テイクアウトのバウムクーヘン
こちらは、3月に家族が購入してくれました、テオ君製造のバウムクーヘンです。
層の数は16層程度でしょうか、20層辺りの商品が多い中、少し少なめもしくは私の数え間違いかもしれません。
この商品だけを見れば、無人で焼いているとしますと、十分評価できるレベルかと思います。
ただし、他の記事で、『修行中のバウムクーヘン1本焼き by THEO』という、ユーハイムのベテラン職人から技術を学んでいる最中の商品を目にしましたが、端の形状がちょっと、といった感じを受けました。
先にも記述しましたように、バウムクーヘンの焼成は心棒に生地を付けた後の対応も含まれます。
やはり、実際の稼働状況を自分の目で見てこなければ、このAIオーブンの技術も推測の域を出ないですね。
TV情報
『坂上&指原のつぶれない店』というTV番組にて、女性お笑いグループ・ぼる塾の田辺さんと商品開発した、JUCHHEIM 究極のバウムクーヘン『ラム酒のバウムクーヘン』の模様を観ていました。
山椒も効かした、とても特徴的な商品です。
もちろん売っていれば、買って帰りたいところだったのですが、この商品は他店で予約しないと購入できない、との店員さんの説明でしたので、残念ながらこの日は実物を目にすることも、口にすることもできませんでした。
最近の研究から
私がパンの仕事をしているとは言いつつ、なにやら違和感を感じられている方も多いのではないでしょうか。
自分でおいしそうなパンを焼いている訳でもなく、市販されているパンについて、こういった作り方をしているだの、このような装置を使っているだの蘊蓄(うんちく)ばかりで。
私は、以前に某製パン企業の技術開発部門に勤務していましたので、例えば上グラフのように、角形食パンを焼成する際にクラストの密度分布がどのように推移していくか、だとか、最近では、下グラフのように食型温度を測定して、水分蒸発量をシミュレーションしたりだとか、今もこのような作業に明け暮れています。
連続生産ラインを有しています企業には有益なデータかなぁ、などと想いを馳せて、興味を持った仕事に携わっている製パン機械屋さんです。
今年は、型温度のデータからパン生地への熱移動量を推算するようなことを試みていて、こちらはまだ未発表ですので、結果をお示しする訳にはいきませんが、10月の発表が済みましたらなにかの機会にご提示するかもです。
ここ数週間は、かなりハードな日々が続いていましたが、やっと計画的に仕事ができる状況になりつつありますので、またブログの方へも記事をアップしていければと思っています。