黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

Godiva(ゴディバ)とパスコのコラボ ~ 日本パン技術研究所・本科100日コース

 家族から『パスコがGodiva(ゴディバ)とのコラボの商品を出したよ~!』との情報が入り、早速、購入(を家族にお願いしました)!

 

 いつも、わがままを聞いてくれている家族には本当に感謝です。

 

 そして、先週には通称:パン学校と呼ばれます日本パン技術研究所での授業もありました。

 

 これからの製パン産業を支えてくれる若手の方々の育成に、少しでもお手伝いできていれば幸せです。

 

【 目次 】

 

ゴディバとパスコのコラボ企画

 パスコが、ショコラブレッド、テリーヌショコラ、ショコラシュトーレンの3商品をゴディバジャパンと共同で開発した、と発表がありました。

 

 内ショコラブレッドとテリーヌショコラは、関東・中部・関西・中国・四国地区(つまりは、北海道、東北と九州以外)のコンビニで、11月17日から先行発売するとのこと。

 

 そして、12月1日からはスーパーなどでも発売が開始されるようです。

 

 なお、ショコラシュトーレンは少し遅れて12月15日からの発売開始となりそうです。(クリスマスに合わせて?)

 

 当然、チョコレートをふんだんに使用したパンに期待を込めて、家族(パン)の到着を待ちます。

 

ショコラブレッド(248円 税込)

 待ちに待ったゴディバのパンが我が家に到着です。

 

ゴディバ ・パスコ コラボ

 

 金色の包装紙に写真入りのデザイン、そしてGODIVAのロゴ、外観にも結構コストを掛けていることが分かります。

 

 包装紙裏の原材料表示には、小麦粉の次にチョコレートスプレッドとチョコレートの表示がありますので、結構ふんだんにチョコレートを使用していることが伺えます。

 

ゴディバ・パスコ コラボ

 

 ショコラブレッドの外観ですが、シート生地にチョコレートスプレッドを折り込んで、さらにチョコレートチップが生地に混ぜ込まれています。(最後に、アーモンドチップをトッピング!)

 

ゴディバ・パスコ ショコラブレッド

 

 成形方法は、チョコレートスプレッドとチップをロールインしてねじるまでは機械設備で対応可能かと思います。

 

 ただ、最終の成形はおそらく手作業ですね。

 

 型やケースを使っている形跡はありませんので、せめてプレス天板でこの高さを出すのはけっこう大変かもしれません。

 

ゴディバ・パスコ ショコラブレッド

 

 裏面を見てみますと、生地の端のカット部分が見られます。

 

 幅方向に長さを出して中央でカットしているか、もしくは、重量調整で端生地をカットした部分かもしれませんね。

 

 端部は生地底面で隠れてしまいますから、外観品質でわざわざカットすることはないと推測します。

 

 ところで製造ラインの特に成形の担当者は、これだけチョコレートが生地からはみ出していますと取扱いがすこぶる大変だろうと推測します。

 

 作業もそうなのですが、製品が流れ終わった後のワーキングコンベアとかの清掃作業に随分手間が掛かっていたりするのではないでしょうか。(本当にお疲れ様です!)

 

食感・食味

 持った感じがすごく重くて、食べた時の口当たりもふわっとしたパンの食感というよりは、まるでチョコレートが少し膨らんだといった高い密度感のある食感です。

 

 味もパンといった感覚よりもチョコレートに近いものを感じました。

 

 コンビニで売られているホールセールのチョコパンで248円は高く感じるかもしれませんが、このボリュームのチョコレートしかもゴディバと考えれば、これはとてもコストパフォーマンスに長けているのではないでしょうか。

 

テリーヌショコラ(204円 税込)

 テリーヌショコラの包装も、同様に高級感に溢れています。

 

ゴディバ・パスコ テリーヌショコラ

 

 生地にはダークチョコレートを練り込んで、さらにチョコレートチップがトッピングされていると記載されています。

 

 テリーヌをイメージしたとはいえ蒸しケーキですから、生地は流動性の高いバッター生地なのですが、どうやってチョコレートを練り込んだのでしょうね。

 

ゴディバ・パスコ テリーヌショコラ

 

 微粒子化したチョコレートならできるかもしれませんが、そこまでこだわっているのか知りたいところです。

 

 カットした断面を見てみましても、チョコレートの粒は見られません。(完全に練り込まれているのでしょうね)

 

 もしかして、ミキシング時に生地温度を上げているとか。(そのようにミキシングしているバッター生地も見たことはあります)

 

ゴディバ・パスコ テリーヌショコラ

 

食味・食感

 テリーヌショコラもショコラブレッドと同様に、持った感じが重く、少し空隙のあるチョコレートを食べているようです。

 

 味もショコラブレッド以上にチョコレートに近いものを感じました。

  

 かくし味?に『こし餡』が使われているようなのですが、どのような違いが出ているのか、知りたくなってしまいます。

 

近くのコンビニにて

 その後、どのコンビニで先行発売しているのか気になりましたので、近くのコンビニへ足を運びましたところ、とりあえずローソンとファミリーマートでは販売されていることを確認しました。

 

ゴディバ・パスコ コラボ

 

 ファミリーマートに至っては、『ファミマベーカリー』の棚に、どう見てもお手製の『GODIVAのパン』のプレートが・・・(笑)。

 

 12月15日にはショコラシュトーレンも発売開始されるようですので、こちらも要チェックですね。

 

日本パン技術研究所 本科100日コース

 この施設では、これから製パン技能士の資格取得を目指す方々が、自己の知識と技能を養っていく為のコースとして本科100日コースが設置されています。

 

 カリキュラムは講義と製パン実習で構成されていて、100日間みっちりと製パンの基礎を学ぶことができます。

 

日本パン技術研究所

 

 このコースを無事に修了しますと(しっかりと修了試験もあります)、製パン技能検定の学科試験が免除される制度となっています。(あとは実技試験をパスして、晴れて製パン技能士となる訳ですね)

 

日本パン技術研究所

 

 今のコロナ禍では、教室内の講師と受講者の間が透明なシートでソーシャルディスタンスを保つように注意が払われています。

 

 講義では、製法や各製造工程でのポイントを解説する製パンのプロから、小麦や油脂といった原材料の専門家、食べ方提案をされる料理研究家、そして私のような(珍種?)機械屋さんまで幅広く網羅できる体制を整えています。

 

日本パン技術研究所

 

 私の授業の内容は製パン工場の機械設備中心ですので、この授業を受けているのは受講生の中でも大手製パン企業や原材料メーカーから派遣されてきた人たちがメインとなります。

 

 リテイルのコースの方は、別の授業を受けられています(まあ、オーブンフレッシュベーカリーを目指す人が、大型のミキサーや連続式オーブンの話を聞いてもあまり役に立てられませんから)。

 

 ここでの感想ですが、大学の講義と違って(すみません)寝ている生徒はほとんどいません。

 

 さすがに目標を持って臨んできている人は、姿勢が違うと感心するばかりです。

 

パン学校の周辺では

 このパン学校の建物は、東京メトロ東西線西葛西駅が最寄り駅で、改札を出て5分も歩けば到着できるほどの距離にあります。

 

日本パン技術研究所

 

 その西葛西駅からの道すがら駅前のミスタードーナツでは、毎年この時期にいつもポケモン企画と遭遇します。(↓ 昨年の記事です)

 

www.santa-baking.work

 

 今年は、ラッキーというポケモンが加わった、とTVのニュースで流れていたような。

 

 また機会があれば、日を改めてポケモンドーナツの紹介もしていければ、と思っています(と言いますか、ただ食べたいだけ!)。

 

パン生地成形の妙技を探る ~ ロイヤルブレッド・山崎製パン

 製パン機械設備の仕様を考えていますと、往々にして人の手の絶妙な技術に感嘆する機会に出くわします。

 

 それは、当たり前のように流れていきます基本的な製パンの作業の中にあったりするものなのですが。

 

製パン機械

 

 今回は、食パンの分割・丸目・成形の工程から、なんてことはない人手の作業を装置化した事象の紹介と共に、連続生産ラインで最もポピュラーな製法で製造されているであろう、山崎製パンのロイヤルブレッドについてリポートします。

 

【 目次 】

 

成形工程の製パン設備

 最初にお断りしておきますが、ここでは高性能の最新制御技術を解説する訳ではなく、ほんの些細な手作業を装置化した案件の紹介となります。

 

分割・丸目後の手粉付け

 食パンなどの製パン工程では一定重量の玉生地を丸めた後、中間発酵で休ませるため、事前に手粉を生地全体に付けます。

 

 手作業では生地に粉を振って、成形前に生地をキャンバス上で軽く転がす等で終わる作業です。

 

製パン機械

 

 それを装置化しますと、例えばラウンダー(丸目機)で丸め終わった生地(赤→)の上から粉を散布して、シューターを転がして全面に付けようとします。

 

 ところが、実際には完全に手粉が付けられていることは極めて稀で、ほとんどのケースで付いていない部分が残ってしまい、後工程の中間発酵でパケット(生地用の籠)にべた付いてしまいます。

 

製パン機械

 

 そこで、より確実に手粉が付けられるよう、シューターを円筒型にして回転させながら通すような機械まで開発されました。

 

 もっとも、この作業は地味ながら、非常に大事な操作ですので。

 

ロール成形時のカーリングネット

 休ませた玉生地は、次にモルダー(成形機)で圧延して、薄い煎餅のような形状に加工されます。

 

製パン機械

 

 しかし、そのままでは上部の展圧ベルトに生地が掛かりませんので、カーリングネットと呼ばれます(一般的にはステンレス製の)網を使って、コンベアを流れてくる生地の先端を持ち上げてあげます(軽く巻いてあげます)。

 

製パン機械

 

 人手であれば、軽く巻く程度の作業はどのようなサイズの生地にも対応できますが、装置化する場合には生地によってネットの仕様を選定する必要があります。

 

 機械設備の場合、確かに一度仕様を確立させてしまえば、あとはそれをルール化するだけなのですが、その仕様を確立させるまでには随分な試行錯誤が繰り返されているものです。

 

ロイヤルブレッド

 以前にも少しこぼしていたと記憶しているのですが、最近のスーパーやコンビニのホールセールのパンにときめくような技術の進化が見られていないことに物足りなさを感じています。

 

ロイヤルブレッド

 

 毎月スーパーのパンコーナーでは新商品が棚に並びます中、買って品質にまず間違いがないと安心できるのは、やはり実績に裏付けされたブランドの商品ではないでしょうか。

 

ロイヤルブレッド

 

 久し振りに山崎製パンのロイヤルブレッドを買ってきました。

 

 最近は一般的になってきました湯種製法でもなく、オーソドックスな中種製法の食パンです。

 

外観

  教科書のようにきれいなホワイトラインが出ていて、焼色の質感・バランスも申し分ありません。

 

ロイヤルブレッド 

 

 鬼滅の刃で雷の呼吸の使い手の剣士が、『壱ノ型しか使えないのなら、それを極め抜け』と師匠に手解きを受けたかのような品質です(すみません、例えが今ひとつでした)。

 

 ところで、もし上部の凹みが気になるようでしたら、私なら焼成時間と焼成後のクーリングへの移りの箇所をチェックすると思います。

 

 さて、側面を見てみますと、成形方法がM字成形であることが分かります。

 

ロイヤルブレッド

 

 こちらはM字の上部側ですので(下図、参照ください)、1斤に最終発酵時のふくらみの跡がふたつ見られます。

 

食パン成形

 

 ちなみにM字成形と言いますのは、3斤用の食型であれば上図のような生地の詰め方となります。

 

ロイヤルブレッド

 

 そして、反対側の側面はM字成形の下部側ですので、一般的にはろうそくの炎のような三角の生地の跡がふたつ見られます。

 

 ところで、赤の点線で示されたラインが実は山崎製パン独自の成形方法の跡なの(かも)ですが、お分かりでしょうか。

 

 一般的にM字成形を採用した場合、成形下部側の中央近辺(上写真の赤の点線近辺)が最も腰折れが発生し易くなります。

 

 (山崎製パンのHPの動画にも出ていますが)そこで山崎製パンでは成形時に成形下部側に切り込みを入れて型詰めし、腰折れし易い側面の強化を図っていると推測します。

 

ロイヤルブレッド

 

 側面の写真からも確認することができるのですが、底面には食型のガス抜きの穴の跡がくっきりと見られます。

 

 食型の底に付けられていますガス抜きの穴の効果に関しては、こちらの記事をご参考に。

 

www.santa-baking.work

 

  大手の製パンメーカーでは諸事情から食型は穴なしの仕様のものを採用しているところが多いと思っていたのですが、山崎製パンでは安定した焼成条件にこだわりを持って製品作りをしているのでしょう。

 

 もっとも、この型を連続製パンラインで流していくためには製パン機械設備のメンテナンスを考えますと、離型油の塗布や型洗浄等にも配慮しているであろうことが推測されます。

 

内相

 まず、最初に内相面の白い色が目に飛び込んできます。

 

 これは、膜が薄く、よく伸びていて、細やかな気泡で形成されていることを意味しています。

 

ロイヤルブレッド

 

 そして、大きなカギ穴や底詰み、スジシマもなく、とてもきれいな内相です。

 

風味・食感

 食べてみますと、最近のトレンドにあります甘さや乳製品の風味ではなく、程よい発酵臭と小麦の香りが口の中に広がります。

 

 しっとりしたソフトな食感は、内相からからイメージされた通り、高いレベルと思います。

 

包装紙

 類にもれず、ロイヤルブレッドの包装紙も上部には虫混入防止を主目的としましたライトシールが施されています。

 

ロイヤルブレッド

 

 ただし、山崎製パンでは独自にマチを付けた形状でライトシールを行っていますので、クロージャーを外しますと包装紙の幅はそのまま製品巾と同程度にしか開きません。

 

ロイヤルブレッド

 

 包装紙がマチで重なっている部分は4枚の包装紙をシールする訳ですが、2枚の部分と4枚の部分が混在していてもライトシールをきれいにはがすことができる技術は山崎製パンの独自技術かと思います。

 

 オーソドックスな製法ながら、そこへの技術を極め抜いた商品がロイヤルブレッドなのではないでしょうか。

 

パンの研究 ~ バンズと食パンとパンケーキと・ダウニーカフェ

 実は・・・、過日に ぱぴ・ぱんとル シズィエム サンスへ行きました際、その前に立ち寄っていたお店がもう1件あって・・・。

 

www.santa-baking.work

 

 長久手のダウニークラシックは車で少し走ったところにありますので時々出掛けるのですが、名古屋市天白区植田のお店は今回が初めてです。

 

 そんなダウニーカフェでのリポートと、先週に行いました研究発表の内容(もちろんパンの研究ですよ)をほんの少しだけご紹介したいと思っています。

 

【 目次 】

 

食パンの焼成シミュレーション

 一言でシミュレーションといいましても、これまでに温度変化や焼き色等様々な現象に手を付けてきましたが、先週の発表では角形食パンの食型温度のデータから水分蒸発量を推測するテーマに関して講演しました。

 

食パン焼成

 

 計算方法を解説してしまいますと、とても書ききれませんので、ここは概要のみ。

 

 まず、計算をすることになりますので、とりあえずパンを焼いている時の解析モデルを考えます。

 

 ここでは、パン生地の内部に100℃で水分が蒸発している層があって、その外側が乾燥したクラスト、内側が湿ったクラムになる部分です。

 

 実験では、食型温度を制御できる装置がありますので、同時計測しています生地重量変化からクラストの厚さを計算して上記のモデルに当てはめます。(かなり、大雑把な説明!)

 

食パン焼成

 

 説明がかなり飛んで結果の一例ですが、まあなんとかシミュレートできたかなぁ、と(これから、精度も上げていきます)。

 

 一般的な焼成条件ですと、今回の場合の生地重量が(150g×8個=)1200gですので、Baking Loss を9%としますと、(1200g×0.09=)108g の水分蒸発量になります。

 

 ですが、今回の120℃焼成ですと35分時点で44g、途中で温度を140℃に上げたテスト区でも80g程度ですので、ずいぶん、蒸発量が少ないことが分かります。

 

 焼き色を薄く、しっとりと焼くことが最近のトレンドになっていますので、どのような焼き方が理想的か、ある程度の推測が計算で可能になると期待しています。

 

何に役立てるか、それが大事

 私は恩師から『研究というのは、それによって誰かが喜んでくれるからするのだ』と教えられました。

 

 今回の結果を生産ラインへ導入した場合、例えば生地中の水分を調整したい時に、どのゾーンの温度設定を調節すればいいかを判断できる裏付けになればと思って、このような研究を続けています。

 

ダウニーカフェ

 ダウニーは、CALIFORNIA HOME STYLE CAFE の名が示すようにアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス郡南東部に位置する都市名に由来します。

 

 そして現在では、愛知県内に8店を構える人気店です。

 

 名古屋市営地下鉄鶴舞線植田駅から徒歩2分ほどの場所に、ダウニーカフェ・植田店があります。

 

ダウニー

 

 ブームだった頃、パンケーキで注目を集めていたお店でしたが、ハンバーガーやサンドウィッチもけっこう評判のお店です。

 

 コロナ禍での換気の意味を兼ねて、食事スペースの扉も解放され、オープンな雰囲気でランチを楽しんできました。

 

ダウニー

 

 お冷はセルフサービスで、レモン&ハーブ水と普通の冷水とでチョイスします。

 

チーズバーガーランチ(1350円 税込)

 こちらは、人気のハンバーガーランチです。

 

 バンズに、パティ、レタス、トマト、オニオンを挟んで、レッドチェダーチーズとマスタードリレッシュといった組み合わせです。

 

ダウニー

 

 ここで使用されていますバンズは大手ファーストフード店でよく見かけますものと比較しますと、少々内相の肌目が粗く、脆い食感に感じます。

 

 それは、パンを単独で食べると物足りなさを感じるかもしれませんが、歯切れがよく、具材を挟み込んで具材のおいしさを引きだたせるには、とても適した食材となっています。

 

テリヤキサンドウィッチランチ(1290円 税込 +アイスラテ 100円)

 クルミパンを使って、チキン、目玉焼き、レタス、トマト、オニオンを挟み、テリヤキソースで仕上げています。

 

ダウニー

 

 次のパンは角形食パン(クルミパン)です。

 

 ちなみに、無糖のカフェラテ(今回はアイス)は私の定番です。

 

 サンドウィッチと言いましても、ハンバーガー同様、結構な厚みがありますので、女性ではかぶり付くのに少々勇気が要るかもしれませんね。

 

 こちらの食パンもバンズと同様に軽くて歯切れのいい食感となっています。(近年のトレンドとなっています、もっちり食感とは異にするものです。)

 

サーモン&アボカドパンケーキランチ(1100円 税込)

 3品目はチーズパンケーキをベースに、スモークサーモン、アボカド、サニーレタス、トマト、オニオン、ブロッコリーアルファルファを添えて、サウザンソースの味付けとなっています。

 

ダウニー

 

 正確に測定した訳ではありませんが、直径:10cm程で厚めのパンケーキが3枚のプレートになっています。

 

 個人的に食事系のパンケーキにはなかなか慣れないのですが、いたってソフトな食感であるものの、しっとりさと厚みがあることで噛み応えが出ています。

 

 パンケーキで食べる時はこのような感じなのだろう、と自分に言い聞かせている次第です。

 

あとがき

 パン(今回はパンケーキも加わりましたが)を食べるシチュエーションは、単独で食べるだけではなく、他の食材と合わせて食べるケースも数多くありますので、目立たない、控えめ目な食感・食味といった品質にもニーズがあるのですね。

 

石床窯オーブン ~ Le Sixieme Sens (ル シズィエム サンス)

 過日にぱぴ・ぱんへ行きました折、実はその後にもう1件のベーカリーへ足を運びました。

 

www.santa-baking.work

 

 そのベーカリーがLe Sixieme Sens (ル シズィエム サンス)で、オーブンは同じく石床窯オーブンを使用しています。

 

 今回は、石床窯オーブンを扱っている機械メーカーの紹介とル シズィエム サンスのリポートとなります。

 

【 目次 】

 

石床窯オーブン

 以前の記事で石窯オーブンの特徴として、下火の効果は他の材料では再現が難しい旨を解説しました。

 

 つまり、上火は制御系で代替が可能であることから、石窯オーブンの焼成条件を得る目的であれば、炉床を石材にすることで対応できると考えられます。

 

石窯オーブン

 

 その炉床に石材を使用しているオーブンが三幸機械製のKamadoオーブンです。(上画像の『Kamado』のネームは後でも出てきます)

 

鬼滅の刃

 

 Kamadoと聞きますと、先日公開となりました大人気アニメ映画・鬼滅の刃の主人公:竈門炭治郎&禰豆子を連想してしまいますが、全くの無関係です。(ちなみに上写真ですが、劇場版 鬼滅の刃 無限列車編の公開4日目に家族に付き合ってもらって鑑賞してきました際に、先着特典で頂きました小冊子のカバーです)

 

石窯オーブン

 

 炉床の石材には天然の御影石を使用しています。

 

 一般的に炉床に天然石を使用しますと、コスト増から高額なオーブンになってしまいますが、このオーブンは一般的なデッキ式オーブンより低額の設定となっています。

 

 なぜでしょうか。

 

 それは、三幸機械が中国に工場を保有していて、そこから材料を輸入している為です。

 

 中国では、加工された石質材よりも天然石の方がまだ現時点では安価に入手できるのですね。

 

 余談ですが、中国におけます製パン用のトンネル式オーブンの性能に関しては、日本製の三幸オーブンが最も高い評価を得ているそうです。(コピー機も数多く出回っているようですが)

 

ル シズィエム サンス

 名古屋市天白区の平針運転免許試験場からほど近いところに、そのベーカリーはあります。

 

ル シズィエム サンス

 

 青と赤を基調とした、スマートな感じの店舗です。

 

 Le Sixieme Sens(ル シズィエム サンス)とはフランス語で"第六感"という意味で、 今までにない新しい感覚の感動を、このお店のパンを通じて味わって欲しいという思いが込められているそうです。

 

ル シズィエム サンス

 
 このお店の謳い文句にも石床窯オーブンを使用していることが明記されているのですが、店内に入りますと、奥の作業場にはそのデッキ式オーブンが見えます。

 

 お分かりになれますか?、オーブンのネームに『Kam・・』まで見えています。

 

ル シズィエム サンス

 

 商品はショーケースに並べられて対面式で販売されています。

 

ル シズィエム サンス

 

 今回購入してきました商品は、この4品です。

 

フリュイ(1/2 395円 税別)

 レーズン・イチジク・クランベリークルミが入ったハード系のパンです。

 

ル シズィエム サンス

 

 フルーツパンと言うだけあって、トップ部分のクープからも混ぜ物の果実が見えます。

 

ル シズィエム サンス

 

 底面もハースブレッド(直焼きパン)の表情なのですが、なにやら生地のつながりが歪になっているところが気になります、それは・・・。

 

ル シズィエム サンス

 

 それは、断面を見て納得しました。

 

 生地に対して、混ぜ物のフルーツがこれだけ大量に入っています。

 

 まるで、果実のつなぎに生地が使われているかのような状態です。

 

ミエル(1/2 395円 税別)

 クランベリークルミカシューナッツ・カボチャの種・はちみつが入ったパンです。

 

ル シズィエム サンス

 

 外観の色合いはフリュイと少し異なりますが、クープから覗いています木の実の感じは近いものを感じます。

 

ル シズィエム サンス

 

 底面の表情もやっぱりという感じです。

 

ル シズィエム サンス

 

 断面を見てみると、この果実&木の実の量に圧倒されます。

 

 随分、スナックまたはスイーツの領域に入っている感覚です。

 

ヴィエノワーズ・ショコラ(220円 税抜き)

 スイートチョコチップを散りばめたソフト系のロールパンです。

 

 ヴィエノワーズとは、もともと素朴な生地でつくられたソフトなパンだったそうですが、現在では、バター、砂糖、卵や牛乳が配合され、パン・オ・レに近い味わいになっているとか。

 

ル シズィエム サンス

  

 細やかなクープが入れられていますが、焼成初期に軽く蒸気を使っているか否か、といったところでしょうか。

 

 バゲットの元になっているとも言われているくらいですので、その可能性もありそうです。

 

 ソフト系の生地でも、蒸気を使用しますと表面の生地の食感に特徴が出て、引きが強くなってきます。

 

ヴィエノワーズ・あんバター(260円 税抜)

 大納言粒あんとカルピス発酵バターが、ヴィエノワーズにサンドされています。

 

ル シズィエム サンス

 

 我が家の定番ですから、やっぱりあんバターは外せません。

 

特別講義

 昨日、学会(第41回日本熱物性シンポジウム)での私の研究発表(今年はリモートとなりました)が終わりました。(シンポジウムの期間は今日まで開催です)

 

 正直なところ、先週の講義やセミナーと比較して非常に緊張しますし、疲れました。

 

 講義やセミナーでは確証が取れた内容を話しますが、学会での発表は未報告の最新の研究内容を披露する訳ですので、質疑応答ではかなり切り込んだ討議がなされます。(そして、カルチャーショックを受けて、少し凹んだ後、また頑張ろう、と。この繰り返しです。私は個人事業の傍ら研究しており、大学等の研究機関にはレベル的に全く及ばないので。)

 

 ところで、先週は特別講義があった訳ですが、私の製パンの話の最後にはこのようなページで締めています。

 

長崎大学

 

 学生のみなさんには、頭の中でイメージすることを大事にしてほしいと説いています。

 

 なぜ、ニュートンさんはリンゴが木から落ちるところを見て万有引力を発見したか・・・、落ちてきた木の高さをどんどん高くして、ついには月まで届くような高さの木をイメージし、この高さの木からはリンゴは落ちてこないだろう、これはなにかの力が働いているためでは、と考えたことによるそうです。

 

石窯オーブンの上火の効果 ~ Papi Pain(ぱぴ・ぱん)後編

 前回の記事に引き続き、今回もBoulangerie Papi-Pain(ぱぴ・ぱん)をリポートします、後編です。

 

 そして、石窯オーブンの上火の効果についても解説していきます。

 

【 目次 】

 

石窯オーブンの上火の効果

 製パンには、ポイントとなる温度がいくつかあります。

 

 生地の発酵や焼成、装置の設定温度や熱源の温度等です。

 

石窯オーブン

 

 特に焼成工程では、炭酸ガスの溶出やアルコールの蒸発で生地膨張を生じてパンのボリュームが得られ、デンプンが糊化して食べられるようになり、そして水分の蒸発と焼色の着色でクラストが形成されます。

 

 これらの現象が同時多発的に異なる部位で発生します。

 

 そして装置を考えますと、一般的なデッキ式オーブンの上火は、熱源にガスバーナーや電気ヒーターを用いたりするのですが、直火をそのまま使用しますと焼きムラの原因になってしまいますので、緩衝(バッフル)板として黒色塗装を施した金属プレートを生地との間に配して安定した熱エネルギーの供給を図っています。

 

石窯オーブン

 

 上図では、緩衝板が比較的薄い金属ですので、オーブンの扉を開けて生地を投入するような時には低温の空気が炉内に入ってくることで炉内の温度が一旦下がります。

 

石窯オーブン

 

 一方、石窯オーブンは熱容量の大きい石の緩衝板が入っていますので、同様に扉を開けても炉内に入ってきた低温の空気を短時間で暖めることができます。

 

 オーブンの上火は、遠赤外線等による輻射熱として緩衝板から照射されることから、温度が安定していれば焼き方も安定します。(ちなみに、同じ温度であれば輻射熱自体は金属板でも石板と同様の加熱を得ることができます)

 

 さて、ここでよくオーブンの良し悪しを論ずる際、炉内温度が大きく変動しないことを指摘される方がいらっしゃいます。

 

  石は比熱が高く、熱容量を大きく取れますから、温度変動は小さくて済みますが、それは違う言い方をしますと温度制御がし難いことの裏返しです。

 

 結論を言いますと、短時間で復旧し温度制御さえできていれば、表示温度が一旦下がっても全く問題はありません(見た目とイメージの問題だけです)。

 

 お客様であるユーザーがイメージ優先のオーブンを求めますと、装置メーカーでは買ってほしいが為に、あたかも安定しているかのような表示をするオーブンを作ってしまいます。

 

 使う側が本質を見抜く目を養わないと、将来の技術の進歩が損なわれますことが憂慮されます。

 

改めて、ぱぴ・ぱん

 店内に入りますと、広過ぎることもなく、狭すぎることもなく、それでいて多くの種類の商品がショーケースに並んでいます。

 

Papi Pain

 

 スタッフの方は、皆さん元気いっぱいで、もしかしますと今現在修業で来られている方もいるのでは、と思ってしまいます。

 

Papi Pain

 

 今回は、前回の記事で紹介しきれませんでした、〇印を付けました残りの五つの商品をリポートとします。

 

洋梨とカシスのデニッシュ(280円 税込)

 秋限定の新作デニッシュです。

 

Papi Pain

 

 秋限定の商品にも関わらず、洋梨の品種は時期によって変えているみたいです。(もうしばらくしますと、ラ・フランスが入荷するとのアナウンスあり)

 

Papi Pain

 

 型を使ったおもしろい成形で、層の出具合は anopan のデニッシュを思い出させてくれます。

 

 食べてみますと、サクサクの生地とジューシーな洋梨のマッチングが絶妙です。

 

ミニフランスパン☆ぱぴ・ぱん(40円 税込)

 このお店の名前がついた小さなフランスパンです。

 

Papi Pain

 

 ひとつ40円でも丁寧にクープが入っています。

 

Papi Pain

 

 裏面を見れば、直焼きであることは分かるのですが、このサイズの生地をどうやって炉床の上に置いているのでしょうか。(正直、見てみたいです)

 

 普通にスリップピール(直焼きのパン生地をオーブン内へ投入する時に使用する器具)を使っては、コロコロと転がってしまいそうです。

 

Papi Pain

 

 内相はフランスパンっぽくないですね、けっこう気泡が揃っています。

 

めろめろレモンパン(220円 税込)

 創業当時からあるぱぴ・ぱん名物の菓子パンだそうです。

 

Papi Pain

 

 パッと見、メロンパンの形ですが、レモン果汁を使ったレモンパンです。

 

大人のレモンタルト(290円 税込)

 今夏の新商品のようです。

 

Papi Pain

 

 どちらも国産の瀬戸内レモンとマイヤーレモンを使用しています。

 

 レモンフィリング、アーモンドクリームとタルト生地の3層構造の商品で、夏限定のはずですが、まだ売ってました。

 

ピタパン(100円 税込)

 通称ポケットパンとも呼ばれますフランスの食事パンのひとつピタパン。

 

Papi Pain

 

 いろいろな食材に合わせ易いよう塩味だけの素朴なパンで、半分にカットしてポケットに好きな具材をはさんでサンドイッチ、といったところが定番でしょうか。

 

Papi Pain

 

ある日の朝食

 朝食にピタパンを食べたいとのリクエストに、家族がいろいろと食材を揃えてくれました。(お皿には、洋梨とカシスのデニッシュも少し写っていますが・・・)

 

Papi Pain

 

 通称:ポケットパンとも呼ばれますピタパンをどのようにして食べるか、・・・適当に詰め込んだ私のセンスのなさがどんよりと光る一品となっています。(^^ゞ