黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

あんブレッド・フジパン ~ セルクルでラウンド食パン

 最近、フジパンの動向が気になっています。

 

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 以前にフジパンの『お家で焼きたて CRAFT BAKERY』シリーズの商品をリポートしましたが、その後も、この商品は新たなシリーズ商品が引き続き発売されているようです。(また、別の機会にご報告できればと思っています)

 

 また、ペンギン侍さん (id:ysnyn658) からもフジパンの「レンジde窯出し食パン」という商品をご紹介頂きました。

 

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 電子レンジで加熱するパンなのですが、前回記事のラケルパン同様にそろそろレンジ加熱のパンも意識する時代なのかもしれません。(ただ悲しいかな、「レンジde窯出し食パン」は東北・関東限定の商品らしく、愛知県では購入できません。明後日、東京方面の出張がありますので、どこかのスーパーに寄ってみようか、と。)

 

 さて今回は、思わず、えっ!と二度見してしまいそうなフジパンの商品をご紹介します。

 

【 目次 】

 

あんブレッド 

 こちらのスーパーの棚は菓子パンのコーナーで、食パンコーナーはこの向かい側になります。

 

あんブレッド

 

 その中に『あんブレッド』という一見ラウンド食パンと見受けられるパンが並んでいました。

 

あんブレッド

 

 2枚入りというプリントからも、これはラウンド食パンと改めて勝手に決めつけて、それならば98円は安い、と購入を決めました。

 

あんブレッド

 

 帰宅後、裏面の名称を見てみますと、んっ?、菓子パン? ラウンドタイプのあん食パンは菓子パン扱いなのか? と少し妙な気になりながらもパンを取り出します。

 

内相

 そのまま取り出しますと、珍しいことに巻いてあるあんの渦が対称形になっています。

 

あんブレッド

 

 気泡は丸目ですが、あん食パン、しかもラウンドタイプの食パンであれば、このような感じかと、あまり気には留めていませんでした。

 

 そして、その反対側は・・・、ええ~っ、

 

あんブレッド

 

 スライス面、もしくはラウンド食パンの端面ではありません。

 

外観

 そこで、一度頭の中を整理しますと、このパンはおそらく加糖生地に餡を挟んでから巻いて成形したものを最終発酵、焼成したようです。

 

あんブレッド

 

 つまり焼きあがった時の状態は、この写真のように高さの低い円筒形で、クーリング後に水平方向にスライスして、スライス面を見せる方に包装した、と。

 

 ところで、製品は比較的きれいな円筒形になっていて、その上面には挟み焼きをしたような跡が見られます。(一部、焦げたような跡が付いています)

 

 つまり大きめのセルクルと蓋を使用していると推測するのですが、気になりますのは『形状の歪さ』と『焼き色のムラ』です。

 

あんブレッド

 

 それは、生地の底面からも言えることで、一般的にセルクルを使用して製品を焼きますと、少なくとも底面はセルクルの形状に合わせて、きれいな円形の形状が出来上がります。

 

 ところが、このあんブレッドは、底面さえ十分に生地が行き渡っていません。

 

 セルクルの容積に対して、パン生地の体積が足りていません。

 

風味・食感・食味

 元々、ラウンド食パンと思って購入しましたので、トーストして頂きましたが、軽い食感で、歯切れもよく、餡の甘みとマッチしてとてもおいしく頂きました。

 

 おいしく頂けただけに、この外観は一層残念です。

 

成形と焼成

 今回のあんブレッドは、おそらく食型を使用していません。

 

あんブレッド

 

 ということは、食パンラインを持っていない工場でも、このラウンド食パン似のパンは作れてしまうことになります。

 

 しかも、一般的な食パンの焼成時間(35分程度)と比較して、非常に短くて大丈夫(12~13分で大丈夫では)と思いますので、生産ラインでの他の製品との切替えもスムーズに行えそうです。

 

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 以前に紹介しました、ねこねこ食パンも同様に発酵・焼成で置かれた方向と水平方向にスライスして食パンとしていましたので、食べた時の食感は近いものがありました。

 

 従来であれば、ありえなかった製造方法(今回は食パンのスライス)が、時代とともに徐々に認識されてきているような気がしています。

 

 それにしても、フジパンの商品をもっと深掘りしたい気持ちになってきました(同社に鋭い開発担当者が入られてきたのでしょうか)。

 

ラケルパン・ファミリーマート ~ レンジ加熱のパンというパラダイムシフト

 ファミリーマートとコダマの共同開発商品、ラケルパン。

 

 焼成後冷凍パンで、コープネットの『ぐるめぐり』でランキング第1位のパンが、冷凍食品として流通しています。

 

 元々は、オムライス専門店・ラケルの人気メニューらしく、そこから火が付いた商品のようです。

 

 そしてなにより、この商品の食べ方が特徴的で・・・、その辺りも含めてご紹介していきます。

 

【 目次 】

 

ラケルラケルパン(168円 税込)

 渋谷に設立されましたラケルは、1963年04月東京都港区虎ノ門にてコーヒーショップ ラケルとして創業し、翌1964年05月には、ラケルパンを発売しています。

 

 現在の事業内容は、オムライスとオリジナルのラケルパンをメイン商品としたオムライス専門店を展開と記載されています(ラケルパンはメイン商品なのですね)。

 

 私は愛知にいて、なかなか知るところでもなかったのですが、『お店の美味しさそのまま ラケルパン』が、ファミリーマートから昨年の2021年11月23日に発売されました。

 

ラケルパン

 

 人気のレストラン・ラケルのパンがファミリーマートで買えるとあって、とにかく購入しました(家族にお願いして)。

 

ラケルパン

 

 包装パッケージにも『加熱してお召し上がりください』と、あります。

 

 実はこれ、電子レンジ加熱で20~30秒温めるようです。

 

 ワット数の記載がなく、迷うところでもありますが、室温で解凍後、概ね600Wで30秒程度のようです。

 

外観

 外観のフォルムは、最終発酵時に入れる十字の切込みで角が立っている形状です。

 

ラケルパン

 

 焼き色は標準的な濃さで、色彩としては鮮やかな傾向を示していると思います。

 

ラケルパン

 

 円形のプレス天板を使用していますが、それにしてもしっかりと腰が出ています。

 

 焼成初期の上火加熱は、少々強めかもしれません。

 

ラケルパン

 

風味・食感・食味

 電子レンジ加熱をしていますので、蒸した感じと甘い香りが漂います。

 

 食感は、電子レンジ加熱特有のふわふわ感が特徴的ながら、とふわふわでほんのり甘い味わいが特徴です。

 

ラケルのパン

 包装パッケージには『お店の美味しさそのまま』と書かれていますが、お店のパンを実際に食べたことがなく・・・。

 

 という訳で、直接お店へ行ってきました。

 

ラケルパン

 

 ラケルは、東京を中心に複数店舗あるのですが、この日の予定の都合上、錦糸町丸井7Fにありますお店へ足を運びます。

 

店舗

ラケルパン

 

 開店時刻はAM11時でしたが、5分前に到着してしまい、しばしお店の前で待機です。

 

ラケルパン

 

 入口にありますラケルパンの看板には、コープネットの『ぐるめぐり』でランキング第1位と、大々的に謳われています。

 

ラケルパン

 

 開店時刻となって店内へ入りますと、ありました、棚の上にラケルパンが!

 

 ランチメニューでは、オムライスのセットにラケルパンは付いているようです。

 

ラケルパン

 

 当然オムライス(この日はドライカレーで)のランチを選択して、お店の味を堪能することにします。

 

 待つことしばし、スープが出てきますとお皿と容器にはALICEのデザインが。

 

ラケルパン

 

 ラケルとは、神話に登場する美しい女性の名前を元にしているそうで、トランプのダイヤのクイーンのモデルにもなっているとか。

 

 そして料理のお皿には、不思議の国のアリスに出てくるハートの女王と王様、そして白ウサギ。

 

 シンプルにトランプ繋がりと理解しました。

 

ラケルのパン

 いよいよお店の味が確認できます。

 

 触った感じは、やっぱり電子レンジ加熱したふわふわ感で、上部の切込みに挟まれたバターが一層ソフトさを引き立たせています。

 

ラケルパン

 

 これまで、電子レンジ加熱のパンには正直否定的な考え方をしていましたが、パラダイムシフトでしょうか、このような食感のパンも受け入れられていると思うと、なにやら抵抗が薄れてきた気もします。

 

 なにより、このような食感のパンはなかなか味わえないと考えますと、特徴的といった点では十分に商品力を持ったパンと考えられます。

 

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 先日、ペンギン侍 (id:ysnyn658)さんの記事から、フジパンの『レンジde窯出し食パン』の御紹介がありました。

 

 折を見て、私も検証していきたいと思っています、ペンギン侍さん、ありがとうございます(そして、ケガからの早期の回復を祈念しています)。

 

 焼成後冷凍のパンは、現在、脚光を浴びている技術のひとつですので、その展開にも注視していく必要性を感じています。

 

最後に

 テーブルクロスは赤のギンガムチェック柄で、ラケルの店員さんの制服とも合わせられています。

 

 ラケルのこだわりで、制服はギンガムチェックに大きなフリル、そして後ろでなびくリボンのエプロンドレスとなっているそうです。

 

 

新業態

 ラケルは、2015年03月に新業態『ピーターラビットガーデンカフェ』1号店を東京都目黒区に開店(ピーターラビットガーデンカフェ自由が丘本店)して、現在は横浜市中区新港・みなとみらいの横浜ハンマーヘッド 2Fにも店舗を構えているようです。

 

 キャラクター(ピーターラビット)を意識した店舗や料理(特にパンやパイ)がとても気になりますので、一度機会を作って行ってみたいです。

 

あとがき

 実はこの日、パン学校(西葛西)の授業が予定に入っていて、その寄り道でラケルへ行ってきました。

 

ラケルパン

 

 少し曇ってはいましたけど、行きの新幹線からは富士山も見えて。

 

ミスタードーナツ

 

 そして、西葛西のいつものミスドでは祇園辻利のドーナツが出ていましたので、アイスカフェラテと合わせて、時間調整と授業資料の最終チェックです。

 

日本パン技術研究所

 

 やっぱりリモートよりは、対面式の授業の方が生徒の顔(反応)を見ながら進められますので、気持ちが落ち着きます。

 

 この日は、受講者の数が少し増えたこととソーシャルディスタンスの関係で、少し広めの階段教室での授業でした。

 

ザックザクカレーパン・小麦の奴隷【日常雑記】

 ザックザクカレーパンをお目当てに、小麦の奴隷・名古屋徳川店へ行ってきました(家族が)。

 

 TV等での報道も多く、話題性の高い商品のリポートです。

 

【 目次 】

 

小麦の奴隷 名古屋徳川店

 オンラインサロンHIU(堀江貴⽂イノベーション⼤学校)に集まったメンバーのコミュニティからホリエモンこと堀江⽒の声かけによって⽣まれたエンタメパン屋さんが、今回紹介する『⼩⻨の奴隷』です。

 

小麦の奴隷

 

 名古屋徳川店は、昨年10⽉21⽇、名古屋市徳川に小麦の奴隷18店舗目としてオープンしました。

 

 他店も含めて、店内では140~390円程度の商品30種類ほどが棚に並んでいます。

 

ザックザクカレーパン

 今回のお目当ては、カレーパングランプリ2020、2021で連続⾦賞を受賞した「ザックザクカレーパン」です。

 

外観

 外観は、一般的なパン粉の代わりにクルトンが表面を覆っており、他店の商品との差別化が図られています。

 

小麦の奴隷

 

 この商品は自社ブランドの冷凍生地を使用しているようです。

 

 つまり、この商品の店舗での作業は生地解凍から最終発酵、フライ、冷却(簡単な成形含む)となります。

 

 ドウコンディショナーを使用すれば、前日の作業後に解凍時間をセットして、翌朝の出勤時に解凍が完了している工程を組むこともできます。

 

 ところで、自社製造と謳っていないところを見ますと、どこか委託している製造元のOEM工場があると思うのですが、どこなのでしょう。

 

 FC展開にあたって冷凍生地を使用するメリットとしては、店舗での粉の計量からミキシング、成形までの作業を省くことができますし、スクラッチのパン製造に必要な機械設備の一部が不要となることで、イニシャルコストの低減も図ることができます。

 

断面

 ゴロッとしたジャガイモが印象的な断面です。

 

小麦の奴隷

 

 そして、カレーパンには珍しく、生地の気泡がしっかり残っていて空洞が少ない点が特徴かと思われます。

 

 勝手な想像ですが、成形時におけます生地とフィリングとの重量比(冷凍生地工場ではおそらくR社の包餡機を使用しているのでは)、および解凍から最終発酵の条件(店舗サイド)がポイントでしょうか。

 

風味・食味・食感

 口に近づけると香ばしい風味を感じることができます。

 

 また、生地表面を覆っていますクルトンのザックザクとした食感が歯応えとしても楽しめます。

 

 ただ、気になりましたのはクルトンの部分がフライ油を大量に吸っていて、包装紙の外からでも持つ手がべとべとになってしまうところでしょうか。

 

 

あとがき

 さすが堀江氏が関与しているだけあって、SNSを十二分に意識したオリジナリティ溢れるベーカリーモデルが確立されているのではないでしょうか。

 

 熟練度の高いパン職人の技術がなくても、フランチャイズ経験がなくても、リテイルベーカリーが始められるサポート体制が整っていると感じました。

 

 高級食パンブームに陰りが見え始めた昨今、このベーカリーモデルの今後のブラッシュアップに際して、製パン技術に関してもアクションを起こしていくのか、個人的に興味津々です。

 

パンシンポジウムを終えて

 先の記事でお知らせさせて頂きましたパンシンポジウム2021が、3月7日無事に終了しました。

 

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 私もなんとか講演を終えましたが、今回はそのリポートです。

 

【 目次 】

 

パンシンポジウム2021

 今回で4回目を数えますこの催しは、コロナの影響で一昨年は中止、昨年は延期となっていましたが、昨年度分のシンポジウムがやっと3月になってwebにて開催されました。

 

 これまでは、午前中から1日かけて実施されていたのですが、今回は若干時間が短く、午後のみでスケジュールが組まれていました。

 

プログラム

 自由参加のポスターセッションはなく、オーラルセッションのみのプログラムです。

 

特別講演1 これはおいしい”ごはんパン”

 農業・食品産業技術総合研究機構 奥西智哉 氏

 

特別講演2 国産小麦の美味しさの本質に迫る

 (一社)日本パン技術研究所 製パン技術事業部 原田昌博 氏

 (⇒ いつもお世話になっております。from サンタ)

 

対談 パン業界の現状とこれから

 株式会社小麦家 吉村学 氏

vs 山田フードサイエンスコンサルティング代表 山田昌治 氏

 モデレーター: 岐阜大学 教授 矢部富雄  氏

 

【講演2】   パンの香気特性からみた天然酵母の魅力

 山田フードサイエンスコンサルティング代表 山田昌治 氏

 

【講演3】  石川県特産品の発酵副材料としての特性評価

 金沢工業大学 講師 野村一樹 氏

 

【講演4】  米粉パンの生地物性と澱粉特性の関係

 岐阜大学 准教授 勝野那嘉子 氏

 

【講演5】  温度測定の意味について考える ~ 食パンの焼成

 個人事業のサンタ 氏

 

【講演6】  グルテンフリー米粉パンの製パン性を向上させた米タンパク質分解物の同定

  石川県立大学 准教授 本多裕司 氏

 

【講演7】  ブランチングエンザイム添加がパン物性に及ぼす影響

 岐阜大学 教授 西津貴久 氏

 

【講演1(接続トラブルで順序変更)】   鈴木 徹先生を偲んで(共同研究者の一人として)

 岐阜大学 名誉教授 長野宏子 氏

 

 サンタの講演内容

 演題を『温度測定の意味について考える ~ 食パンの焼成』とさせて頂き、パンを焼いている時の温度を測定するとこんなことが分かるのですよ~、といったことをおおむね解説しました。

 

パンの焼色

 時間が限られていましたので、どうしても抜粋になってしまうのですけど、まず最初は焼色です。

 

パンシンポジウム

 

 焼色が着色する反応速度を式化して、温度データからシミュレートします。

 

パンシンポジウム

 

 配合(このグラフでは脱脂粉乳の量)を変えても、異なるタイプのオーブンを使用しても、オーブンの設定温度を変えても、そこそこの精度で焼色が計算できました。

 

適正な焼成時間

 パンは焼いている工程で[膨張 ⇒ 収縮]を生じます。

 

 

パンシンポジウム

 

 パンが収縮するタイミングを知ることは、窯痩せを原因とするケービング(腰折れ)を防止することに繋がります。

 

 (上のグラフは熱流束のデータですが)生地中心部の温度測定することで、このタイミングの時期を推測し、適正な焼成時間を検証することができます。

 

水分蒸発量

 パン生地からの水分蒸発量は、クラストの厚さに直結します。

 

パンシンポジウム

 

 もう少し応答性を上げたいと思っていますが、今後がんばります。

 

 6面あります食型の温度を測定することで、各面ごとの水分蒸発量を計算します。

 

その他

 底の生地が詰んでしまう現象や

 クラストの厚さをコントロールしたい時の操作方法、

 穴付きの食型の効果の検証、等々

といったことも導き出されます。

 

 最後には、パン工場に導入されています連続式のオーブンでの測定も想定しました計測器用断熱容器もスライドに出しましたけど、短い時間でしたら、ちょっと見せて終わったといった感じです。

 

幻となった懇親会

 本シンポジウムの開催が決まった当初、オンサイトとオンラインの両方での開催が告知され、もちろん私は岐阜大学の会場へ足を運ぶ予定でした。

 

 ところが、3月6日まで予定されていました岐阜県のコロナのまん延防止等重点措置が21日まで延長されることが確定しましたことで、残念ながらオンサイトでの開催は見送られ、オンラインのみでの実施となりました。

 

 シンポジウムは、当然それ自体が有意義なのですが、楽しみの一つに講演後の懇親会があります。

 

 前回2019年に開催されました際は、岐阜県下を中心としました焼き立てパン屋さんの自慢のパンの数々が懇親会のテーブルを埋め尽くしました。

 

 その様子がこちら。

 

パンシンポジウム

パンシンポジウム

パンシンポジウム

パンシンポジウム

 

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 やっぱり、会場で直接参加者の皆さんとお会いして、焼き立てパンを交えて歓談したいものです。

 

ミミまでやわらかい食パン・山崎製パン ~ そしてanopanの近況

 およそ3年前にスーパーマーケット・バローオリジナルの『ミミまでやわらかい食パン』(製造元:山崎製パン)の記事を掲載しました。

 

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 ふと思ったのですが、その食パンがいまだに継続されて販売されているという事は、既にこの商品が定番商品として定着しているということでしょう、と。

 

 今回は、過去記事を思い出しながら、この定番商品を再度紹介していこうと思います。

 

【 目次 】

 

バロー新瀬戸店

 バローは、岐阜県を拠点として、東海、甲信越、北陸、近畿に230以上の店舗を持つスーパーマーケットです。(2020年7月1日現在 236店舗)

 

 

 残念ながら、全国展開といったわけではありません。

 

ミミまでおいしい食パン

 

 いつも見慣れたパンコーナーの棚ですが、見慣れていること自体が、実はすごいことなのでしょうね。

 

ミミまでやわらかい食パン(138円 税別)

 この『ミミまでやわらかい食パン』が発売されましたのは日本で空前の食パンブームに沸いていた頃で、製パンメーカー最大手の山崎製パンがバローオリジナル商品として手掛けました。

 

 コンセプトは、『湯捏ね製法』『しっとり感、もっちり感』『そのまま食べてもおいしい』となっていて、当時のトレンドの『生食パン』に近付けている感が満載です。

 

ミミまでやわらかい食パン

 

 製品の特徴ですが、ミミまでやわらかい、と謳っている以上、クラストの部分には十分な配慮がなされていて、一般的な角形食パンと比較しますと、焼色は随分と薄く仕上げられています。

 

 専門店の高級食パンと比較しますと、1/3程の価格の商品がまったく見劣りすることなく食べられることに、改めて今の製パンメーカーの技術の高さを再認識しました次第です。

 

ミミまでやわらかい食パン

 

 重量は申し合わせたかのように、1斤(340g以上)の定義から10%程度の安全率で生地が分割されています。

 

外観

 焼色はやや薄め、(顕著なケービングが起きている訳でもなく)骨格はしっかりと、この相反する二つの特徴を共有できている点で、非常に高い完成度です。

 

ミミまでやわらかい食パン

 

 ホワイトラインも適度に出ています。

 

ミミまでやわらかい食パン

 

 そして底面には、ボタン上の凹みがあって、穴開きの食型を使用していることが分かります。

 

ミミまでやわらかい食パン

 

 側面や上面と比較して、底面はやや強く焼いているようです。

 

内相

 膜は薄いのですが、クラムの色がやや陰って気泡が疎になっているような印象を受けます。

 

ミミまでやわらかい食パン

 

 ただ、これは内相が荒れているというよりは、(決して悪い意味ではなく)もしかして固形分の密度が低いのではと思ったりもしてしまいます。

 

風味・食感・食味

 さて、今回のミミまでやわらかい食パンですが、食べてみますとやはりクラストの薄さからソフトな食感は十分に伝わってきます。

 

 そして、内相のところで感じました疎な感じは噛んだ時の軽い食感に効いている気がします、そう、軽さが心地いいんです。

 

 そして、食味としてはほんのりとした甘みも。

 

 この甘味なのですが、作る側から考えますと焼色が着色する要因の糖がそれなりに含まれているでしょうから、更に作るのが大変だったと思います。

 

 店舗の固定式オーブンと違って、大型生産ラインで使用されています連続式オーブンでは、十分なメンテナンスと設定がなされていなければ、点火バーナー位置での加熱強度のムラが製品の焼色に直に影響を及ぼすことは容易に考えられるからです。

 

 最後に、(生食パンに引けを取らない)これだけレベルの高い食パンが日常的に食べられることに感謝です。

 

anopan の近況

 最近、anopanの話が出ていませんが、Google Map で近所のパン屋さんを検索してみましたところ、このような結果に。

 

anopan

 

 なんと、評価は 4.5 でこの辺りのトップに登りつめているでは、ありませんか!

 

 ちなみに次点は 4.4 でエムルパンとモンタナベーカリーとなっていました(どちらのパン屋さんも時々出掛けるお店です)。

 

桜もち丸

 昨年も一昨年も紹介させて頂きました、anopan春限定のパンです。

 

anopan

 

anopan

 

 外観もそうなのですが、カットした断面から特徴的な包餡方法を取っていることが分かります。

 

 ちなみに昨年は、こちらの記事中で紹介させてました。

 

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 やっぱり今年も春には、このモチモチ食感の桜もち丸といった感覚です。

 

あとがき

 昨日(3月7日)、パンシンポジウムが終了しました。

 

 公開シンポジウムを意識して、せっかく聴講頂いた方々にとにかく新たな発見を提供できれば、と講演したつもりでしたが、どこまで貢献できたか、正直なところ、少々疑心暗鬼です。

 

 記事は、近日中にアップしようと思っています。