先の記事でお知らせさせて頂きましたパンシンポジウム2021が、3月7日無事に終了しました。
私もなんとか講演を終えましたが、今回はそのリポートです。
【 目次 】
パンシンポジウム2021
今回で4回目を数えますこの催しは、コロナの影響で一昨年は中止、昨年は延期となっていましたが、昨年度分のシンポジウムがやっと3月になってwebにて開催されました。
これまでは、午前中から1日かけて実施されていたのですが、今回は若干時間が短く、午後のみでスケジュールが組まれていました。
プログラム
自由参加のポスターセッションはなく、オーラルセッションのみのプログラムです。
特別講演1 これはおいしい”ごはんパン”
農業・食品産業技術総合研究機構 奥西智哉 氏
特別講演2 国産小麦の美味しさの本質に迫る
(一社)日本パン技術研究所 製パン技術事業部 原田昌博 氏
(⇒ いつもお世話になっております。from サンタ)
対談 パン業界の現状とこれから
株式会社小麦家 吉村学 氏
vs 山田フードサイエンスコンサルティング代表 山田昌治 氏
モデレーター: 岐阜大学 教授 矢部富雄 氏
【講演2】 パンの香気特性からみた天然酵母の魅力
山田フードサイエンスコンサルティング代表 山田昌治 氏
【講演3】 石川県特産品の発酵副材料としての特性評価
金沢工業大学 講師 野村一樹 氏
【講演4】 米粉パンの生地物性と澱粉特性の関係
岐阜大学 准教授 勝野那嘉子 氏
【講演5】 温度測定の意味について考える ~ 食パンの焼成
個人事業のサンタ 氏
【講演6】 グルテンフリー米粉パンの製パン性を向上させた米タンパク質分解物の同定
石川県立大学 准教授 本多裕司 氏
【講演7】 ブランチングエンザイム添加がパン物性に及ぼす影響
岐阜大学 教授 西津貴久 氏
【講演1(接続トラブルで順序変更)】 鈴木 徹先生を偲んで(共同研究者の一人として)
岐阜大学 名誉教授 長野宏子 氏
サンタの講演内容
演題を『温度測定の意味について考える ~ 食パンの焼成』とさせて頂き、パンを焼いている時の温度を測定するとこんなことが分かるのですよ~、といったことをおおむね解説しました。
パンの焼色
時間が限られていましたので、どうしても抜粋になってしまうのですけど、まず最初は焼色です。
焼色が着色する反応速度を式化して、温度データからシミュレートします。
配合(このグラフでは脱脂粉乳の量)を変えても、異なるタイプのオーブンを使用しても、オーブンの設定温度を変えても、そこそこの精度で焼色が計算できました。
適正な焼成時間
パンは焼いている工程で[膨張 ⇒ 収縮]を生じます。
パンが収縮するタイミングを知ることは、窯痩せを原因とするケービング(腰折れ)を防止することに繋がります。
(上のグラフは熱流束のデータですが)生地中心部の温度測定することで、このタイミングの時期を推測し、適正な焼成時間を検証することができます。
水分蒸発量
パン生地からの水分蒸発量は、クラストの厚さに直結します。
もう少し応答性を上げたいと思っていますが、今後がんばります。
6面あります食型の温度を測定することで、各面ごとの水分蒸発量を計算します。
その他
底の生地が詰んでしまう現象や
クラストの厚さをコントロールしたい時の操作方法、
穴付きの食型の効果の検証、等々
といったことも導き出されます。
最後には、パン工場に導入されています連続式のオーブンでの測定も想定しました計測器用断熱容器もスライドに出しましたけど、短い時間でしたら、ちょっと見せて終わったといった感じです。
幻となった懇親会
本シンポジウムの開催が決まった当初、オンサイトとオンラインの両方での開催が告知され、もちろん私は岐阜大学の会場へ足を運ぶ予定でした。
ところが、3月6日まで予定されていました岐阜県のコロナのまん延防止等重点措置が21日まで延長されることが確定しましたことで、残念ながらオンサイトでの開催は見送られ、オンラインのみでの実施となりました。
シンポジウムは、当然それ自体が有意義なのですが、楽しみの一つに講演後の懇親会があります。
前回2019年に開催されました際は、岐阜県下を中心としました焼き立てパン屋さんの自慢のパンの数々が懇親会のテーブルを埋め尽くしました。
その様子がこちら。
やっぱり、会場で直接参加者の皆さんとお会いして、焼き立てパンを交えて歓談したいものです。