黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

ドラッグストアの激安食パン 第2弾・ゲンキー ~ 98円全粒粉入り食パンも高コスパ

 ちょうど1年前にドラッグストア・ゲンキーの激安食パン・小麦のひかり(69円 税別)が予想外に高い評価だったことをご紹介しました。

 

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 実は、この記事、1年経った今でも私のブログ記事の中での閲覧数が常時TOP3に入る程、皆さんにご愛読頂いています。

 

 

 そうそう、先日はツイッターでこの『小麦のひかり』をリポートして頂いたフォロワーさんもいらっしゃいました。(それにしても、とてもきれいにトーストされています)

 

ゲンキー

 

 今回は、ゲンキーの食パンコーナーの棚に並んでいました(小麦のひかりよりも)少しお高い『全粒粉入り食パン(98円税別)』のご紹介です。(ちなみに、小麦のひかり・5枚スライスは、この時点で売り切れでした)

 

【 目次 】

 

全粒粉の特徴

 さて、まずは原材料となります全粒粉について、その特徴を少し解説します。

 

 小麦は、胚乳(小麦粉の約83%)、外皮(小麦粉の約15% ふすまとも呼ばれます)、胚芽(小麦粉の約2%)から構成されていて、一般的に小麦粉は炭水化物やタンパク質が主成分の胚乳から製粉されます。

 

 外皮は食物繊維が豊富で、食物繊維はキノコや海藻類に多く含まれていることが知られていますが、全粒粉にも強力粉の4倍もの量が含まれています。

 

 そして胚芽ですが、ミネラル(カリウム:強力粉の4倍、マグネシウム:同6倍以上、鉄分:同3倍以上、他亜鉛等)、ビタミン(ビタミンB1:強力粉の4倍、他ポリフェノール等)などが豊富で、健康食品にも用いられるようです。

 

 全粒粉の食パンはGI値(糖質の吸収度)が低く、ダイエットにもぴったりの食品と考えられています。

 

 おいしさの点では、全粒粉は麦の香ばしさが一段と強いことも特徴です。

 

全粒粉入り食パン

外観

 先に少しお高いと記載しましたが、全粒粉入りで98円ですから、やっぱりこちらも激安食パンと言って構わないと思っています。

 

ゲンキー

 

 パッケージには、食物繊維の記載があります。

 

ゲンキー

 

 原材料は比較的シンプルですが、小麦粉、全粒粉の他、別途外皮であるふすまが加えられています。

 

 訴求ポイントである食物繊維の製品特徴を強めたかった、といったところでしょうか。

 

ゲンキー

 

 そして製品重量は330gと、1斤の基準となります340gには届きません。

 

 激安食パンだから生地重量を軽くして原材料費を削っていると、思われる方もいると思います。

 

 あくまで個人的な意見ですが、たしかにそのような側面も考えられますものの、それであれば、なぜ他の製パンメーカーは同様の商品を製造しないのでしょうか。

 

ゲンキー

 

 結論から言えば、作らないというよりは『難しい、もしくは作れない』のでは、と考えています。

 

 この外観形状を見て頂いて、非常に形状がしっかりしていることが分かります。(つまりクラストが折れていないということです。)

 

ゲンキー

 

 1年前の69円食パンの際に計算しました比容積:5.08は、一般的な値(3.8~4.0)と比較しますと、業界の常識を超えています。

 

 それは、一般的な食パンの吸水が68~70%であることと比較して、高級生食パンのそれが100%程度と業界の常識を超えていることにも感覚的には近いものを感じます。

 

ゲンキー

 

 ところで、比容積を上げて(生地重量を減らして)良好な形状を確保する場合、より少ない固形分でパンの骨格及び細やかな気泡構造を形成するわけですので、必然的に製パン工程ではミキシング、成形、焼成~(ショック)~クーリング、と細部に渡って最適条件に近いものが安定して求められます。

 

ゲンキー

 

 極端な例をイメージしてください。

 

 比容積が”1”で気泡がなければ、直方体の形状はけっして腰折れすることはありませんし、比容積が”1.1程度”で気泡の膜が破損しなければ、細かい気泡が形成されます。

 

 つまり、比容積の上昇に伴って、外観形状と細やかな気泡の保持は難しくなる訳です。

 

内相

 底詰みもカギ穴もスジ縞もありません、気泡も細やかで整っており、とても良好な内相です。

 

風味・食味・食感

 包装紙を開けた時点で、小麦のしっかりした香りが漂ってきます。

 

 食感は歯切れがよく、軽いサクサクとした心地よさが伝わって、最後はダマにもならず、口溶けも至って良好です。

 

まとめ

 ドラッグストア・ゲンキーの激安98円全粒粉入り食パンも非常に評価が高く、コストパフォーマンスも良好と考えます。

 

(この時期ですから)桜

4週間の観察日記

 毎年桜の季節には、昼休みの時間にお決まりの散策コースになりました仕事場近くのローカルな名所をご紹介します。

 

① 2022年3月15日 つぼみはまだ固そうです。

桜

 

② 2022年3月21日 つぼみが少し膨らんできました。周りの景色も、少しピンク掛かってきた気がします。

桜

 

③ 2022年3月28日 3~5分咲きといったところでしょうか。東京では今日が8分咲きで、すでに満開宣言が出ているようです。

桜

 

④ 2022年3月30日 8分咲きくらいです。咲き始めますと一気に開いてきますね。

桜

 

⑤ 2022年4月1日 満開に咲き誇っています。ほんの少しですけど、ちらほらと花びらも散り始めて、風情が上がってきます。

桜

 

⑥ 2022年4月4日 満開の桜+散る花びら、春を十二分に堪能できます。水面に浮かぶ桜の花びらも、これも”さくら”ですね。

桜

 

⑦ 2022年4月8日 川面を見ても、ずいぶん桜の花が散っていることが分かります。若葉もしっかり出てきて、全体的にも黄緑色が分かるように。

桜

 

⑧ 2022年4月11日 週末を挟んで3日振りに桜歩道を散策です。しばらく通い詰めて分かったことがあります。桜の花は、1本の木として見た場合、花は下の枝から咲いていって、最後に咲くのは上の方の枝にある花でした。観察しているとおもしろい発見があります。

桜

 

⑨(追記) 2022年4月15日 すっかり葉桜ですね。ほんの少しだけ、木の天辺の方に花と額の部分が残っている状況です。

桜

 

振り返り

 いつもと違う道を歩くと新しい発見がある(=マンネリからの脱却)と聞いて、それは順路を変えることでもOKのようです。

 

桜

 

 それで桜散策の道をいつもと逆方向で歩いてみましたところ、写真を撮っていた(本当に小さな)橋に『ふれあい橋』という名があることを発見(今まで気付きませんでした)。

 

 この時期はお昼休みに桜を見に行くことで、ウォーキングの歩数が3000~4000歩増えます。

 

あんブレッド・フジパン ~ セルクルでラウンド食パン

 最近、フジパンの動向が気になっています。

 

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 以前にフジパンの『お家で焼きたて CRAFT BAKERY』シリーズの商品をリポートしましたが、その後も、この商品は新たなシリーズ商品が引き続き発売されているようです。(また、別の機会にご報告できればと思っています)

 

 また、ペンギン侍さん (id:ysnyn658) からもフジパンの「レンジde窯出し食パン」という商品をご紹介頂きました。

 

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 電子レンジで加熱するパンなのですが、前回記事のラケルパン同様にそろそろレンジ加熱のパンも意識する時代なのかもしれません。(ただ悲しいかな、「レンジde窯出し食パン」は東北・関東限定の商品らしく、愛知県では購入できません。明後日、東京方面の出張がありますので、どこかのスーパーに寄ってみようか、と。)

 

 さて今回は、思わず、えっ!と二度見してしまいそうなフジパンの商品をご紹介します。

 

【 目次 】

 

あんブレッド 

 こちらのスーパーの棚は菓子パンのコーナーで、食パンコーナーはこの向かい側になります。

 

あんブレッド

 

 その中に『あんブレッド』という一見ラウンド食パンと見受けられるパンが並んでいました。

 

あんブレッド

 

 2枚入りというプリントからも、これはラウンド食パンと改めて勝手に決めつけて、それならば98円は安い、と購入を決めました。

 

あんブレッド

 

 帰宅後、裏面の名称を見てみますと、んっ?、菓子パン? ラウンドタイプのあん食パンは菓子パン扱いなのか? と少し妙な気になりながらもパンを取り出します。

 

内相

 そのまま取り出しますと、珍しいことに巻いてあるあんの渦が対称形になっています。

 

あんブレッド

 

 気泡は丸目ですが、あん食パン、しかもラウンドタイプの食パンであれば、このような感じかと、あまり気には留めていませんでした。

 

 そして、その反対側は・・・、ええ~っ、

 

あんブレッド

 

 スライス面、もしくはラウンド食パンの端面ではありません。

 

外観

 そこで、一度頭の中を整理しますと、このパンはおそらく加糖生地に餡を挟んでから巻いて成形したものを最終発酵、焼成したようです。

 

あんブレッド

 

 つまり焼きあがった時の状態は、この写真のように高さの低い円筒形で、クーリング後に水平方向にスライスして、スライス面を見せる方に包装した、と。

 

 ところで、製品は比較的きれいな円筒形になっていて、その上面には挟み焼きをしたような跡が見られます。(一部、焦げたような跡が付いています)

 

 つまり大きめのセルクルと蓋を使用していると推測するのですが、気になりますのは『形状の歪さ』と『焼き色のムラ』です。

 

あんブレッド

 

 それは、生地の底面からも言えることで、一般的にセルクルを使用して製品を焼きますと、少なくとも底面はセルクルの形状に合わせて、きれいな円形の形状が出来上がります。

 

 ところが、このあんブレッドは、底面さえ十分に生地が行き渡っていません。

 

 セルクルの容積に対して、パン生地の体積が足りていません。

 

風味・食感・食味

 元々、ラウンド食パンと思って購入しましたので、トーストして頂きましたが、軽い食感で、歯切れもよく、餡の甘みとマッチしてとてもおいしく頂きました。

 

 おいしく頂けただけに、この外観は一層残念です。

 

成形と焼成

 今回のあんブレッドは、おそらく食型を使用していません。

 

あんブレッド

 

 ということは、食パンラインを持っていない工場でも、このラウンド食パン似のパンは作れてしまうことになります。

 

 しかも、一般的な食パンの焼成時間(35分程度)と比較して、非常に短くて大丈夫(12~13分で大丈夫では)と思いますので、生産ラインでの他の製品との切替えもスムーズに行えそうです。

 

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 以前に紹介しました、ねこねこ食パンも同様に発酵・焼成で置かれた方向と水平方向にスライスして食パンとしていましたので、食べた時の食感は近いものがありました。

 

 従来であれば、ありえなかった製造方法(今回は食パンのスライス)が、時代とともに徐々に認識されてきているような気がしています。

 

 それにしても、フジパンの商品をもっと深掘りしたい気持ちになってきました(同社に鋭い開発担当者が入られてきたのでしょうか)。

 

ラケルパン・ファミリーマート ~ レンジ加熱のパンというパラダイムシフト

 ファミリーマートとコダマの共同開発商品、ラケルパン。

 

 焼成後冷凍パンで、コープネットの『ぐるめぐり』でランキング第1位のパンが、冷凍食品として流通しています。

 

 元々は、オムライス専門店・ラケルの人気メニューらしく、そこから火が付いた商品のようです。

 

 そしてなにより、この商品の食べ方が特徴的で・・・、その辺りも含めてご紹介していきます。

 

【 目次 】

 

ラケルラケルパン(168円 税込)

 渋谷に設立されましたラケルは、1963年04月東京都港区虎ノ門にてコーヒーショップ ラケルとして創業し、翌1964年05月には、ラケルパンを発売しています。

 

 現在の事業内容は、オムライスとオリジナルのラケルパンをメイン商品としたオムライス専門店を展開と記載されています(ラケルパンはメイン商品なのですね)。

 

 私は愛知にいて、なかなか知るところでもなかったのですが、『お店の美味しさそのまま ラケルパン』が、ファミリーマートから昨年の2021年11月23日に発売されました。

 

ラケルパン

 

 人気のレストラン・ラケルのパンがファミリーマートで買えるとあって、とにかく購入しました(家族にお願いして)。

 

ラケルパン

 

 包装パッケージにも『加熱してお召し上がりください』と、あります。

 

 実はこれ、電子レンジ加熱で20~30秒温めるようです。

 

 ワット数の記載がなく、迷うところでもありますが、室温で解凍後、概ね600Wで30秒程度のようです。

 

外観

 外観のフォルムは、最終発酵時に入れる十字の切込みで角が立っている形状です。

 

ラケルパン

 

 焼き色は標準的な濃さで、色彩としては鮮やかな傾向を示していると思います。

 

ラケルパン

 

 円形のプレス天板を使用していますが、それにしてもしっかりと腰が出ています。

 

 焼成初期の上火加熱は、少々強めかもしれません。

 

ラケルパン

 

風味・食感・食味

 電子レンジ加熱をしていますので、蒸した感じと甘い香りが漂います。

 

 食感は、電子レンジ加熱特有のふわふわ感が特徴的ながら、とふわふわでほんのり甘い味わいが特徴です。

 

ラケルのパン

 包装パッケージには『お店の美味しさそのまま』と書かれていますが、お店のパンを実際に食べたことがなく・・・。

 

 という訳で、直接お店へ行ってきました。

 

ラケルパン

 

 ラケルは、東京を中心に複数店舗あるのですが、この日の予定の都合上、錦糸町丸井7Fにありますお店へ足を運びます。

 

店舗

ラケルパン

 

 開店時刻はAM11時でしたが、5分前に到着してしまい、しばしお店の前で待機です。

 

ラケルパン

 

 入口にありますラケルパンの看板には、コープネットの『ぐるめぐり』でランキング第1位と、大々的に謳われています。

 

ラケルパン

 

 開店時刻となって店内へ入りますと、ありました、棚の上にラケルパンが!

 

 ランチメニューでは、オムライスのセットにラケルパンは付いているようです。

 

ラケルパン

 

 当然オムライス(この日はドライカレーで)のランチを選択して、お店の味を堪能することにします。

 

 待つことしばし、スープが出てきますとお皿と容器にはALICEのデザインが。

 

ラケルパン

 

 ラケルとは、神話に登場する美しい女性の名前を元にしているそうで、トランプのダイヤのクイーンのモデルにもなっているとか。

 

 そして料理のお皿には、不思議の国のアリスに出てくるハートの女王と王様、そして白ウサギ。

 

 シンプルにトランプ繋がりと理解しました。

 

ラケルのパン

 いよいよお店の味が確認できます。

 

 触った感じは、やっぱり電子レンジ加熱したふわふわ感で、上部の切込みに挟まれたバターが一層ソフトさを引き立たせています。

 

ラケルパン

 

 これまで、電子レンジ加熱のパンには正直否定的な考え方をしていましたが、パラダイムシフトでしょうか、このような食感のパンも受け入れられていると思うと、なにやら抵抗が薄れてきた気もします。

 

 なにより、このような食感のパンはなかなか味わえないと考えますと、特徴的といった点では十分に商品力を持ったパンと考えられます。

 

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 先日、ペンギン侍 (id:ysnyn658)さんの記事から、フジパンの『レンジde窯出し食パン』の御紹介がありました。

 

 折を見て、私も検証していきたいと思っています、ペンギン侍さん、ありがとうございます(そして、ケガからの早期の回復を祈念しています)。

 

 焼成後冷凍のパンは、現在、脚光を浴びている技術のひとつですので、その展開にも注視していく必要性を感じています。

 

最後に

 テーブルクロスは赤のギンガムチェック柄で、ラケルの店員さんの制服とも合わせられています。

 

 ラケルのこだわりで、制服はギンガムチェックに大きなフリル、そして後ろでなびくリボンのエプロンドレスとなっているそうです。

 

 

新業態

 ラケルは、2015年03月に新業態『ピーターラビットガーデンカフェ』1号店を東京都目黒区に開店(ピーターラビットガーデンカフェ自由が丘本店)して、現在は横浜市中区新港・みなとみらいの横浜ハンマーヘッド 2Fにも店舗を構えているようです。

 

 キャラクター(ピーターラビット)を意識した店舗や料理(特にパンやパイ)がとても気になりますので、一度機会を作って行ってみたいです。

 

あとがき

 実はこの日、パン学校(西葛西)の授業が予定に入っていて、その寄り道でラケルへ行ってきました。

 

ラケルパン

 

 少し曇ってはいましたけど、行きの新幹線からは富士山も見えて。

 

ミスタードーナツ

 

 そして、西葛西のいつものミスドでは祇園辻利のドーナツが出ていましたので、アイスカフェラテと合わせて、時間調整と授業資料の最終チェックです。

 

日本パン技術研究所

 

 やっぱりリモートよりは、対面式の授業の方が生徒の顔(反応)を見ながら進められますので、気持ちが落ち着きます。

 

 この日は、受講者の数が少し増えたこととソーシャルディスタンスの関係で、少し広めの階段教室での授業でした。

 

ザックザクカレーパン・小麦の奴隷【日常雑記】

 ザックザクカレーパンをお目当てに、小麦の奴隷・名古屋徳川店へ行ってきました(家族が)。

 

 TV等での報道も多く、話題性の高い商品のリポートです。

 

【 目次 】

 

小麦の奴隷 名古屋徳川店

 オンラインサロンHIU(堀江貴⽂イノベーション⼤学校)に集まったメンバーのコミュニティからホリエモンこと堀江⽒の声かけによって⽣まれたエンタメパン屋さんが、今回紹介する『⼩⻨の奴隷』です。

 

小麦の奴隷

 

 名古屋徳川店は、昨年10⽉21⽇、名古屋市徳川に小麦の奴隷18店舗目としてオープンしました。

 

 他店も含めて、店内では140~390円程度の商品30種類ほどが棚に並んでいます。

 

ザックザクカレーパン

 今回のお目当ては、カレーパングランプリ2020、2021で連続⾦賞を受賞した「ザックザクカレーパン」です。

 

外観

 外観は、一般的なパン粉の代わりにクルトンが表面を覆っており、他店の商品との差別化が図られています。

 

小麦の奴隷

 

 この商品は自社ブランドの冷凍生地を使用しているようです。

 

 つまり、この商品の店舗での作業は生地解凍から最終発酵、フライ、冷却(簡単な成形含む)となります。

 

 ドウコンディショナーを使用すれば、前日の作業後に解凍時間をセットして、翌朝の出勤時に解凍が完了している工程を組むこともできます。

 

 ところで、自社製造と謳っていないところを見ますと、どこか委託している製造元のOEM工場があると思うのですが、どこなのでしょう。

 

 FC展開にあたって冷凍生地を使用するメリットとしては、店舗での粉の計量からミキシング、成形までの作業を省くことができますし、スクラッチのパン製造に必要な機械設備の一部が不要となることで、イニシャルコストの低減も図ることができます。

 

断面

 ゴロッとしたジャガイモが印象的な断面です。

 

小麦の奴隷

 

 そして、カレーパンには珍しく、生地の気泡がしっかり残っていて空洞が少ない点が特徴かと思われます。

 

 勝手な想像ですが、成形時におけます生地とフィリングとの重量比(冷凍生地工場ではおそらくR社の包餡機を使用しているのでは)、および解凍から最終発酵の条件(店舗サイド)がポイントでしょうか。

 

風味・食味・食感

 口に近づけると香ばしい風味を感じることができます。

 

 また、生地表面を覆っていますクルトンのザックザクとした食感が歯応えとしても楽しめます。

 

 ただ、気になりましたのはクルトンの部分がフライ油を大量に吸っていて、包装紙の外からでも持つ手がべとべとになってしまうところでしょうか。

 

 

あとがき

 さすが堀江氏が関与しているだけあって、SNSを十二分に意識したオリジナリティ溢れるベーカリーモデルが確立されているのではないでしょうか。

 

 熟練度の高いパン職人の技術がなくても、フランチャイズ経験がなくても、リテイルベーカリーが始められるサポート体制が整っていると感じました。

 

 高級食パンブームに陰りが見え始めた昨今、このベーカリーモデルの今後のブラッシュアップに際して、製パン技術に関してもアクションを起こしていくのか、個人的に興味津々です。

 

パンシンポジウムを終えて

 先の記事でお知らせさせて頂きましたパンシンポジウム2021が、3月7日無事に終了しました。

 

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 私もなんとか講演を終えましたが、今回はそのリポートです。

 

【 目次 】

 

パンシンポジウム2021

 今回で4回目を数えますこの催しは、コロナの影響で一昨年は中止、昨年は延期となっていましたが、昨年度分のシンポジウムがやっと3月になってwebにて開催されました。

 

 これまでは、午前中から1日かけて実施されていたのですが、今回は若干時間が短く、午後のみでスケジュールが組まれていました。

 

プログラム

 自由参加のポスターセッションはなく、オーラルセッションのみのプログラムです。

 

特別講演1 これはおいしい”ごはんパン”

 農業・食品産業技術総合研究機構 奥西智哉 氏

 

特別講演2 国産小麦の美味しさの本質に迫る

 (一社)日本パン技術研究所 製パン技術事業部 原田昌博 氏

 (⇒ いつもお世話になっております。from サンタ)

 

対談 パン業界の現状とこれから

 株式会社小麦家 吉村学 氏

vs 山田フードサイエンスコンサルティング代表 山田昌治 氏

 モデレーター: 岐阜大学 教授 矢部富雄  氏

 

【講演2】   パンの香気特性からみた天然酵母の魅力

 山田フードサイエンスコンサルティング代表 山田昌治 氏

 

【講演3】  石川県特産品の発酵副材料としての特性評価

 金沢工業大学 講師 野村一樹 氏

 

【講演4】  米粉パンの生地物性と澱粉特性の関係

 岐阜大学 准教授 勝野那嘉子 氏

 

【講演5】  温度測定の意味について考える ~ 食パンの焼成

 個人事業のサンタ 氏

 

【講演6】  グルテンフリー米粉パンの製パン性を向上させた米タンパク質分解物の同定

  石川県立大学 准教授 本多裕司 氏

 

【講演7】  ブランチングエンザイム添加がパン物性に及ぼす影響

 岐阜大学 教授 西津貴久 氏

 

【講演1(接続トラブルで順序変更)】   鈴木 徹先生を偲んで(共同研究者の一人として)

 岐阜大学 名誉教授 長野宏子 氏

 

 サンタの講演内容

 演題を『温度測定の意味について考える ~ 食パンの焼成』とさせて頂き、パンを焼いている時の温度を測定するとこんなことが分かるのですよ~、といったことをおおむね解説しました。

 

パンの焼色

 時間が限られていましたので、どうしても抜粋になってしまうのですけど、まず最初は焼色です。

 

パンシンポジウム

 

 焼色が着色する反応速度を式化して、温度データからシミュレートします。

 

パンシンポジウム

 

 配合(このグラフでは脱脂粉乳の量)を変えても、異なるタイプのオーブンを使用しても、オーブンの設定温度を変えても、そこそこの精度で焼色が計算できました。

 

適正な焼成時間

 パンは焼いている工程で[膨張 ⇒ 収縮]を生じます。

 

 

パンシンポジウム

 

 パンが収縮するタイミングを知ることは、窯痩せを原因とするケービング(腰折れ)を防止することに繋がります。

 

 (上のグラフは熱流束のデータですが)生地中心部の温度測定することで、このタイミングの時期を推測し、適正な焼成時間を検証することができます。

 

水分蒸発量

 パン生地からの水分蒸発量は、クラストの厚さに直結します。

 

パンシンポジウム

 

 もう少し応答性を上げたいと思っていますが、今後がんばります。

 

 6面あります食型の温度を測定することで、各面ごとの水分蒸発量を計算します。

 

その他

 底の生地が詰んでしまう現象や

 クラストの厚さをコントロールしたい時の操作方法、

 穴付きの食型の効果の検証、等々

といったことも導き出されます。

 

 最後には、パン工場に導入されています連続式のオーブンでの測定も想定しました計測器用断熱容器もスライドに出しましたけど、短い時間でしたら、ちょっと見せて終わったといった感じです。

 

幻となった懇親会

 本シンポジウムの開催が決まった当初、オンサイトとオンラインの両方での開催が告知され、もちろん私は岐阜大学の会場へ足を運ぶ予定でした。

 

 ところが、3月6日まで予定されていました岐阜県のコロナのまん延防止等重点措置が21日まで延長されることが確定しましたことで、残念ながらオンサイトでの開催は見送られ、オンラインのみでの実施となりました。

 

 シンポジウムは、当然それ自体が有意義なのですが、楽しみの一つに講演後の懇親会があります。

 

 前回2019年に開催されました際は、岐阜県下を中心としました焼き立てパン屋さんの自慢のパンの数々が懇親会のテーブルを埋め尽くしました。

 

 その様子がこちら。

 

パンシンポジウム

パンシンポジウム

パンシンポジウム

パンシンポジウム

 

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 やっぱり、会場で直接参加者の皆さんとお会いして、焼き立てパンを交えて歓談したいものです。