核家族化から単身世帯への需要の変化が叫ばれ始めた頃から、食パンの供給形態もそれまでの1斤包装では多過ぎて、持て余してしまう状況が顕著になってきました。
以前にご紹介しましたセブンイレブンの『金の食パン』ですが、今回は包装形態に着目してリポートしたいと思います。
【 目次 】
ハーフパック包装
その名前の通り、通常(1斤 340g以上)の半分のサイズで包装されています。
単身世帯では1斤の食パンを食べ終えるために、厚切り(4枚スライス)でも4日、一般的な6枚スライスであれば6日を要します。
つまり、1斤サイズの食パンをひとりで食べるには、最後の1枚くらいになってきますと、パンの老化が進んでいますので、パサついた食感になってしまっています。(つまり、あまりおいしくない、と)
多くの製パンメーカーがハーフパック包装の食パンを販売していますが、今回はイトーヨーカドーでセブンプレミアムの『金の食パン 厚切り2枚入 138円 税別』を購入しました。
それにしても、ホールセールの食パンでは1斤88円の食パンも棚に並ぶ中、この価格設定はずいぶん強気のお値段です。
商品としては、この他、通常(6枚スライス)の3枚入もラインナップに揃えています。
金の食パン
前回、この金の食パンを食べたのが、9ヶ月前のようです。
当時は、リニューアルの発売直後で凄いニュースになっていましたが、今では既に定番商品として十分に定着しています。
その頃のことを思い出しながら、久々に食べてみました。
今でも生食パンのブームは続いていますが、9ヶ月前はそのブームがホールセールベーカリーに波及し始めていた時期でもありましたね。
それまで、通常はトーストして食べる食パンを焼かなくてもおいしいと謳って市場に投入された商品が現われ、その代表格がこの金の食パンでした。
外観品質
包装紙から食パンを取り出す際、しっとりとしてかつずっしりとした触感が伝わってきます。
焼色は全体的に薄めで、それでいて以前と比較して形状も改善してきているような感じがしました。
なにしろ、9ヶ月前は『それほど柔らかいのだから、腰折れしても当然!』といったコンセプトとも聞いていましたから。(それはそれで、折れていても考え方としては問題ないと思っています)
内相と食感
内相の肌目は細やかですし、膜厚も薄めです。
以前の記事を読み返してみますと、食味は甘さが感じられ、ソフトなクラムと歯切れの良いクラスト・・・と、官能評価はほぼ同様でした。
でも、外観形状が揃ってきているということは、その間に地道な改善の努力を重ねられてきているのだと思います。
先述では1斤88円のホールセールベーカリーの食パンを引き合いに出してしまいましたが、高級食パン専門店の商品が1斤400円程であることを考えますと、この価格(275円 1斤 税別)は十分納得できるのではないでしょうか。
ミニミニ工場見学 食パン包装ライン
食パンは各製パンメーカーにとって、企業の利益を左右する最も重要な商品アイテムとなっているケースがほとんどです。
つまり、多くのホールセールベーカリーは自動化を進め、効率化と(人の手に触れないように)食品衛生の徹底を図っています。
食パンの包装ラインは、従来、3斤サイズの食パンをスライスの枚数(スライス幅)のみを変えて、3分割して包装していました。
ところが、1斤と半斤の食パンは包装する装置が異なってきますので、スライス後は別々の扱いで次工程へ製品を流します。
ちなみに、ハーフパックの食パンを振り分ける装置にも使用は様々ありますので、上図はほんの一例ということで。
現在は、1斤未満のサイズの食パンは、半斤のみが生産されていますが、考えてみますと、関西地方で人気の5枚スライス製品は対応できていません。
しかしながら、3斤サイズの食パンは5枚スライスのパンが15枚できますので、3枚パック×5袋で、理論上は製造が可能です。
ただ、この商品ひとつに異なるサイズの包装紙も用意しなければならなくなりますし、現時点ではコスト面での課題があるのかと思っています。