お米文化の日本において、ご飯のお供と聞きますと、漬物からふりかけまで多種多様を極めます。
私は名古屋圏での生活が長いこともあって、あんにはずいぶん親しみを持っているのですが、パンのお供と言いますか、合わせて一緒に食べるフィリングと聞いてすぐに思い浮かべますのが、小倉あんとバター or マーガリンの組み合わせです。
名古屋発祥のコーヒー店コメダで出されます小倉トーストも下地に塗りますバターがあればこそと思っているくらいです(下写真は、イオンでのコメダ特製小倉あん売場)。
それでは、あん(糖)とマーガリン or バター(油)の世界へようこそ!
【 目次 】
小倉ネオマーガリン・パスコ
パスコの菓子パンアイテムの中でも定番中の定番が、このサンドロール 小倉&ネオマーガリンです。
外観
表面はしっかりテカっていますが、艶出し方法は時代と共に変化しています。
私は、装置の面からしか詳細を語ることができませんが、『卵(焼成前)』⇒『?油脂(焼成後)』⇒『艶出しコート(焼成前)』と、安定して安全に使用できる原材料の開発によって製造ラインも対応を図っています。
この側面にしっかりと出ていますホワイトラインがソフト系のロールパンのおいしさの指標です。
う~ん、この説明をもっとしたいのですが・・・、今回は我慢して次回に回します。(生地作り、成形、焼成、天板、と説明すべきところが、本当にたくさんあって・・・。)
断面と食味・食感
一見、フィリングの量が少なさそうにも見えますが、実際に食べてみますと実にバランスが取れています。
おそらくパン生地のソフトさ故に、見掛けの量以上に一口食べた時の量が多かったり、とか想像しています。
加えて、マーガリンの滑らかさが咀嚼(そしゃく)を促して、口溶けやのどごしも良好です。
あんことバターのフランスパン・ローソン マチノパン
一転して、次のパンはハード系生地の商品です。
外観
このクープは・・・、手作業にしては切り口が立っていないような、ウォータースプリッターにしては微妙な角度の切り口で、と悩んでいたりします。
もし、手作業だったら作業者の方にすごく失礼なのですが、カット面の状態はクープの入れ方だけではなく、焼成時の蒸気の掛け方等も大きく関わってきますので・・・。
形状は、すごく腰の出ている(幅に対して高さのある)製品で、クープの部分はあまり勢いよく割れたような感じではないようにも見えますので、焼成初期の蒸気が少なかったとか。
ただ実際に生産工場で見ている訳ではありませんので、あくまで想像です。
底面を見てみますと、以前の記事でも解説しましたパンチングメッシュの凹凸の跡がくっきり!
それにしても、やや焼色が濃くてムラが出ていますね。
例えば、穴開きプレートタイプの炉床のトンネル式オーブンで焼成したとか、ラック式オーブンの対流の影響を大きく受けたとか。
断面と食味・食感
上下のパン生地を離してみますと、中からは小倉あんがびっしり!
上側の生地は完全にカットして切り離されています。
生地が硬くて、片側の生地を付けたままではフィリング(あんとバター)の充填が困難だったのでしょう。
食べ口はさすがに結構な歯応えです。
当然ですが、一口で大きく喰いちぎるのは大変です。
その少量の食いちぎった分でも、この商品はしっかりとあんとバターが口の中に広がります。
そして、噛んでいる間に口の中でバターとあんが馴染んできて、結果、いい感じで味わって食べられます。
anopan のあんバタ
もう、何度か登場しています近所のリテイルベーカリー:anopan です。
ここのあんバタは、ブリオッシュ生地(に思えますが、確認はしていません)のバンズを横カットして、あんとバターをサンドしています。
ただ単に、マイブームです!
エム・ル・パンのあんバター
以前にご紹介しました、地元では結構人気のリテイルベーカリーです。
外観から、あんとバターが一目で納得です。
サンタの豆知識
そもそも、なぜ名古屋にあんこの文化が?
なんでも、物資が不足していた終戦後にあって、なぜか名古屋には砂糖が豊富にあり、あんこを使った和菓子も作られていたらしいのです。
なお、小倉トーストが誕生したのは、1921(大正10)年頃、今の名古屋・栄三越(私が子供の頃は、オリエンタル中村と呼ばれていましたが、それよりもずっと以前)の隣にあった喫茶店『満つ葉(まつは)』が発祥だとか。
満つ葉には旧制八高(現名古屋大学)の学生が大勢押しかけ、当時ハイカラなバタートーストを別メニューのぜんざいに浸して食べていて、それを見た店主がバタートーストにあんこを挟んでメニューに採り入れたということらしいです。