最近のニュースから
ネットニュースに、なにやら物々しいタイトルの記事が出ていました。
私的に食い付きが良く、この記事をすぐさま読んでみましたが、決してネガティブな内容だけではなく、最終的には新たな業務形態に関する記述となっていました。
この記事では冷凍パンのサブスクリプションサービス『パンスク』が、厳しい状況に置かれているベーカリーを救う1つの策として紹介されています。
(本来、サブスクリプションサービスというのはビジネスモデルの1つで、利用者はモノを買い取るのではなく、モノの利用権を借りて利用した期間に応じて料金を支払う方式のことを指すようです。OfficeのCD版 ⇒ Office365 のような)
さて、このパンスクですが、地域のベーカリーから仕入れた冷凍パンを、オフィスや個人向けにサブスクリプションモデルで卸すサービスとなっていて、これによって、サービス会社がセレクトした全国各地のパンをオフィス等にいながら味わうことができるものです。
そして、このサービスのポイントは『焼きたてのパンを冷凍している』ことです。
パンスクで届いたパンはすべて冷凍されていて、電子レンジで30秒ほど温めることで焼きたての食感と香りを楽しめるそうです。
そこで、このような機会ですから少しパンの焼成後冷凍技術について解説したいと思います。
冷凍技術の展開
製パンに関連する冷凍技術としては、生地玉冷凍、整形冷凍、ホイロ後冷凍、パーベイク、焼成後冷凍と、実に様々な技術が考案、開発されてきました。
当然、それぞれの製法ごとに課題があって、冷凍生地製パン法では、冷凍・保存・解凍時の適正な操作に合致した製法・装置設備や冷凍耐性を持ったパン酵母の開発によって、現在ではスクラッチの製法とほぼ同等のレベルまでパンの品質は向上したと思っています。(とはいえ、生地のバラエティさでは、まだまだスクラッチ製法の優位性は揺るがないものかと思います。)
そして、焼成後冷凍技術の一例としましては、以前にご紹介しましたラ・パナデリーアのプレッツェルがあります。
この製品は、本場ドイツで焼成しましたプレッツェルを冷凍の状態で輸入し、店頭で解凍して提供するものです。
パンに対するこだわりが強いヨーロッパにおいて、ちょっとしたパンのイノベーションを起こした技術がこの製品冷凍であり、少し以前まで年々落ち込んでいたパンの消費量が、回復基調に戻ったのです。
そのヨーロッパでは一般的な焼成後冷凍パンが、今、日本でも脚光を浴び始めている、というものです。
この焼成後製品の技術は、既に敷島製パン等の大手製パンメーカーでも一部の商品に採用されている技術で徐々に評価が上がっているようです。
少し話は逸れますが、海外におけます日本製のパンの人気には目を見張るものがあり、ハワイのマーケットの様子をリポートしたこともありました。www.santa-baking.work
アラモアナホテルから北に400m程のところにありますドン・キホーテでは、ほぼ日本での包装紙そのままに大手製パンメーカーの食事パン系の商品が並べられていました。
現地には、このメーカーの工場はありませんので、おそらく焼成後冷凍して運ばれたものと推測しています。
以前は、シリーズの薫麦食パンの画像を掲載しましたので、今回は同じ食事系でもロールパンの方を掲載しました。
焼成後冷凍のパン製品、なにげに身近な存在と感じませんか?